30話 女達との休日 3日目
異世界40日目
−ミリアの場合−
「ご主人様失礼します。」
「どうしたんだ、ミリア急にご主人様なんて」
前までジン様だったのに
「ジン様は私の主になりましたので、わたしもイリヤさんを見習ってご主人様とお呼びしようと思いまして。」
「いやまあ、俺はいいんだけどね。それよりミリアは、どうするのか決まった?」
「それが決まらなくて」
「?・・・なんで」
「私は、使用人としての教育を受けていたので自分の主だと思うと何かを頼むのも気が引けるといいますか」
生真面目だなミリアはそこもいい所だが。
「それじゃあ、ミリアの仕事を見学させてもらおうかな。」
「見学ですか?それは楽しいのですか?」
「きっと楽しいさ」
そして今、俺とミリアは普段使わない部屋を掃除していた。これは、通常の仕事ではない、そもそも二人でやる仕事でもない。何故こうなったかというと
ミリアと話し、やることは決まったが、問題が発生した。仕事がないのだ。今日ミリアは、オフなので仕事を入れていなかったのだ。他の人の仕事をとるわけにもいかない。
そこでミリアが出した案が
「空き部屋をお掃除しましょう。」
ということになった。元々ミリアの仕事は掃除が多いらしい。
食事をフェリスが、掃除をミリアが担当して周りのメイドはその手伝いをしているそうだ。
さすがに一人で片付けるのは大変なので俺も、手伝うことにしたのだ。
「ご主人様は、ご主人様なのですから、あまり他の人の仕事を取らないようにしてくださいよ。」
まあ、仕事を取ることが悪いのは何となくはわかる。仕事がない使用人は肩身が狭くなるようなのだ。
「わかったわかった。でも今日はミリアと共同作業がしたかったんだ。」
「ご、ご主人様」
おお、照れてる照れてる。
「ほら、外に出たらあまりミリアに会えないかもだろ」
「あっ、そうですね。」
ミリアが少し落ち込んでしまった。落ち込んでくれるのなら提案ぐらいはしてみよう
「フェリスにも話したんだけどミリアも冒険者登録をして一緒に旅をしないか?少し危険だから断ってもいいんだが」
「いえ、行かせてください!。私てっきり置いていかれると思っていたので、誘ってくださって嬉しいです。」
「そこまで、嬉しいものなのか?」
「だって誘ってくださるということは、わたしを側に置きたいと思って下さっているということで、それが嬉しくないはずがありません。」
「そ、そうか。それじゃあ明日にでもギルドに行くか」
そう言われると少し照れるな。ミリアは興奮した様子で
「はい、それでは、引き継ぎなどをしないといけないので、ちょっと行ってきます。」
行ってしまった。掃除の途中だったがまあいいか、まだ終わっていないが切りは良いのだ、後は本職に任せよう。
−リリスの場合−
お昼を過ぎたころにリリスが部屋になって来た。
「リリスは決まった?」
「私も手合わせ・・・と言いたい所だけどそれじゃあ、つまらないから一緒にお出かけしよ」
「わかった。何処に行くんだ?」
「武具屋」
目的地に向かう道すがら何故武具屋なのか訪ねると
「実は、ノワールサイと戦った時ので、レイピアの損耗が激しくてさ新しい武器が欲しいから下見をしたくて」
「そんなに前からか、大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ。すぐには折れないと思う」
「それならいいが」
そうこうしている内に皇国の武具屋の一つに着いた。
「前の武具屋では、武器を見るのに付き合えなかったんだよな。リリスは今回もスピード重視なのか?」
「そのつもりだからレイピアにしようと思うんだけど」
悩みながらレイピアの棚を見るリリスに
「ちょっといいか?」
「なに?」
「リリスって基本刺突がメインだよな」
「そうだよ、なんで知ってるの?手合わせしたことないよね?」
「リリスのことは、よく見ているからな」
「あ、ありがと」
顔をそらしながら礼を言っている、照れてるようだ
「それならエストックなんかどうだ、刺突を重視した武器だからリリスには合うと思うんだ」
エストックとは両手用の刺突重視の武器だ。エストックは、剣身の断面は菱形で、先端になるにつれ狭まり先端は鋭く尖っている。レイピアと違い両手で突ける分威力が期待できる。
「リリスのスピードは申し分ないし少しはパワーを求めてみたらどうだ。ノワールサイのような固いやつに出会ったら大変だろ」
「エストックかあ、みてみよっか」
エストックは、刀同様数が少ないから奥に仕舞われているらしく表には並んでいない。
店主に奥から持ってきてもらいエストックをみてみる。
全てに目を通した結果一つのエストックを手に取った。
「これが一番いいかな」
そのエストックは、軽量化の魔法を始め、二重強度強化と雷を纏わせて貫く力をかなり高めた物だ。かなりの業物だ。
