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聖痕使い  作者: 中間
第一章:人間の国
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54話 第1回 世界防衛戦:地中の敵

開戦から15時間、真夜中の3時頃、独立部隊が南方軍に到着した。


今は、天幕で対策を話し合っていた。天幕の中にはジャック騎士王とクリス王女とカリウス教皇あと三騎士が南方軍から、独立部隊からはレティーシア、ジーク、カイルとジンが来ている。アルシナもこの場に来ている。


「ジャック、一応作戦があるんだが」


「聞かせてくれ、正直お手上げだ。ワームを討伐するときは、専用の毒入りの餌と拘束具を使用するのが普通なんだ。あいにくそれらはここには無いし、それも同時に三体だ。かなり厳しい状況なんだが、どんな方法が?」


「作戦は単純だ、俺が外に出す。うちの者と、三騎士の方々で仕留めて終わり。」


「わかりましたわ。」


真っ先に賛成したのは、三騎士の聖騎士パラディンだった。声からわかるとおり女性だった。口調からして、おそらく貴族の令嬢なのだろう。

他の三騎士は声は出さなかったがその場で頷いた。兜を着けていて表情はわからないが、二人とも体から戦意が満ち溢れている。ワームに好き勝手されて相当鬱憤が溜まっているようだな。


三騎士の様子を見たジャックが


「わかった。君達に任せよう」



全員が配置に着いてしばらくすると、


ボコボコボコ


「出た」


ワームが姿を現した。ジンは、空を飛んで出現地点を目指す。喰われそうになっていた女兵士を『飛燕弾』を撃ってワームから助ける。

もちろん『飛燕弾』では、大したダメージを与えられないのは、承知している。ワームはまた地中へと潜ってしまった。ジンはワームが潜った付近に着地して。


「大丈夫?」


「は、はい。」


何故か女兵士は、頬染めていた。


「じゃあ危ないからそこにいてね。土の聖痕スティグマを発動『岩皇』」


ジンは、地に手を付いて地中のワームを探す。


「・・・見つけた。全員いくぞ、絶対仕留めろよ。」


地面が隆起したかと思ったら、地面が割れてそこからワームが飛び出してきた。ジンは、すかさずワームが地中に逃げないように地面を固める。


レティーシア、ジーク、カイル、と三騎士がそれぞれがワームに襲いかかる。


レティーシア、ジーク、カイルの三人は、剣術と魔術を併用して戦うスタイルを目指した。その結果、臨機応変な戦いができるようになっていた。三人とも長剣と盾の装備して格好だ。

三人のギルドカードは、


名前 レティーシア 種族 人間 性別 女

 ギルドランク B

 能力ランク 総合A 気力S 魔力B 

 チーム 『世界を結ぶ者達』

 称号 ジンの女 皇女 


名前 ジーク 種族 人間 性別 男

 ギルドランク A

 能力ランク 総合A  気力S 魔力B

 チーム 『世界を結ぶ者達』

 称号 一級騎士


名前 カイル 種族 人間 性別 男

 ギルドランク B

 能力ランク 総合B 気力A 魔力B

 チーム 『世界を結ぶ者達』

 称号 二級騎士


三人は目立った成長はないが、堅実な成長を遂げていた。


地上に出たワームは、その巨体をくねらせて周りの兵士を薙ぎ払う。一般の兵士達が吹き飛ばされる中、レティーシア、ジーク、カイルはその巨体を避けてワームの体に飛び乗って剣と魔術で近距離攻撃を仕掛ける。三騎士は、向かってきたワームの体を各々の方法で撃退していた。聖騎士は、聖剣カリバーンの刃を巨大化させてその巨体を切り落とした。炎騎士は、ワームの体に飛び乗って魔剣レヴァンティンを突き刺し体内から燃やす。竜騎士は、巨体を片手で受け止め空いた手に持った竜剣ドラグニルで切りつけていた。


数分の戦闘の後、ワームは力尽き黒い粒子となって消滅した。


「助かったよ、ありがとう」


「こっちも助かった。三騎士がいなければもっと手間取っていただろうからな。」


「今から他のところに行くのかい?」


「いいや、様子見する。俺が行かずに片付くならそれに越したことは無い。」


「そういえば、西方軍には遊撃部隊を行かせたらしいが、北方軍は?」


「北方軍は、大丈夫だろ。最後の助っ人が少し前に到着したからな」



ジン達が話し込んでいた時、


西方軍では意外なことに『ランスロウ騎士団』が活躍していた。『ランスロウ騎士団』は、あらゆる魔物との戦闘を想定して準備をしていた。その中にワームに対する対策もあったのだ。

ワームが好む魔物の肉にワーム用の痺れ薬を大量に含ませたものを仕掛ける。肉を食べて動きが鈍ったところをカロルドの剛槍がワームを貫いていた。他の騎士たちもワームを攻撃している。『双獣の双炎(そうじゅうそうえん)』のメンバーもワームを一体撃破していた。



北方軍では、ワームが大きな長方形の岩塊から体を突き出した状態で身動きが取れなくなっていた。


これをやったのは、先程戦場に到着した最後の助っ人


岩窟竜のストルだ


「さあ、後は適当に倒してくれ」


身動きの取れないワームを、竜騎兵が始末して回る。


「助力感謝する。」

「あなたもジン殿の、彼は計り知れませんね」

「ありがとうございます。ストルさん」


王と王女が謝辞を述べる。


「久しぶりだな。ストルの爺さん」


銀龍のアルベルトは、気さくに挨拶をしていた。


「アルベルトの坊やか、大きくなったなあ」


「どうも」


「しかし、来るのが遅れてすまなかったな。かなり被害がでたそうな。どこかの高貴な人間が死んだと聞いたが」


「ああ確かに死んだよ」


「えっ、どの方が?あまり騒ぎにはなっていないようですが」


トウカも知らないようだ。


「グスターだ」



南方軍の天幕


「グスターが、死んだ、だ、と」


愕然としたジンが報告を繰り返す。


「ああ、うん悪くワームの一番最初の攻撃で呑み込まれたようだ。どうしたんだい?君はグスターを嫌っていたと思うのだが」


「俺の身内を攫った黒幕が、グスター王だったんだ」


「なっ」


「あの野郎、俺がる前に死にやがって!」


グスターの名前を聞いて、グスターに対しての怒りを思い出したが、その本人はすでに死んでいる。やり場の無い怒りが、ジンの心を満たす。


「・・・ジンどうするんだい?グスターは王だったから、カルモンド王国に賠償を請求することもできるが」


ジャックが恐る恐る尋ねる。下手をしたら国際問題になる可能性がある。

しかし、ジンは怒りをなんとか治めて


「しないよ、俺のはあくまでグスター個人に対する恨みだ。憎しみの対象を広げるようなことはしない。そんなことをしたらきりが無いだろ。」


「それを聞いて安心した。今はエクス王子が指揮を執っているそうだ。」


ジンは本当に疲れた様子で


「そうか。俺は疲れた、肉体的にも精神的にも。だから少し休むことにするよ。」


「わかった。横の天幕を使うといい、クリス、ジンを案内しなさい。」


「わかりました。ジンさんこちらへどうぞ」



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