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聖痕使い  作者: 中間
第一章:人間の国
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34話 岩窟竜

異世界44日目


「魔の火よ、眼前の敵を燃き尽くせ、『ファイア・ボール』」


指輪で増強された魔力でフェリスが、直径1メートルぐらいの火球がハイウルフに命中する。


「できた。できたよ、お兄ちゃん。褒めて褒めて」


「すごいぞ、フェリス」


誉めながらフェリスの頭を撫でてやる。

ジン達は、今別れて行動している。Bチーム、Cチーム、Dチームでゴブリンの群れ討伐に出ている。


そして余った、Aチーム、Eチームは実戦経験のないフェリスの魔術の練習をすることになったのだ。

今は、Fランクの魔物しかでない森にいる。


ミリアは、元レティーシアの付きのメイドだったからか、今のギルドランクの依頼ぐらいなら問題ないそうだ。

ここには、俺と小太刀のテツ、ダガーの練習をしているティリエルと教師役のイリヤと生徒役のフェリスがいる。



俺も将来的には魔術も使うつもりだから、イリヤの説明をフェリスと一緒にしっかり聞く。


「体内にある魔力の源は、基本無色と言われていますが、これを魔力に変換する時に、色が付く人がいます。」


「色ってなんですか?」


「この場合の色は、視覚的な意味での色ではなくて、魔力の質のことで赤だと火の、緑だと風の魔術に使えます。」


「へえ」


「変換するさ時に色が付く人は、その色の魔術に関しては、詠唱短縮、威力増加などいくつかの利点がありますが、その代わり他の魔術を扱いづらいです。」


イリヤなんだか楽しそうだな。教えるのがすきなのだろうか?


「ちなみに、私は薄い白で治癒術が得意です。そして赤色を持つ人を炎術師、緑色を持つ人を風術師、私の薄い白は治癒術師等と呼ぶこともあります。ミリアさんは、変わっていて緑と黄色の二つを持っています。」


「それで、ミリアさんの指輪は、二つ魔石が付いていたんですね。」


「そうですよ。フェリスさんは無色のようでしたので増幅の指輪にしましたね。」


「じゃあ、私は得意な魔術ないんだ。」


フェリスが落ち込んでしまった。イリヤが慌ててフォローする。


「だ、大丈夫ですよ。得意なものはなくても不得意なものもありませんから。」


「器用貧乏?」


「はぅ!?」


見事なカウンターが入った。


「フェリスあまりイリヤで遊ぶな」


「えへへ~ごめんなさい、イリヤさん天然で面白いんだもん」


「それは認めよう」


「ご主人様〜」


イリヤが、可愛いらしい非難の目を向けてくる

うん、可愛いだけだな


こんな感じで緩くフェリスの練習または修行を続けた。




ゴブリンの群れは問題なく討伐できたらしいです。




異世界48日目


次の依頼


モルド伯爵領の、依頼主であるモルド伯爵に岩窟竜討伐の補足事項について聞きにきたのだが


「貴様らは、岩窟竜をさっさと倒せばいいのだ」


こればかりだ。


「ですから、討伐で5万その場から移動させるだけで3万と依頼にあるのでその確認をですね」


補足事項とは、街道から移動させれば必ずしも討伐する必要はない、というものだった。


「知らん知らん、さっさとあの邪魔者を討伐してこい」


「では、この依頼は、破棄されるのですね?」


「そんなこといっておらん、ええい、貴様らは黙って言うこときけ」


「話になりませんね。私たちはあなたの部下ではありません。そういうことでしたら、ギルドのほうに再申請してください。」


こちらが、席を立つと


「ま、待て、わかった。その依頼の通りでいい」


「わかりました。」


胸くそ悪い屋敷を後にする。


今は、Bチームが牛鬼討伐に出ているので、周りは女ばかりだ。


「ご主人様、何故あのような者に会いに行かれたのですか?」


「岩窟竜を説得ができるなら戦う必要がないだろ」


「り、竜を説得ですか」


「ティリエルがいるから可能性はある。それにアッシュの情報で、あいつは奴隷を持っている可能性があるんだ。」


「でしたら、その、何故捕まえないのですか?」


「目撃情報はあるんだが、奴隷そのものが見つからないんだ。今も精霊術を使って探していたんだが見つからなかった。」


「ガセってこと?」


「まだわからん、もう一度屋敷に入るためには、依頼を終わらせないとな」


ティリエルだけを連れて、岩窟竜に会いに行くことに。

岩窟竜は、モルド伯爵領が使う大きな街道を塞いでいた。確かに邪魔だな。

討伐されないのは、基本無害だからか?