「これは、いくらですか?」
「それでしたら複数の魔法をかけられているので、15000ギルになります。」
「た、高いよジン」
「確かに高いな、まあ大丈夫だろう。それをくれ」
「ジン今日は下見のつもりだったんだけど」
「いいのいいの、なあ護符ってあるか?」
「ありますよ、いくつほど?」
「二つくれ」
40600-17000=23600ギル
残金 23600ギル
「ジンは刀見ないの?」
「テツがいるだろう」
「ふふ〜ん、レティーシアとの稽古を見ていた時に気付いたんだけどジンって本当は、二刀流だよね。」
「・・・気付かれたか。皆を驚かそうと思って黙っていたのになあ。」
「他には、誰も知らないの?」
「テツは、知ってるよ、なんせ俺の小太刀だからな。話さない訳にはいかないし、自分で気付いていたしな」
「少し妬けるなあ。」
「そういうなよ。そうだな、気付かれたんなら、ちょっと見てみるか」
店主に刀も見せてもらうが
「やっぱりテツに釣り合う刀はないか」
刀を戻し店を出る。リリスが腕を組んできた。リリスの感触を楽しんでいると
「ジン今度二刀流見せてよ。」
「機会があればな」
−イリヤの場合−
最後の一人が、夕食と入浴の後に部屋にやって来た。
「ご主人様、私が最後になりました。」
「いらっしゃい、でも今から何をするの?」
以前この時間帯に来たソフィアは、お風呂を共にしたが、今日はそれも終わっている。
「ご主人様もお掃除とお買い物でお疲れでしょうからマッサージをさせてください。」
「俺には、願ったり叶ったりだが、イリヤはいいのか?」
「はい、ご褒美です。させてください」
「そこまで言うならお願いするよ」
そのまま座っていたベットに横になる。ベットに寝転がる俺にイリヤが跨りマッサージを始める。
イリヤはマッサージに治癒魔術を一緒に使うようでかなり気持ちいい、蕩けそうだ。
「ご主人様、質問してもいいですか?」
「なんだい」
「ご主人様はどうしてこちらの世界に来たのですか?」
「言わなきゃ駄目?」
「駄目ではありません。ただご主人様の女の一人として知りたいのです。」
「わかった。話そう、そうだな理由は、いくつかあるんだが結局俺のためなんだよな」
「ちゃんと教えてください」
「そうだな簡単なのは、神が言うには、俺でなければいけなかったらしいんだよ。」
「ご主人様でないと?」
「精霊との相性と人格らしい、次の理由は知ってしまったからだな」
「何を知ったのですか」
「俺が行かなければこの世界が滅ぶことを知ってしまった。俺は他人の命を粗雑に扱える人間ではなかったんだよ。三つ目が・・・・・」
「三つ目は?」
「たぶん三つ目が、本音だろうな。俺は前の世界で物事に本気になれなかったんだよ。物事にあまり興味を持てなかっし、興味を持ったものでは優秀な成績を収め、すぐにやる気もなくなった。」
「・・・」
イリヤは、黙って聞いていた。
「生き甲斐がなかったんだよ。前の世界では、大事な人たちはいたけど毎日が退屈だった。だから退屈が嫌で異世界行きを決めたんだ。だから前の世界に未練はない。ちゃんと別れを伝えられたからな。ほらな、自分のためだろ」
「そのおかげで私たちは生きていられます。」
「そうだな俺は、この世界でお前達に出会った。俺は生き甲斐とこの世界大事な者を手に入れた。そして目標を持てた俺は今とても充実している。ありがとうイリヤ」
「ならどうして奴隷を解放するなどと」
「奴隷制度が気に入らないんだ。それに神は俺に好きにしろと言ってくれたからな。俺は、今の世界を壊し新しい世界を造ることしたんだ。」
「ご主人様はどのような世界を求めているのですか」
「それはだな、人と人が仲良くなって奴隷制度がなくなりあらゆる種族が手を取り合えるそんな世界を造りたいと思っている」
「とても素晴らしいと私は思います。」
(ご主人様あなたは、やはり素晴らしい人です。この世界に来たきっかけは退屈しのぎだとしても、精霊界での修行も、私たちを救ってくれたことも、奴隷を解放しようとすることも、この世界を導きまとめようとすることも、あなただからこそなのですよご主人様。ですからどこまでもお供しますご主人様)
イリヤはこの人と共に歩むことを改めて心に誓ったのだった。
その夜
「ジン」「「ご主人様」」
リリス、ミリア、イリヤの三人が部屋に現れた。まあここまでの二日の夜でわかっていたことだ。
ほかの二日と違うのはその夜がとても濃厚なものになったことだろう。
三人を同時に愛し合うことになったが、先に力尽きたのは三人の方だった。三人ともジンの性技によってイキまくり失神してしまったのだ。
三日目の夜は、疲れ果てていた三人をベットに押し込み裸の三人を抱えて一緒に寝ることにした。