63話 お嫁さん候補
異世界381日目
二度目の侵攻まで後1179日
今日は奴隷制度廃止が決定した次の日で、各国からお嫁さん候補の女性が集まる日だ。
最初に到着したのは、アルシナとその部下だ。来ている服は竜騎兵の格好ではなく、女性用の軍服姿できっちりしていて二人とも凛々しい。
「ジン殿久しぶりです。」
「お姉様に手を出したら殺す。」
ついて早々部下の女がジンに殺気を飛ばしてくる。ジンはその殺気を軽く流して
「アルシナ久しぶり。君が嫁さん候補なのか?」
「半分当たりで半分外れだ。私だけではないんだ」
「私も候補です。」
殺気を飛ばしてきていたアルシナの部下から驚愕の真実がもたらされた。貴族だったのか、・・・意外だ。
「と言うより私が、本命のお嫁さん候補よ。いい、私はフォードル公爵家の長女のファーラ、ラインツ叔父様の姪よ。ラインツ叔父様には子供がいないから私と貴方を結婚させて、貴方に継がせることを考えているようね。」
「・・・・・はっ?」
「あくまで可能性の話。そう簡単にいくはずがないでしょう。それに私は貴方なんてごめんだわ。」
「そうか、俺も政略結婚は嫌いだ。気が合うなこれからよろしくファーラ」
「ふん」
「まあ、中に入ったらどうだ。メイドが案内してくれるから」
次に到着したのは、ファーランド王国の公爵家令嬢のキュリア嬢が侍従を二人連れて到着した。
「英雄様、これからお世話になります。」
「まさか君が来るとはね」
「ふふ、分かれるときに『また』と申し上げましたよ。ところで英雄様にご相談したいことがあるんです。」
「その子のこと?」
侍従の片方が外套を深く被っていて性別すらよくわからないのだ。
「実はこの子は魔人なのです。屋敷に入れてもよろしいでしょうか?」
「思い切ったことをするね。」
下手なことをしたら殺されかねない
「俺は構わないよ。」
「よかった。マリネ、この方は大丈夫よ。」
マリネと呼ばれた外套を着た子は、外套を脱いだ。中から出てきたのは、普通の女の子に見えた。
首を傾げていると
「この子は蛇人です。身体に鱗がある部位がある部族で、見ての通り見た目は人間とほとんど変わりはありません。」
「へえ、よろしく、マリネ」
「よ、よろしく、お願い、します。」
緊張しているのか警戒しているのか声が硬い、打ち解けるのには時間がかかるかもしれないな。
次に来たのはカルモンド王国で、侯爵家令嬢のルーテシアという娘と侍女が二人来た。ルーテシアは、金髪ロリ少女のドレス姿だ。ミリアの話では少々高飛車らしい。
「始めまして、わたくしルーテシアと申します。これからしばらくは、お世話になります。」
しばらくは、か少し言葉に棘を感じるな。
「始めまして、俺はジン。よろしく」
握手をしようと近づくと
ススス
と後退するルーテシア。
もう一度近づいてみる。
ススス
左に逃げた。近づく、離れる、近づく、離れるを何度か繰り返して
「どうしたんですか?」
埒があかないので侍女に尋ねてみると
「その、実はジン様のことを色魔と思っているようでして。それにかなり急な話でしたので、まだ心の整理がついていない内にこのようなことになってしまって。」
「だってそうでしょう、各国から女を集めているそうじゃない!」
集めたのは俺じゃないんだが、まあいいかこういう子がいても。
「ああ~そうでしたか、わかりました。この後は屋敷の者に任せましょう。挨拶はできたので、これで失礼します。」
次にきたのは、ウルティア国からでカルディアの妹のカメリア姫とメイドが1人だ。
「小っさいな。」
カルディアのミニチュアが目も前にいた。外見は文句なしの幼女だ。
「小さい言うな。成長が遅いだけだもん。」
ずいぶん軽い感じの子だな。
「カルディアの妹なんだよな?」
「そうだよ。と言ってもかなり年は結構離れているんだけどね。」
「でも、嫁さん候補のはずだろ。君じゃあ」
小さすぎる。
「十年も経てば気にならなくなるって、まあ姉さんは自分が狙っているみたいだけどねえ」
それで小さなカメリアを出してきたのか。
「これからよろしくね。お兄さん」
その後も次々にお嫁さん候補が到着した。
テンプル騎士国からは、クリス王女とシャルロット
ヤマト国からは、トウカ姫と巫女風の侍女が2人
リニヨン教国からは、聖女ウリアと神官と神官騎士が1人ずつ
クラフト商国からは、シャール王女と侍女が1人
四ヶ国からの候補は知り合いばかりになった。
屋敷は広いのでまだ余裕はあるが、最初に貰ったときは広すぎると思っていた屋敷も、今ではちょうど良く感じるようになってしまった。
その夜、全員を集めての食事会を開くことにする。全員が食堂に集まった頃にクイント皇国第一皇女のアリシャも到着し、食堂に現れたアリシャにお嫁さん候補の女達が注目する。注目する理由はもちろんジンの婚約者という部分で他の者より一歩リードしているからだろう。
注目を集めるアリシャはそんな視線を気にもせずに、ジンの元まで来て。
「ごめん、遅れた」
そう言いながら、椅子に座るジンの膝の上に座る。
「な、何をしていますの?」
