32話 新しい依頼と第一皇女
「それじゃあ依頼を受けるわけだが」
「だが?」
何人かに?マークが浮かんでいる。
「この人数で一つの依頼を受けても時間がもったいないからいくつかのチームに分けようと思う」
テツと男二人以外の仲間の顔に影がさしたので慌てて付け足す
「分けるといってもそのチームが中心になって受けた依頼をやるってだけで、基本皆一緒に行動するからあんまり気にするなよ」
テツ以外皆安堵していた。まあテツは、小太刀だから俺と一緒に行くって決まっているからな。
結局皆と相談した(各々の思惑も混じって)結果こうなった。
Aチーム 俺とテツ
Bチーム ジークとカイル
Cチーム レティーシアとミリア
Dチーム リリスとソフィア
Eチーム イリヤとフェリスとティリエル
というチーム分けになった
受けた依頼は、
Aチーム ランクA 岩窟竜一頭の討伐 5万ギル 無期限 モルド伯爵領
Bチーム ランクC 牛鬼五体の討伐 1万ギル 一月以内 元王国領南部
Cチーム ランクD ゴブリンの群れの討伐 4000ギル 二週間以内 元王国領の西街道付近
Dチーム ランクD 生熱の種の採取 30個 5000ギル 半年以内 元王国領北部に生息
Eチーム ランクF 魔物五十匹討伐 2000ギル 一月以内 ニビルの森
このほかにチームとして特別クエストとして元王国領内の魔物の討伐依頼を受けた。
この依頼は、元王国領を立て直すためにクイント皇国が出した依頼で制限がない代わりに報酬は少ない、一応受けておくという依頼だ。これのおかげで冒険者が魔物討伐に積極的になるらしい。
この依頼は、ギルドカードのチームの下に
A・000 B・000 C・000 D・000 E・000 F・000
と表示されていてチーム内で混同されているらしい。
「それじゃあ、今度は武具屋だな」
フェリスとミリアの魔法を使うための媒体を買いに行った。二人ともソフィアやイリヤのしている指輪をジンがプレゼントした物だと知っていて
「「わたしも指輪がいいです」」
ということになり二人に別々に媒体としての指輪をプレゼントした。
フェリスの指輪は、黒い魔石の付いた指輪で魔力増幅に重点を置いた指輪だ。フェリスの指輪はシンプルなデザインだ。黒い魔石は黒真珠に似ている。
ミリアの指輪は、緑と黄色の魔石を付けたもので風と雷の魔法が使いやすくなる指輪だ。ミリアの指輪は、魔石が二つな分少し凝っているが派手さはない上品な指輪だ。
あとティリエルの武器だが、ティリエルは、ダガーを2本選んでいた。二重強度強化がかけられた物だ。
指輪が4500と5500で1万ギル、ダガーは一本2000ギルだった。
23600−14000=9600ギル
武器の次は魔具を取り扱う店に行くことにした。
以前の討伐依頼の時にリリスを失いそうになったことがあった。森のランクに相応しくないランクAのノワールサイが現れたからだ。それらの不測の事態に対処するためにいくつか考えていたのだ。そのひとつが魔具に頼ることだった。リリスに話は聞いたがそれだけではわからない、俺が欲しい物があればいいのだが。
入ったのは、レティーシアがお忍びでよく使っている魔具屋だ。
魔具屋といっても魔具といってもいろいろで、、魔術を込めた装飾品、使い捨ての魔符(魔術を込めた符)などあらゆる物を扱っている。魔具以外にも魔物の一部や魔石などの素材などもある。
俺が探しているのかは装飾品だ、武具屋にもあったが、武具屋のものは、ほとんどが戦闘用だった。
この世界の字が俺は読めないので、店主に話して探してもらうことにした。
目当ての物は、見つかった。
『絆の腕輪』といって登録した相手の居場所がわかり、自分の危機を伝えることができる。
