表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖痕使い  作者: 中間
第一章:人間の国
34/74

33話 決闘 英雄VS師団長

「ただ決闘するのもつまらないな、そうだな賭けをしよう」


「賭けだと?」


「そう賭けだ。俺の方からは、そうだな・・・俺が勝ったら今後一切アリシャに近づかないで貰おうか」


「ふん、いいだろう。その代わり俺が勝ったら、お前を奴隷にして売り払ってやる」


こいつ奴隷と言ったか。皇国で禁止されていることを当たり前のように。適当な時に潰しておくか、その方がこの国のためになりそうだ。


「これよりジン殿とラウル殿の決闘を始める。攻撃防御は、持った武器のみ魔術や精霊術などの使用は禁止とする。急所への攻撃も禁止、急所に当てた場合当てたほうの負けとします。それでは・・・・・始め」


合図をしてくれたのは、訓練場で訓練をしていた他の師団長だ。審判をお願いした。

こいつラウルって名前なんだ。そういえばこいつの名前聞いてなかったな、まあ興味もないしどうせすぐ忘れるいいか。

俺が使う武器は短い木刀、ラウルが使うのは長めの木剣だ。


驚きの速さでラウルが間合いを詰め、左から木剣を横に振るう。ジンはこれを木刀で受け止める。ラウルは、すぐに木剣を引きなんども突きを放ってくるがこれらをジンはすべて弾いてみせる。次にラウルは上段から木剣を振り下ろすが、これは後ろに飛び避ける。


「どうした、攻撃してこないのか、それとも手も足も出ないか」


「以外だったよ、もう少し雑魚っぽいと思ってた。」


実際すべて防いでいるが、ラウルの攻撃は一連の流れになっており切り込む隙がない。今までこの世界でまともに打ち合ったことがあるのはラシードとレティーシアだが、少なくともレティーシアよりも強いだろう。

だから、まずラウルを一度蹴り飛ばして距離をとる。


「ぐっ、だがこれくらいで」


「ちょっと確認したいんだけど、いい?」


「なんだ命乞いか?」


「いいや、ただあんたに本気でやっていいか聞こうと思ってな」


「貴様ふざけるなよ、これは決闘だぞ本気でやれ」


「いいぜ、レイシアさんそこの木刀投げてください」


「ふぇっ、・・・こ、これですか?」


突然呼ばれて驚いたレイシアさんが近くの壁に立てかけてあった通常の長さの木刀を持ち上げる


「そうそれです。投げてください」


投げてもらう


「ありがとうございます」


「なんだ武器の長さの問題だとでもいうのか」


ラウルが嘲るような表情を浮かべる


「ああ違う違う」


投げ入れてもらった木刀を右手に、下からあった木刀を左手に持つ


「俺は、二刀流だ。」


「なんだと、は、はったりだ」


「なんだ評価は、下方修正だな。俺まだ左腕しか使っていないんだぜ」


「なっ」


「俺が刀神から習った、神双流は左の小太刀で攻撃を防ぎ、右の大太刀で攻めるのが基本、見せてやるよ俺の本気」


本気で相手に踏み込む。左の木刀で迎撃のための木剣を受け流し右の木刀を首に添える様にギリギリ止める。

二つの動作を同時に行うことでたった一度の攻撃で決着をつけた。二つの武器を持ったことで動きが遅くなるどころか、重心が安定して動きの速さも上がっていた。


「ま、まいった」


「もうアリシャに近づくなよ。師団長殿」


ラウルがその場に倒れてしりもちを付く。

ジンが、ラウルに背を向けアリシャたちの下に歩きだすと、後ろのラウルがブツブツ呟いて


「・・の・・・ほの・・やせ・・・焼き尽くせえーーー『フレイム・バレット』」


無数の小型の火球がジンに向かって放たれる。ラウルが、逆上し魔術で攻撃してきたのだ。審判役の師団長が止めようとするが、間に合わない。それに、このコースはアリシャたちの巻き込まれるコースだ。


しかし、俺の近くにきた炎の玉は、すべて俺の手前でしぼむように消滅した。


「な、ぜ」


「精霊術で壁を作っただけだ」


風の精霊術で真空の壁を作ったのだ。炎では、これをこえることは出来ない。


「今の攻撃、アリシャたちにも当たるコースだったな、少しお仕置きが必要だな」


ラウルに精霊術の雨を降らせる。

火で髪の毛を炙り

水で息できなくし

風を圧縮してぶつけ

土で下から土の槍で突き

雷で感電させたりした。


服は焼け落ち、鎧は砕け、髪の毛は焦げ、体中を痛打される。見るも無残な姿になっていくラウルに、審判をした師団長だけではなくアリシャやレイシアまで同情の眼差しを向けていた。

ラウルがボロボロになり気絶したのをみてお仕置きをやめる。同情の眼差しをラウルに向ける師団長に


「師団長ちょっといいか」


「は、はい、な、なんでございましょう」


すっごい慌てようだな、そんなに怖かったかな?


