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聖痕使い  作者: 中間
第一章:人間の国
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58話 第1回 世界防衛戦:終戦


アルベルトとストルだけではノワールサイの猛攻を抑えきれず、岩壁の一部が破壊されノワールサイが一体が通れるぐらいの穴ができる。そこからノワールサイが岩壁を抜けようとする。


一体のノワールサイが岩壁を抜けるのと同時にジンが奥の手を発動する。


「人工聖痕、発動『無敵』」


発動と同時に疲労の濃かったジンの体に生気が戻る。


「【主これはいったい?治癒ではありませんよね】」


「『無敵』は、七大精霊全てを等しく混ぜることでできる『無色の力』を、扱う能力だ。俺が造り出した人工聖痕に、その『無色の力』を貯めていたんだ。」


「【『無色の力』?人工聖痕?】」


「『無色の力』はあらゆる力の源であらゆる力に色付けできる。今は、体力と治癒力に変換した。もちろん気力、魔力にも変換可能だ。人工聖痕は俺が7つの聖痕を調べて作り出した8つ目の聖痕だ。」


七つの聖痕と『聖痕武器スティグマ・ウェポン』に8つ目の人工聖痕。これこそが聖痕使い・ジンの本領だ。


ノワールサイが突進を仕掛けてくる。


突進を仕掛けたノワールサイはジンの手前で止まった。

どうやらジンが片手で止めたらしい。ノワールサイの突進は木をへし折るほどの威力がある、それを片手で止めてみせたのだ。


「オラァァ」


目の前に突っ立ているノワールサイの横っ面を蹴り飛ばす。ノワールサイの頭がひしゃげて車よりも重い体がふっ飛んでいった。


飛んだノワールサイは、辺りのノワールサイを道連れにして突き進む20体ほどを道連れにして消滅した。


ジンは、岩壁の穴が空いた場所に向かって走り出す。『無敵』状態のジンの気力はSSSを軽く越える。数秒で岩壁にたどり着いた。進行方向にいたノワールサイ全てに斬撃か拳打を浴びせる、その全てのノワールサイは、ジンの後方で黒い粒子になって消滅を始めている。


ジンは、岩壁に取り付いているノワールサイ数百体に、向かって覚えたての『フレイム・バレット』を放つ。普通の『フレイム・バレット』ではない、一つ一つの火球は大きく、熱量も異常だ。ノワールサイの直撃した部分が消滅する。残った部分も黒い粒子になって消滅する。


岩壁が余波で、熔けている。後で聞いた話によるとガラス化していたらしい。


アルベルトとストルの場所に移動すると


「ジンくん、なのか?」


ストルは、自分の前に来た人物が姿形は一緒なのに、一瞬誰かわからなかった。それだけ今のジン存在感は大きくなっていた。

アルベルトが心配そうに


「・・・大丈夫かい?」


「まだ大丈夫だ。今からノワールサイを殲滅する。アルベルトとストルさんは岩壁の崩壊した近辺を守ってくれ。」


「了解した。無理はするなよ。」


「努力はする」


ジンはその後も、戦場を支配し続けた。

ジンが通った後方には黒い粒子が立ち上る。しかし、すべてのノワールサイを凪ぎ払った結果ジンが通った道からは黒い粒子は、発生していなかった。


ジンの左右から黒い粒子が立ち上る様を見た竜騎兵が


「まるで黒い翼のようだな。」


と呟いた。この言葉が世界防衛戦の終了後に、軍に伝わりジンが愛用している闇の精霊王お手製の黒衣と『黒龍刀・鉄』と『黒飛板シュバルツ』が合わさって、戦後ジンは、色々な人に特に兵士から『黒翼』または、英雄と合わせて『黒翼の英雄』と呼ばれるようになった。