チームがバラバラに動くときにつけたり、お金に余裕のある家庭が子供につけたりもする。
腕輪に少し細工をしてチームの証にすることもある。
これを、人数分買う。細工はいつかしたいと思う。
11×500=5500ギル
9600ー5500=4100ギル
店を出たあと、旅の準備をジーク達に任せ先に宿に戻る。準備のお金は、ジーク達が払うことになった。もうチームの一員だし腕輪のお礼も兼ねてらしい。お金もずいぶん少なくなったのでありがたい。
皆を先に帰らせて俺は、城に向かう。馬車を借りるためだ。今の馬車では、六人ぐらいしか乗れないからだ、金もないから依頼主に借りることにしたのだ。
顔パスでお城に入る。
しかし、皇帝は今忙しいらしく待つことにした。
庭で暇をもて余していると、城の方から女が二人歩いてきた。
驚いたことに、第一皇女とレティーシアの影武者だった人だ。
「どうしたんだ、アリシャちゃん」
「むっ、私の方が年上」
「いいじゃないか、こんなに可愛いんだから、えっとそっちは?」
「レイシアと申します。」
「名前交換してたんだ」
「はい、レティーシア様の希望でして。何度自分の名前に反応しそうになったか」
笑顔でレティーシアの愚痴を言っている。苦労していたようだな。
「ハハ、レティーシアらしい、話は戻るけど、こんなところにどうしたんだ?」
「あなたがいるから会いに来た。」
「俺?」
「興味がある。あなたのこと教えて」
「条件がある」
「なに?」
最初は馬車を頼もうかと思ったが、自分の話を馬車と同じにするのは気が引けた、だから
「君のことも教えて」
「えっ」
「俺のことを教えるから君の事を教えて」
「わ、わかった」
その後、二人で会話を交わした。俺の世界のことアリシャの思い出などあらゆることを聞き話した。
「じゃあアリシャは、ハーフエルフのハーフなのか」
「そう私は、エルフのクォーターこの容姿は、そのせいだと思う」
自分の平らな胸と身長を指しながらアリシャは言った、そのアリシャは今では、俺の膝の上で会話をしている。
レイシアさんは、少し後ろで微笑んでいる。
そんな楽しい時間に水を指すやつが来た。
「アリシャ姫そんなところで何をしていらっしゃる」
高圧的な喋りかたで騎士風の男が近づいてきた。明らかにこちらを見下す表情で
「そのようなどこの馬の骨ともわからない男と話しては、姫様が汚れますぞ」
「お前と話す方が穢れる」
「アリシャこいつは誰だ?」
アリシャは苦々しそうな表情で
「第六師団長で私の元許嫁」
師団長ということは、ゲオルグよりは下だな。師団長は、所詮将軍の指揮下にある。
「おい平民、元ではない。父達が勝手に解消しただけだ。」
こいつはアホなのか、許嫁は親が決めるものなんだから親が解消してもおかしくないだろうに
「アリシャなんで解消になったんだ?」
「素行不良でいくつか罪も犯してる」
よくそんなやつに師団長を任せているな。ゲオルグに相談しようかな。
「そんなゴミみたいなやつに、可愛いアリシャを任せるわけにはいかないな」
二人の反応は、似ているが正反対だった。
アリシャは、無表情ながら頬を染めて恥ずかしがり。
ゴミは、顔を真っ赤にして怒り狂っている。
「貴様俺を侮辱してただで帰れると思うなよ。」
「なんだ、土産でもくれるのか?」
「殺されたいらしいな」
「やれるならやってみろ」
「言ったな、貴様に決闘を申し込む」
「ジン止めた方がいい、これはランクA。あなたの精霊術はすごいけど決闘には不向き」
ゴミは、何気にアリシャが物扱いしたことに気付かずに
「姫様は、よくわかっている。謝るなら今のうちだぞ平民」
「アリシャ大丈夫だよ。俺は剣術もやるからな、こんな三下すぐに倒せる」
「ならば、受けるのだな」
「ああ受けてやる、ありがたく思え、師団長」