シャルロットの額に青筋が走っている。他の女も面白くなさそうだ。
「婚約者の特権?」
「私に聞かないでください!」
ジンはアリシャを脇に手を入れて持ち上げ、隣の椅子に座らせる。
「アリシャはこっち」
「むう」
アリシャが少し不機嫌になったが、他全員が不機嫌になるよりはいい。後ろのメイド達もなんか怖かったし。
「まずは、食事にしよう。うちのフェリスが俺の世界の料理を再現したものでな、まあ俺なりのおもてなしだ。料理の質問は後ろのメイドにしてくれ」
食卓には、以前作ったハンバーグや唐揚げをはじめ、肉料理だけではなく炊き込みご飯や煮込み魚なども再現している。
お嫁さん候補の女達は、舌が肥えていそうで少し心配だったが、おいしそうに食事をしてくれていた。その様子を見てフェリスがジンの後ろで嬉しそうにしている。並んでいる料理の中には、フェリスの創作料理も混じっている。その料理もおいしそうに食べてくれているのが嬉しいようだ。
「見たことが無い料理ばかりです。とてもおいしいです。本当に異世界から来られたんですね。」
「まあな、といってもそんなに凝った料理は知らないんだけどね。この料理もフェリスが色々工夫してくれおかげだしな」
「フェリスさんって戦いでも結果を出したんだよね。すごーい」
カナリアがフェイスを讃える。
「そ、そんなことありませんよ。お兄ちゃんのおかげです。」
「お兄ちゃんのおかげ?何したの?」
「前もって高空戦の特訓をしただけだよ。」
ジンはなんでもないことのように言うが、お嫁さん候補を少なからず驚かせた。
夕食が終盤に差し掛かった頃にジンが
「皆に知らせておかないといけないことがあるんだ。実は俺は数日後には旅に出て、世界を特に亜人の国を回るつもりだ。だから俺は屋敷にいることが少なくなる。」
「そ、それでは、来た意味が無いではありませんか」
「まあ、そうなるが。でも三年後の戦いに必要なことなんだ。」
「同行してもいいのですか?」
「ごめん。最初は、1人で行きたいんだ。」
「どうしてですか?」
「俺は亜人についてほとんど知らない。だから1人で先に行って色々知っておきたいんだ。それに最初は聖痕の力で移動するから同行は不可能だと思う。旅先で合流するのは可能だろうけど。」
「わかりました。」
何人かは来る気満々のようだな。すぐに身内で相談を始めている。
「私達が先に出てもいいのですよね?」
「ああ、構わない。ただ護衛とかのこともあるから俺に相談してね」
クリスの質問に答える。
「居場所は、クルトに腕輪を貰っておくのでそれで頼む。俺からのお知らせは以上だ。それじゃあ俺はこれで失礼するよ。細かいことはまた後日に。」
ジンはそう言って食堂をでる。そして自室に戻ると部屋の前にクレアさんが待っていた。
「クレアさんどうしたんですか、こんなところで?」
「ジンさんにお願いがあります。私をチームに加えてください。」
「えっ、急にどうしたんですかギルドの仕事はどうするんですか?」
「私ギルドは辞めてきました。」
「・・・なんで、そこまで」
「私、拉致されたとき周りの男達の話を聞いてあきらめてました。助からないって思ってました。そこに来るはずのないジンさんが現れて助けられて。その時から、ジンさんのことが好きになっていました。いいえ前から意識はしていたんです。それがこの前のことで」
「ありがとう、嬉しいよ」
「ジンさん、私もハーレムに加えてください!」
今のクレアさんはいつものできる女ではなく、恋する乙女のようでとても可愛く見える。
「喜んで。」
クレアを抱き寄せてキスをする。
「ジンさん」
「ちなみにクレア、もう夜だね」
「えっ、はい」
「そして、ここは俺の部屋のすぐ前だ。」
「・・・」
「おいで」
「ジンさん、ちょ、ちょっと待ってください。まだ心の準備が」
「待たない」
クレアを部屋に引きずり込んでベットに押し倒す。
「ジンさん、あの、ちょっと」
服の上から胸を揉む。
「きゃ」
「やっぱり今日のクレアは可愛いな。つい、いじめたくなる。」
「うう~」
涙目のクレアを解放して
「クレア服脱いで」
「え、はい」
クレアは恥じらいながらも服に手を掛けるが
「あのジンさん、そんなにジロジロ見られると恥ずかしいんですけど」
「いいから。俺に見せ付けるように」
クレアは、恥ずかしがりながら服を脱いでいく。一枚二枚と脱いでいき今は下着姿だ。
「そこでストップ」
下着姿で立っているクレアを後ろから抱きしめる。そしてゆっくり時間を掛けて下着を脱がす、その時のクレアの恥らう姿はグッと来るものがある。全てを脱がして全裸にすると。
「クレアが一番恥ずかしいと思う姿勢を取ってみて」
「・・・はい」
普段のクールな秘書の姿を捨てて、目の前であられもないポーズをとるクレア。
その後も次々と恥ずかしい注文をしていく。
するとクレアは恥ずかしがりながらも従順にすべての注文に答えた。
我慢できなくなったジンと身体を重ねるまで全裸であらゆるポーズをとる羽目になったクレアは、ジンに体のすみずみまで見られることになった。
クレアは、この日を一生忘れることは無いだろう。