表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖痕使い  作者: 中間
第一章:人間の国
54/74

52話 第1回 世界防衛戦:英雄参戦

会戦から9時間が経過した頃、戦場は闇に包まれていた。


連合軍では、篝火が灯して自軍を照らしていた。

そんな中、連合軍は窮地に立たされていた。大量の魔鳥ヤガラスが黒い半球からでてきたのだ。連合軍は空の魔鳥から一方的に攻撃を受けることになっていた。


連合軍で空を飛べるのは竜騎兵部隊ドラグーン・チームと銀龍のアルベルトとティリエルだけだ、とても戦場全てをカバーできない。

他のものでは地上から攻撃しても暗くて狙いが定まらずほとんど効果がないのだ。

今は竜騎兵と銀龍が鳥型の魔物を倒してくれるのを期待するしかなかった。


しかし、竜騎兵は持久戦を考えて魔術や竜のブレスは控えランスで突き殺すようにしていたので撃破するのに時間がかかっていた。


アルベルトは、1日くらいは余裕で戦えるので全力で次々と撃破していた。


そして目覚ましい働きをしたのが、ティリエルの背に乗ったミリアとフェリスのメイドさんコンビだった。


フェリスが、光系の魔術で辺りを照らすそこを早い雷系の魔術で撃ち落としていた。


「『ライトボール』」

「『サンダー・アロウ』」


二人の息もぴったりだ。今も『ライトボール』で見つけた魔鳥ヤガラスをミリアが『サンダー・アロウ』で撃ち落とした。今日のためにジンが二人を組ませて訓練をした成果だ。

訓練を重ねたことで二人は、まるで姉妹のように仲良しになっていた。


「やりましたね、ミリアさん」


「ええ、フェリスちゃん。それにしても不甲斐ないですね」


「??なにがですか?」


フェリスは、不思議そうな表情を浮かべる。話の流れで自分達の事ではないと思うのだが


「各国の対応のことです。どの国も対応できていないではないですか。」


「仕方無いですよ。もともと空の戦いなんてただの人には経験なんてありませんから。お兄様がすごいんですよ。」


ティリエルも会話に入ってきた。


「それもそうですね。さすがは、私達のご主人様です。」


「そういえばお兄ちゃんまだかな?」


「そろそろ来られるでしょう。」


「あはは、1週間かかる道程を十時間足らずで帰って来てもお兄ちゃんならそんなに驚きませんね。」


「そうですね。・・・あっ、ミリアさん、フェリスさん次が来ました。今度は多いです。」


「わかりました。魔の光よ、闇を払いて、わが敵を照らし出せ『ライトボール』」


今回の光球は、かなり大きい、それでも今のフェリスには朝飯前だ。


「『サンダー・アロウ』」


ミリアは、『サンダー・アロウ』を無詠唱で使った、さらにその後は技名の詠唱も行わずに雷の矢を放っていた。


お互い得意分野を磨いた結果、それぞれの足りない所を補い合うことがでるようになった。

フェリスが多様性と威力を

ミリアが速度と正確さを

それぞれ磨いていた。



二人の今のギルドカードは、


名前 ミリア 種族 人間 性別 女

 ギルドランク D

 能力ランク 総合B 気力C 魔力A  

 チーム 『世界を結ぶ者達』

 称号 ジンのメイド 雷術師 風術師


名前 フェリス 種族 人間 性別 女

 ギルドランク D

 能力ランク 総合B 気力D 魔力S

 チーム 『世界を結ぶ者達』

 称号 ジンの料理人 ジンの義妹


三人は、近くの魔鳥を片付けた後、別の場所の魔鳥も倒して回った。



別の空では、


「隊長、いきました。」


「任せろ!、ハァァ」


隊長は、気合い声を上げて手に持ったランスで逃げてきた魔鳥を貫いた。魔鳥は黒い粒子になって消滅する。


「お見事です。」


二人の竜騎兵ドラグーンだった。

驚いたことに二人の声は、女性のそれだった。

竜騎兵になる絶対条件は竜を手なずけることだ。これがかなり難しい、竜もいくらかは人に馴れているがティリエルやアルベルトのように言葉を交わせるわけではないのだ。

そして何故か女性の方が竜がなつきやすいのだ。

実際、竜騎兵部隊ドラグーン・チームの男女比は、半々だ。


隊長と呼ばれた女性は、美しい女性だった。名前はアルシナ、竜騎兵部隊の隊長を勤める女傑だ。


「あっちの方がすごいさ」


アルシナがティリエルたちの方を見ながら言う。そこでは、二人と銀流が次々と魔鳥を撃ち落していた。


「確かにすごいですね。『英雄ジン』の仲間って皆あんな感じなんでしょうか?」


「さあな、わたしは英雄の方に興味があるが」


「だ、ダメですよ。隊長は男なんかに惑わされちゃあ」


「君は私を何だと思っているんだ・・・・うん?通信だ」


「【アルシナ隊長ですか?】」


「ああ、そうだ」


「【先程、大量の魔鳥の発生を確認しました。今すぐ地上に退避してください】」


「何を言う、それこそ我々が」


「【これは命令です。詳しくはわかりませんが、空にはすでに手を打っているそうです。】」


「・・・・・わかった。」


アルシナの遠い空に数千の魔鳥を確認した。


「あれをどうにかできるのか?」


アルシナは、疑問に思いながらも地上に降りた。




「本当に大丈夫なのか?」


開戦から10時間が過ぎた頃


アルシナが地上に降りてから数分たった。空には5千近い魔鳥ヤガラスが飛び交っていた。


地上に降りたアルシナは空を見ながら


「今からじゃあ空に上がるのは厳しいな」


「どうします?」


「どうするも何も・・・・・あっちから来るさ」


魔鳥が空で攻撃態勢に入っていた。おそらく攻撃は圧縮した風の塊だろう


(手を打ったんじゃなかったのか)


