55話 第1回 世界防衛戦:休憩
開戦から17時間が経過した朝の5時
ワームを撃破してからも前線では戦闘が続いていたが、それほど激しい戦いにはなっていなかった。
南方軍の天幕では
「ジンは、大丈夫だろうか?」
ジャック騎士王は、ジンの騎士に質問してみる。
「大丈夫でしょう。主はグスター王の死ではなく一発も殴れなかったことにショックを受けていたようなので」
「まあ、確かに私を含め他国の王にとってグスター王の死は、どちらかというと吉報ですからな」
「その内、落ち着きますよ。」
「できれば、早いほうがいいだろう。何か無いかな?」
「そうですね。・・・女、ですかね」
「英雄色を好むと言うしな。よしクリス、シャルロット、ジンを励まして来い。」
シャルロットとは、聖騎士のことだ。貴族のお嬢様で、髪型はボリュームたっぷりな長い金髪を巻き毛にしている。顔立ちは、可愛らしくまだ子供っぽさを残している。
「わかりましたわ。私も英雄殿に興味がありますし。」
「シャルロット、もしかしてジン殿のことを」
「ち、違いますわ。というか展開が急すぎませんか、クリス様」
真っ赤になって反論するシャルロット。
「そうかなあ?」
「そうですわ」
「・・・まあいいか、それじゃあ行こうか」
「はい」
二人は、天幕を出る。
「クリス様、英雄殿はどういう御方なんですの?」
「わたしも、それほど詳しくありませんが。聞いた話だと、グーロムとの戦争の時に人を殺して悲しんでいたそうです。」
「どうしてですの?戦争ならしかたないではありませんか」
「彼は仕方ないから殺す、というのが嫌いだそうです。それに彼の故郷は戦争の無い所だったそうですよ。」
「平和だったのですね。結局どんな御方なんですの?」
「う~ん、難しいな。会って話してみるといい。その方が早い」
「まあ、それはそうでしょうけど」
二人は、話しながら横の天幕に移動する。
ジンがいる天幕に近づくと中から
「ご主人様、気持ちいいですか?」
「ああ、気持ちいいぞ」
「「ご主人様こっちは、どうですか?」」
今度の、声は少し幼く感じる。
「ご主・様、・・・堅いですね。」
「・・・熱いです」
「じゃあ今度は、わたしが・・・に乗りますね。」
天幕越しでよく聞こえない
「「ご主人様~次は私ですよ~」」
シャルロットの顔がどんどん赤くなっていく。すぐに限界がきたようだ。シャルロットは、天幕の中に飛び込んで
「あなた方戦場でいったい何をしているんですの!?」
「うん?」
「・・・え~と、マッサージかな」
「マッサージですね」
「指圧です。」
「へっ」
シャルロットは、お嬢様らしからぬ声をだした。
シャルロットが入った天幕の中には、うつ伏せになった英雄と、その背に乗って指圧をしているエルフの女性と足を揉んでいる小人と思われる少女が二人いた。
「えと、私は、その、・・・失礼しますわ。」
勢いよく天幕に入ってきた令嬢が、今度は飛び出していった。
「キリ、ユリ確保」
「「はーい」」
動揺していたシャルロットは、キリとユリの連携の取れた追い込みにあっさり捕まった。小さなキリとユリを乱暴に振り払うこともできずシャルロットは天幕の中に連れ戻される。
「シャルロットさんが、どういう勘違いをしていたのかは大体わかっているよ」
「うっ・・・その、すみません」
「べつにいいよ。可愛かったから」
シャルロットの顔がこれでもかと赤くなっていく。
「主は、元々気づいていたから、あまり気にしなくてもいい」
テツも人の姿を取って話に加わる。
「気づいていた?」
「主は、精霊を使って周りの音を拾っている」
シャルロットが責めるようにジンに目を向ける。
「ごめんね。可愛かったから」
ジンのちょっとした悪戯だった。
「いえ、私が勝手に勘違いしたんですし。とてもお元気そうですね。先程はグスター王が死んで、ずいぶん落ち込んでいましたのに」
さっきの話題を出す、それがシャルロットの精一杯の反撃だった。
ジンはその言葉に、思っていたより明るい口調で
「ああ、そのことで来てくれたのか、ありがとう。」
「べ、別に、そんなことは」
ただの礼に動揺するシャルロットをクリスが面白そうに見ている。視線に気づいてシャルロットは、俯いてしまった。
そのシャルロットに向かってジンが話す。
「本当に来てくれてありがとう。ただ、前向きに考えることにしたんだよ。俺があの時グスターを殺したり痛めつけていれば、国際問題になっていただろう。小国の王達から反発が出たかもしれない、これからのことを考えると、それは困るんだ。それにワームに生きたまま喰われるのも、まあまあ惨いと思うしな。」
シャルロットとしては、『まあまあ』どころではないと思うのだが、もっと酷いことをするつもりだったのだろうか?