岩窟竜から攻撃はしてこないそうだし。村の人間は、山賊がいなくなったと喜んですらいた。


岩窟竜は、巨大な岩のような竜だった。その体は、ノワールサイよりさらに硬く柔軟らしい。竜ならブレスも扱うだろうから本来ならSランクの依頼だ。それがAランクなのは岩窟竜が本当におとなしいのだろう。


岩窟竜の頭部と思われる場所に移動する。(わかりづらい)


「ティリエル話せそう?」


「はい、といいますか、たぶん」


ティリエルが、何故か反応に困っている。


「ワシと話がしたいのか?」


「うお、びっくりした。喋れたのか」


それでティリエルが困っていたのか。


「ワシは、これでも長く生きておる。人の言葉くらいは扱える。それにしても珍しい組み合わせじゃな、銀龍の嬢ちゃんと、う~ん・・・人間か?」


「一応人間だ。話ができるなら、手っ取り早い。単刀直入に聞く、じいさんはなんでここにいるんだ?」


「お、お兄様。古龍と言ってもいい方に、じいさんはちょっと」


「じいさんかそれも悪くないが、ワシの名前はストルと言う。」


「そうか、ならストルさんと呼ぼう。俺はジン、救世主をやっている」


「わ、私は、ティリエルと申します。」


「救世主?まあよかろう、よろしくの。さてワシがここにいる理由じゃったな。」


あっさり流されてしまった。まったく動じないな。


「ワシは、とある村で縁あって小人族を守っておったのだが、一ヶ月ほど前に村の小人族が三人ほど人間に連れ去られての。特殊な方法で追いかけて、あの屋敷にいることがわかったのだが、攻撃して事を大きくしては、小人が殺されかねん。それで、ここに陣取ってジンくんみたいなのか、屋敷の誰かが交渉に来るのを待っておったのだ」


「小人族・・・そういうことかあのゲス野郎!、連れ去られた小人族が心配だ。ストルさんこちらの要件を話させてもらう」


小人と聞いて、何故見つからなかったのか、わかった。



要件を話し終え、ストルさんは、しばらく黙考して


「ジンくんの申し出を受けよう。これは、友好の証だ受け取ってくれ。」


ストルさんがくれたのは、きれいな丸い石だった。蒼くて透明で宝石のようだった。それを三つくれた。それがなにか知っているのだろうティリエルが


「よろしいのですか?これほどの物を三つも」


「それだけの価値が君たちにはあるとワシは判断した。」


「ティリエルこれは、なんなんだ?」


「『竜宝珠』、地に属する竜にだけつくることのできる宝珠でつくるのに長い時間を必要とします。地の竜にとって家宝のようなもので、人にとっても売値で最低でも50万ギルはします。それにこの竜宝珠はとても純度が高いです。」


ティリエルが、興奮している。


「ストルさん一つテツに与えていいか?」


「その不思議な小太刀のことか構わんよ」


気付いていたか、小太刀の姿なのによくわかるな。アルベルトとどっちが強いんだろう?


それにしても、ありがたい


テツを抜き宝珠と重ねる、今までの吸収で一番強い光を放った。



「主、これすごい。力が溢れてきます。」


テツは、突然人型になった。顔を見ると頬を上気させている。瞳が蒼っぽく変化している。落ち着くのを待って


「テツ、小太刀になってみてくれるか」


テツに小太刀になってもらい持ってみると、その存在感がまるで違った。見た目は小太刀なのに大剣以上の存在感だ。斬らなくてもその鋭さが格段にあがっているのがわかった。刀身にあった白い龍の紋様が変化して、青い龍と白い龍が絡み合った紋様になっている。


「【主私を両手で持ってみてください。】」


「こうか」


テツが光だした、光が収まったとき二振りの小太刀が握られていた。左の小太刀に白の龍が、右の小太刀に青の龍の紋様が浮かんでいる。


「【隠し機能そのニです。】」


「はは、すごいな」


「【長さもその内変えられるかもしれないです。ただ力は半々になってしまいます。】」


「それでもすごいよ。やっぱりお前は最高だテツ。」


「【ありがとうございます。・・・そして私はもう餓えた『鉄餓刀』ではありません。主のおかげで『黒龍刀・鉄』へと成長しました。これで私は、主のための主だけの刀になれました。】」


「俺だけの」


嬉しさを噛み締める。


一通り感動したあと。


「ストルさん一度ここを離れてくれないか、そうしたら屋敷にすんなり入れるんだ。」


「わかった。ジンくんティリエルちゃんそれにテツちゃん後は頼んだよ」


「任せてくれ」

「「はい!」」




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