ジンの圧倒的な力のおかげで戦いは終わりへと近づいていった。




長い戦闘も終わりに近づき12時を回った。開戦から24時間が経過し大侵攻の日は終わったのだ。魔物の大量発生もすでに止まっている。後は残敵を倒すだけとなった。


ノワールサイの数も1割以下になっている。ジン1人でAランクの魔物を8000体近くは、倒したことになる。


しかし、残り約五百体となった頃


ジンの力の源の『無敵』が解けてしまった。


ジンの動きがガクッと鈍る。『無敵』はアルベルトが言ったように、長時間の使用には向かない、体に負担がかかりすぎるのだ、使用中は『無色の力』で誤魔化しが効くのだが時間切れになると、身体に力が入らなくなり思うように動けなくなるのだ。


左から来たノワールサイの突進をまともに受けてしまいジンの体が空を飛び岩壁に直撃する。


「がっ・・・く、そ・・ぐっ」


ジンは何とか立ち上がるが、突進を『黒龍刀』で受けた際に左腕が折れたようだ。骨折の痛みに、動きが一瞬止まってしまった。


そこを、正面からノワールサイが迫る。ジンは避けられる状態ではない絶体絶命に状況に陥る。


その時、二人の女が岩壁を乗り越えてジンの前に二人の女が降り立つ。


『剣姫』と聖騎士の二人だった。


『剣姫』の剣がジンに迫った角を切り落とし。

聖騎士が巨大化させた聖剣でノワールサイの首を落とす。


「クリス、シャルロットありがとう助かった。でもここで何をしている。これは俺の仕事」


「お黙りなさい!英雄様は、わたくしが戦えるようにと、か、か、肩揉みをしてくれたのではないんですの」


「そうです。我々が、あとの激戦を戦えるようにするために、私を絶頂イカせたのではないのですか?」


「ク、クリス様、表現が直接的すぎます。」


真っ赤になったシャルロットが指摘する、するとクリスの顔にも赤色が混ざる。


「確かにそうだが」


ジンが肯定すると


「それを危険とわかった途端に全部1人で抱え込むなんて酷いですわ。」


「死ぬのが、わかっている戦場に連れて行けるわけがないだろ」


「わかっています。わかっていますけど理解はしていますけど、納得できないんです。」


「俺に、どうしろと?」


「いいんです、英雄様はそのままで」


(さっき酷いって言っただろうに)


「三年後は、一緒に戦ってくださいね」


「努力するよ。それに、まだ終わっていない」


前方にはまだノワールサイが500体前後いるのだ。というか今もこっちに向かってきている。


「だめです。ジン殿は休んでいてください。その腕では、まともに刀も振れないでしょう。」


「まだ右腕がある」


「主、駄目です。」


テツが人の姿に戻ってしまった。


「テツ、だがな」


テツを方を見ると目に涙が浮かんでいた。


「主お願いです。休みましょう。もう無理です。」


ずっと傍で見て、そして使われていたテツには、ジンの身体がすでに限界なのを誰より理解していた。


「・・・わかったよテツ。不安にさせてごめんな。」


折れていない右腕でテツを抱き寄せる。ジンの腕の中で泣いているテツの背中を撫でながら。


「しかし、どうするんだ?俺抜きで」


今はアルベルトとストルが支えてくれているが、二人も結構ボロボロだ。ノワールサイ500体の相手はできないだろう。

そう思っていたときに、


「ご主人様」

「主、ご無事ですか」

「ジン生きてる!」

「お兄様、大丈夫ですか」

「お兄ちゃ~ん」

「ジン様」

「ジン殿、助けに来ました」


ジンの仲間が、岩壁を乗り越えたり空から降りてきたりしてイリヤ、キリ、ユリの戦闘能力の低いメンバー以外が勢ぞろいになっていた。


「あとは、私達にお任せください」


「わたしは、ノワールサイにリベンジだね。」


その後も、続々と救援が到着する。残りの三騎士や竜騎兵部隊を率いたアルシナも到着した。『ランスロウ騎士団』まで来ている。


皆この戦いに参加した人間の中で、かなりの実力者たちだ。それがジンのために一箇所に集まってきてくれたのだ。


「皆、ありが・・と・・・う」


仲間の到着で緊張が解けたのだろうジンは、そこで気を失ってしまった。



彼らの活躍で程なくしてノワールサイ500体は討伐されジンは救出された。



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