影
いつもの月曜日。
いつもの放課後。
いつもの学校帰り。
ただ、一つ違ったのは、僕が今、銃を向けられていることでした。
判断する隙もなかった。その者が向けた銃からは、黒い弾丸が飛んできて、
そして僕にあたった。
いままでありがとう、この世界。
そして恨むよ、この世界。
せめて死ぬなら、ドラクエ5をもう一度やりたかったな…
というところで、僕は目を覚ました。
「夢おちかよー」
僕は叫ぶ。いや、いいのか夢オチで。
「大丈夫?ゆーた、ものすごいうなされていたんだよ」
そんな僕にそう心配した声をかける者がいた。この声はあれだ。そう思って横を見る。
幼馴染のアリス。
小さい頃からの僕の友達。クールで優しくて、でも少し心配症で可愛い少女。
あと、あれだ。アリスっと名前だけど、別に外人でもなんでもない。純血の日本人。本名は長谷川愛里住。所謂キラキラネームってやつだ。本人は気にしていないらしいから、いいけれども、最近の親はよくわからん。
「それと、もう昼休み終わっちゃうよ?」
よく見るとアリスは数学の教科書を片手に持っていた。そうか、今は昼休みだったのか。全く覚えていない。あの夢がリアルすぎて…。
僕はアリスにわかったよ、と越えをかけ、席を立つ。そうならば、はやく準備をしないとな。
!?
次の瞬間、僕は驚愕の事実に気がついた。
嫌でも気づくしかなかった。
教室に僕とアリスしかいなかった。
いや、正確には…
僕も44人のアリスがいたんだ。