「それで精神的には、折り合いが付いたから今度は、体を休めていたんだよ。君達も休んでいくといい、イリヤは治癒術師だから、マッサージも気持ちいいぞ。」
「遠慮しますわ。まだ戦闘中ですから」
「そういうな。おそらくこれから先にこの戦いの山場が来る。こういう戦いでは、終わりの方で何かがあるものだし、東方軍にだけワームが出なかったのも気になる。きっと何かあるだろう。だから今は体を休めたほうがいい」
「はあ、それでは、休みますか?」
「休みましょう」
「じゃあ、シャルロットさんには、俺がマッサージしよう」
「そんな英雄殿にしてもらうわけには」
「いいからいいから、座って座って」
シャルロットを近くの椅子に座らせる。
「俺は肩揉みをさせて貰おう。」
ジンがシャルロットの肩に手を置くと
シャルロットが肩をピクッと震わせる。
「あの、今何を?」
「ああ、俺の肩揉みは、指圧と電流を使ったものでね、ちょっと刺激が強いかもしれない」
「あの、胸が、ピリッてしたのですが」
「まあ、上半身全体をマッサージするようなものだからね。胸も対称だよ。大丈夫、触ったりはしないから」
ジンは、肩揉みを続けると、シャルロットの胸も大きく弾んだ。
「気持ちいい?」
「気持ち、いい、ですが、これ、は、その、あん」
シャルロットの身体がピクピク震えている。誰が見てもわかるぐらいシャルロットは、強い快感を得ていた。ジンは、シャルロットの身体が火照っていくのに気づかないふりをして肩揉みを続ける。
「それは、よかった。もっと激しくしよう」
「あっ、ちょ、まっ、あぁん」
シャルロットは言葉を中断され、その後も長い間、肩を揉まれ続けた。
「あっ・・・んっ・・・あ~~・・」
シャルロットの顔はだらしなく緩み、開きっぱなしの口からは、よだれが垂れている。シャルロットは、長い肩揉みでトロトロになっていた。
そこにジンが
「それじゃあ、これで止めだ」
そう言うとジンは親指で背中を押す、するとシャルロットが
「-----ッ」
身体を特に胸を大きく震わせて仰け反る、声にならない悲鳴を上げて絶頂に導かれた。くた~とジンに背中を預けるシャルロットに。
「どうだった?」
「とても、はあはあ、気持ち、よかった、ですわ、英雄様。」
この時のシャルロットの心の中は、ジンの存在がすべてになっていた。
「また今度してあげるよ」
「はい、お願いしますわ。」
シャルロットは、そこで一度気を失った。一部始終を見ていたクリスは、真っ赤にしてイリヤのマッサージを受けている。
「俺がしようか?」
「え、遠慮する。と言うよりあれは絶対に、肩揉みじゃ無かったと思うんだが」
「ハハハ、まあそうかもね。」
「はあ~」
ジンの笑顔にクリスはため息をついて
「・・・それより先程の話は本当ですか?」
「あくまで推測だよ、推測」
「それでも、もし何かあったら」
「そのために今は休むんだよ。どうせ即応できるのは、俺かアルベルトくらいだからな」
「そうですか。・・・・・どうして後ろに立ってるんですか?」
「肩揉み」
「やっぱりですか!」
ガシッ
ジンがクリスの肩を掴む。
「あっ・・・」
「大丈夫だよ。まだ時間はあるから」
「や、だめ、うっん・・・あっ」
それから20分かけて、クリスは絶頂に導かれた後、失神した。
ちなみに、今回戦闘には参加していない三人のギルドカードは次のようになっています。
名前 イリヤ 種族 エルフ 性別 女
ギルドランク D
能力ランク 総合B 気力B 魔力A
チーム 『世界を結ぶ者達』
称号 ジンのメイド 治癒術師
名前 キリ 種族 小人俗 性別 女
ギルドランク E
能力ランク 総合D 気力B 魔力E
チーム 『世界を結ぶ者達』
称号 ジンの娘
名前 ユリ 種族 小人族 性別 女
ギルドランク E
能力ランク 総合D 気力B 魔力E
チーム 『世界を結ぶ者達』
称号 ジンの娘