「ナイトメア」
2009年に書いた即興小説
「今日もまた、変わらない1日」
溜め息を吐いて、布団に潜った。
心地好い眠気の波に揉まれ、温かな安心に溺れる。
今夜もまた朧月夜。届かない光。暗闇の私。
「消えて終えたら良いのに」
呟くことすら。願うことすら。
悲しむことすら。
ただ生き長らう。目的は見失う。ただ生き長らう。そして夢を見る。
微睡みの中で襲うのは痛み。
微笑みの外で囲うのは悼み。
夢が私を許すことを、私は許さない。
眠っているのか、起きているのか、幻か夢か、現実か虚構か、どちらにしろ私は涙を流し、許しを乞う。悪魔の囁きに身を委ねる。
「おまえに希望がある限り、おまえは死ぬことなど出来ぬ。ただ生き、絶望し、渇望し、ただ生きるのだ」
私は前向きだから。私は弱いから。
強い光に惹かれるまま、重い岩にに轢かれるまま、私はただ生き続ける。
闇に負け、病みに負け、止まない雨に傘も無く、ただ、ただ。
気が付けば朝が来ていて、窓から明るい光が射していた。
今日もまた今日が始まる。
身体を起こして、伸びをした。
光に揉まれる1日が始まる。
私は重い鎧を部屋に脱ぎ捨てて、軽い足取りでキッチンへと向かった。
終
2009/1/23
言葉遊びをしたかった、と当時の後書きに書いてありました。
今も昔もこういうところは変わらないのね。