「さっきの賭けの話、広めておいてくれるか。これがアリシャに今後近づかないように」


ゴミのようになったラウルを指しながらお願いする。


「はい、わかりました。」


「頼んだよ、アリシャ庭に戻ろうか」


「わかった」



庭に戻って、もう一度アリシャを膝の上に乗せる。


「ジンって、結構怖い?」


「敵でさらに男なら、どこまでも残酷になれるな。だけど女には基本優しくすることにしている。」


「よかった。それにしてもジンは強い」


「ありがとう」


「わたしもあなたに・・・」


「俺に?」


「な、なんでもない、そ、それよりジンは、お城には何をしに?」


急な話題変換だなまあいいか、何しに来たかだったな・・・


「ああーーーー、すっかり忘れてた。馬車を借りに来たんだった」


「馬車?何故?」


「近いうちに旅に出るんだよ、アッシュの頼みで」


「兄上余計なことを」


突然アリシャの機嫌が悪くなったような気がする。


「どうかした?」


「なんでもない」


しばらくアリシャがなにやら考え込んでいた。


「馬車だったら私の頼みを聞いてくれたら用意する」


「頼みによるなあ」


「大した事じゃないこの指輪をつけてほしい」


アリシャの指についている物と同じ指輪を差し出してきた


「指輪?いいけどなんで?」


「あなたの、腕輪と同じような物、この指輪は特注品、相手と会話が出来る。」


「つまり、たまに話そうってこと?」


コクコク


アリシャがすごい勢いで頷く


「姫様その指輪は」


「レイシア黙る」


「は、はい」


アリシャがレイシアを黙らせている。何かありそうだが危険はないだろう。

それに会話をしたいと思ってくれることは少し嬉しい、だから受けとることにした。


アリシャの手で指輪をつけてもらう


「対呪、や気力、魔力の増強などいくつか効果がついている」


「そんな便利な物をいいのか?」


「いい、ただ」


「ただ?」


「その指輪は、私以外には外せない」


「えっ何故?」


後で試したが、俺の契約破棄の力でも外せなかった。契約とは違うようだ。


「その内わかる。馬車はレイシアに頼む。馬車が来るまでお茶にする。私の部屋に来て」


アリシャに連続で喋られ言葉を返す暇もなく、部屋に連れられて行くことになった。

アリシャの部屋には本がいっぱいあった。本棚で左側の壁が埋まっているし机にも本の塔ができている。


「本好きなのか?」


「好き、人は面倒だから」


「たしかに、皇女となると面倒だろうな」


とてもドロドロした人間関係になりそうだ。


「でもあなたは、どこにも所属していないし対等に話しても問題ないからとても落ち着く」


アッシュも同じことを言っていたな。

部屋に入ったからだろうか、やわらかい表情を見せてくれた。普段無表情な分よけいに可愛い。

その後も二人でお茶をしながら他愛もないことを話してすごした。日が傾いてきたので帰ろうとすると


「使いを出す。問題ない。それより一緒にご飯を食べる」


「わ、わかった」


またアリシャの勢いにのまれてしまい、そのまま食事を共にすることになった。


暗くなり、さすがに帰らないと、と説得すると。


「私と一緒はイヤ?」


「イヤじゃないけど、いろいろ急で」


「だって、ジン旅に出るから」


そういえばそうだな。そういうことなら今日ぐらいはアリシャに付き合うことにするか。



翌日アリシャと朝食を食べ終わった後、城を出ることに


「あの馬車は?」


レイシアさんに尋ねると


「もう昨日には屋敷についていますよ」


不思議そうな顔のレイシアさん。



騙された。

まあいいかこういう可愛いウソは許せる。



屋敷に帰ると指輪について聞かれたが、とある人からプレゼントされたとだけ説明した。

皆気になるようだが、俺が答えないので諦めた。ミリアは、なにか感づいているようだったが追求はなかった




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