今にも攻撃が放たれようとした瞬間



「『万雷ばんらい』」



万の雷が、すべての魔鳥を貫いた。


「なっ」


一匹の例外なく空にいたすべて魔鳥は、黒い粒子になって消滅した。


「なん、ですか、これ?」


「わからん、だがこんなことができるのは」


アルシナが結論を言おうとした時、空から人が降ってきた


「到着っと」


降ってきたのは、男だった。男は重力を感じさせない着地を決め。


「あ~、着いたぞ。言われたとおり空の魔物は一掃した」


男は、通信用の腕輪で誰かと話している。


「こっからは、好きに動くからな、そのための独立部隊だろ」


これが決定的だった連合軍で独立部隊を任されているのは、クイント皇国の英雄だ。


つまり目の前にいるのは『英雄ジン』なのだ。


「貴方が英雄のジン殿なのですか?」


「うん?そうだよ、始めまして。そっちは、え~と、竜騎兵の隊長さん?」


「アルシナだ、よろしく」


「よろしく、突然で悪いんだけどアルシナさんに、お願いがあるんだけどいい?」


「なんだい」


「独立部隊の場所に連れて行ってほしいんだ」


「貴方は空を飛べるのでは?」


「さっきの『万雷』で聖痕が切れたんだ。風の聖痕も切れてるから空を飛ぶには専用の装備がいるんだそれを取りに行きたいんだ」


「わかった、後ろに乗るといい」


アルシナは、後ろにいる白竜を指差しながら言う。


「ありがとう」


「だ、だめですよ。隊長、男と相乗りだなんて」


「バカなことを言っていないでお前は他の部隊と合流しろ」


アルシナは、部下を諌めながら竜に乗る。ジンもそれに続く。


「うう~、お姉様に手を出したら承知しませんからね!」


「お姉様と呼ぶなと言っただろう!」


ジンが呆れていると、


「ゴホン・・・あ~私は行くからな」


アルシナは、返事を待たずにジンを乗せて飛び立った。部下の女はまだ何か喚いていたが無視することにしたようだ。


白竜の背に乗りながら(そういえばティリエル以外の竜に乗ってティリエルに怒られないかな?)などと考えていると


「ジン殿、いくつか質問してもいいだろうか?」


「どうぞ」


「貴方ほどの力がありながら、今までどこにいたんですか?」


「皇都」


「は?」


「だから皇都まで行って人質を解放してから帰ってきたんだよ」


「人質、・・・なるほど、大体状況はわかりましたが、それでもなぜ数人のために戦場を離れたのか理由を聞かせてもらえませんか?」


「う~ん、いいけど、先に質問をしてもいいかい?」


「答えられることなら、答えよう」


「じゃあ聞くけど、君は何のために戦ったの?」


「えっ・・・それは、・・・世界を守るために」


「嘘だね。この世界の人間で世界を正しく認識できる人間がいるとは思えない。本当の理由は、この世界に住む誰かだったり、国だったり環境だったりのはずだよ。」


「確かに、そう、かも、しれませんね」


「俺も同じだよ。いや、異世界から来た俺にとって、屋敷の人間は家族ように大切な存在だ。俺は、家族のために戦っているそれだけだ。」


「それは、世界を守ることと反するのか?」


「手段と目的を間違えちゃダメだろ。ここでは世界を守るのが手段で、俺の女を大事にするのが目的だ。手段のために目的を犠牲にしたら意味がないだろ」


「そう言われるとなんとなく納得してしまうな」


「納得するのか、普通は理解できてもなかなか頷けないものなんだが。君は面白いな、どうだ俺の女にならないか?」


「きゅ、急になにを言っている。ふざけているのか!」


アルシナが真っ赤になって怒鳴る。それは怒りかそれとも恥ずかしいだけなのかは、わからない。


「そんなつもりはない、まあすぐに答えなくてもいいよ。そうだなこれから俺の活躍を見ていてくれないか?」


「それぐらいはいいが」


「それじゃあ、アルシナが見てくれるんだから頑張らないとな」


実はアルシナの中では、ジンの評価はそんなに悪くなかった。彼女も竜騎兵をやっているから、それなりに力に価値を置く考えを持っている。そしてジンの力は魔鳥5千を一瞬で片付けるほどだった。力に溺れている感じでもないし、突然の告白には驚いたが、戦士としては草食系より肉食系のほうが、という思いもある。

それに、(世界より女を助けに行ったりするし、とても大事にしてくれそうだな~)と乙女なことも考えていた。


アルシナは傍目はためにはわからないが内心では、かなりジンのことを意識していたのだ。


アルシナは、ドキドキしながらジンを独立部隊に送る羽目になった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