寝て起きたら…
起きろ…
裕美起きなさい…
「うーん…」
「目覚めたかの」
裕美は、ボーとする頭を何とかフル回転させ状況を確認する。
さっきと変わらぬ真っ白な空間に美形好きなお嬢さんならすぐさま硬直して固まってしまいそうな顔立ちの整ったお兄さんが居た…
(とりあえず人間として大切な挨拶をしよう。)
「おはようございます。」
「あぁ…おはよう。
それにしてもかなり落ち着いているなぁ…
普通の人間ならパニックになり暴れると言うのに。」
(一回起きて状況を確認してましたからね…
何となくですが理解してますしパニックになってもしょうがないです。
話を聞かないと次に進めません。
女子としては、可愛気ないかも知れないけど。)
「可愛い気ないのは、確かかも知れぬがいい判断をしている。」
(思ってる事が読めるし…名前も知ってるみたいだしテンプレで言うなら神様なのかな?)
「正解じゃ。人間で言うなら創造神と呼ばれるの。」
(創造神様に会えるとは、人生いろいろと言うことだね。)
「私みたいな人間が会える存在じゃありませんよね…
その事を含めて何故此処に居るのか説明していただけますか?」
「良かろう…先ずは、謝罪しよう。
申し訳ない。
裕美は、予測できてると思うが…
死んでいる…私の作り出した天使が、まだ死ぬ運命でない裕美の運命を間違えて変えてしまったのだ…」
(成る程…天命ではまだ死ぬはずではなく、天使が何かしらのミスをして運命を変えられて死んでしまったのか…
神様に謝罪されても私は、許せない…
ここはミスをした本人である天使が謝罪するべきだ。
神様が作り出した天使とは言え本人が謝るのが普通だ。)
「裕美は、本人の謝罪を求めるのだな…暫し待たれよ…」
裕美は、少しの間待っていると神様ともう一人純白の一対羽を生やした可愛らしい女性を伴って表れた。
「裕美よ待たせたな…
裕美は、そなた自身の謝罪を求めている許して貰えないかもしれぬが誠心誠意謝罪をしろ。」
「はい…今回の件で裕美さんの運命を曲げ、死なせてしまったことを心より謝罪します。
許して下さいとは、言いません。」
(目の前の天使さんは、よほど後悔してる。)
「確かに謝罪を受け取りました。
許す許さないと言うのならまだ許す気はありません…
ただ力のない私には、八つ当たりしたり罰を与える事が出来ません。
ただ言えることは、今回のミスを忘れずに今後同じミスをしないよう心がけて下さい。
それだけです。」
神様は、満足そうに眺めている。
「裕美の優しさを理解出来たな…
言葉をしっかり受け止め今後の糧とせよ。
もしそなたが理解出来ずに裕美の優しさを無下にした場合は、今回の罰以上儂自ら罰してやろう。
そなたは、戻って良いぞ。」
(天使さんは、私に向かって一礼し光に包まれ消えていった。
まだ許せないがきっと天使さんはもう大丈夫だろう。
天使さんの今後を信じるのみだ。)
「裕美よ、今回の件での詫びとして第二の人生を歩んでくれよ。
地球に戻してやることは、出来ぬが地球に似てるが魔法と剣の世界なら今のままで人生を楽しむ事ができるぞ。」
(何故地球に転生出来ないのですか?)
「それは、裕美の魂が地球に適合されてないからじゃ。
天命以外で死した魂は転生の輪から外されてしまう。
裕美のようにこちらのミスで死した者や自殺した者が該当する。
適合外となった魂は、いずれ消滅してしまうのじゃ。」
(成る程。
消滅する私をこの空間に呼び出し助けていただいたのですね?
神様ありがとうございます。)
「礼など要らぬ。
もともとこちらのミスじゃからの。
して他に質問は?」
(今のままでとは?)
「容姿や年齢、記憶を引き継いだまま転生できるのじゃ。」
(成る程、地球に似た魔法と剣の世界とは?)
「地球に似ていると言うのは、言葉や食べ物。
あと一年の周期と季節が同じである。
違うと言えば文明が中世ヨーロッパ時代に似ていて機械の代わりに魔法が発展しているんじゃ。
人以外にも種族がおり代表的には、獣人族や魔族などがいて、敵としてドラゴン以外のモンスターなどが居るぞ。」
(楽しそうな世界だ。
魔族は、敵じゃないのか?
それに私は、生きて行けるのか?
魔力と言う力のない人間に過ぎない。)
「魔族は、昔敵だったが今は、敵ではないぞ。
人族も獣人族も魔族も仲がよく協力しあって生きて居るからの。
すべてが同じ考えとは、限らないけどの。
力については、抜かりない儂から力を授けるからの。
できるだけ希望に添うようにしよう。」
(モンスター以外は、敵じゃないのか…
なら第二の人生楽しみたい。)
「ふむ、良かったのぉ。
力について話し合おうぞ。」
裕美は、魔法の世界にワクワクするであった。