表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/29

17話 ジョージ=カォツマという男

川口を殺してから、7日ほど経った。


自分でも驚いているが、ピヨリの心には波紋ひとつ立っておらず、ただ平静で淡々とした心地よさが空虚な心を満たしていた。

人を殺すのも、案外難しいものでもなかったんだな。


罪悪感が微塵も沸いて来ない。

そういや今日体育でサッカーをやるんだったかなー、とか考えてみると、つつましい喜びが沸いてくるほどだ。


今は素直に胸が小躍りしていた。

自身の得意分野を活かせる学校の授業と言えば、サッカーぐらいなもんだし。



「…………と、今日は早く学校に来すぎたな……」



教室につき、クラスに顔を覗かせるが、まだ誰一人として登校しているものはいなかった。



「まあ予想通り……まだ7時前。ついさっき校門が開いたばかりだからな」



そこでピヨリは、クラスに一番に登校した奴だけに許される、めんどくさい特権、通称『鍵開け』を行使し、教室に入る。

薄暗い教室のカーテンのすき間からは、ポカポカとした柔らかい陽光が差し込んでいた。

自身の机にカバンを置いて、両端のカーテンを全開にする。

すると、今まで溜めに溜めこんでいた光の塊が教室中に充満した。


「眩しいぞ」


なんとなく子供のようにはしゃぐ気分で、クラスの電気をつけ、自分の椅子に座り、カバンの中にある教科書を机の中に詰め込んだ。


全ての作業を終えると、あまりに教室がしーんとしすぎて、時計の秒針が時を刻む音さえ聞こえてくる。

まだ人の息の混じっていない、清澄な朝の空気を吸い込む。

窓を開けると、小鳥達がハーモニーを奏でていて耳に心地いい。

そこで気づいた。



「うわぁ……何もすることねぇ…………うぅむ……早朝の時間にやれる事と言えばなんだ」


とりあえず一旦落ち着いて、思考を巡らしてみる。


椅子に背を預け、首を曲げて、天井にあるボコボコとした小さな穴を、何も考えずボッーと見つめていたら、



何かいた。

教室の扉に何かいた。




己の中の時間が静止したような気がした。

誰? この人。


そこで棒のように立って、俺を凝視していたのは金髪の男だった。身長が180㎝強はあるんじゃないか。


両の瞳はアイスブルー。鼻梁がスッと通っていて、あごひげを少々蓄えている金髪の男。

胸元は大胆に開けていて、首からは十字架のネックレスを垂らし、耳には小洒落たドクロのイヤリングを。

指の付け根にはじゃじゃらとしたリングを複数。まるでメリケンサックを装備しているみたいだ。

殴られると痛そう。


一目で外人だと分かる風貌をした男だった。



うちのクラスにこんな外人いたかな? 


「えっと、誰だよあんちゃん。外国人留学生か? それとも教育実習生? あー、日本語ツウジテマスカ?」


「うるせぇカスが。テメェーが反逆者リベロの組員だって証拠はもう、挙がってんだよ」


めちゃくちゃ流暢な日本語で話し出したので、ビビった。

巨漢の外人は、滑らかな日本語でそう言うと、今度は良い発音で英語を発声した。


「”小型隕石”(ミニマムメテオ)」

巨漢の金髪外国人のチャライ男は、右手をかざし、そう言うと、教室のガラスに砂利が当たるような音がした。


「?」

やがてその音は次第に強さを増していき、そのまま勢いよくガラス窓を貫通した。


「はあ?」

砂利の雨がピヨリの周囲を飲み込むように襲い来る。


咄嗟の判断で横に回避して難は逃れた。



「申し訳ないが突然の『超能力』の使用は、すごく困る」


「超能力? とぼけるなよ『神の能力』だって知ってんだろ、”伸縮する秘部”(ロングマラー)」

やはり『神の能力』使いであられたか。


「さっさと立て、戦闘開始だ」


「OK、分かった。まずズボンを履かせてくれ。話はそれからだ」


そうしてチャックを開く。

もう、慣れた。

男のシンボル、秘部を出すことにはもう慣れた。


とりあえずまあ、説明すると、ピヨリ。つまりこの俺の秘部は『神の能力』という超能力みたいなもんで、どうやら自由自在に伸び縮み可能なのだ。ハハ。

その伸縮した秘部で相手のケツや口の中に突っ込むと、相手を『絶対服従の虜』にするという便利なオプション付きでな。ハハ。


後、『神の能力』を越える『神越の能力』という、二段階目のパワーアップスキルがある。

そして俺の『神越の能力』は世にも恐ろしい、音速のスピードで秘部が伸び縮みするという、画期的な能力なのであった。『神越』の場合、虜にはできない以上。



~俺の能力のまとめ終了~


ちなみに殺人前科1。

なお、これからも積み重ねる模様。


「………………………」

「えーそうだな。とりあえず自己紹介しようか、俺は願先ピヨリってんだ、ヨロシク」


「知ってんだよそんなこと。俺の名前はジョージ=カォツマだ。二度は言わねぇぞ」



俺はチラリ、と横目で時計を一瞥した。

時計の針は7時10分を回っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