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聖痕使い  作者: 中間
第一章:人間の国
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18話 愚王の蛮行

ここはグーロム王国の王都にある王城。


贅を凝らした広い部屋の豪華な椅子に豪奢な服を来た男が座っていた。周りには、見目麗しいの奴隷の女性を侍らせていた。


若い兵士が、伝令に来た。


「申し上げます国王陛下。」


「話せ」


「クイント出身の奴隷の選別はまもなく終わります。その、その後国内のクイント皇国出身の者を奴隷にするとありますが、よろしいのですか?」


「余に意見するのか?」


「い、いえ決してそのようなことは」


若い兵士は、慌てて弁明する。


「しかたない、余自ら話してやろう」


国王は、すばらしいことのように


「此度の計画は、クイント皇国の皇女レティーシアを捕らえ奴隷とし戦争の旗頭とする。そして今回の戦争でクイント皇国の力を削ぎ、手にいれた奴隷で最近うるさいクイント皇国を黙らせる、というものだ。そのために多くのクイントの奴隷が必要なのだ。しかし数が少ないならば作るしかないだろう奴隷を。何か意見があるか?」


「いえ、そのようなことは、ありません、陛下の深いお考えに感服いたしました。」


このとき若い兵士の中にでは、

(そんな理由で奴隷を作ればこの国から人が出て行くのではないか、皇女を奴隷にしたら皇国との泥沼の戦争になるんじゃないか等疑問は尽きないが、ここは追従するしかない)

その言葉を聞いて満足したのか


「さがれ」


若い兵士を下がらせ、別のことを口にする


「おい、レティーシアの方はどうなっている?」


側のぶくぶく太った文官風の男が


「ラシード将軍に騎士団500名を変装させて持たせ捕獲に向わせました。今頃コルテス地方の辺りでしょう」


この王城内の奴隷以外のほとんどの人種は、こんなのばかりである。他国の姫を呼び捨てにしたり、捕獲などとほざくのが当たり前なのだ。


「それでは、期待しよう。かの姫騎士を奴隷として迎える日が楽しみだ。」 


といやらしい笑みを浮かべいた。



これを精霊で作られた鳥が一部始終を見て聞いていた。






ところ変わってギルドのギルドマスターの執務室のジン。


「なんだ、これは!。皇国を黙らせるこれだけのために戦争をするのか、そんなことをすれば最悪の場合共倒れだぞ、負けなくても、この国から人は離れる。この国は、何もせずとも滅びる。混乱だけを残して」


「それがこの国の末路ですか」


少し寂しそうにクレアさんが聞いてくる。


「ああ、この国は、終わる。だから最もいい形で終わらせる。終わらせてみせる。」


決意を込めて二人を見る。


「手を貸してもらいますよ。ギルドマスターあなたの依頼だ。」


「任せてくれ。どうすればいい?」


「まずは、後見人になってもらう。二つ目ここからクイント皇国に行くにはどうしたらいいか教えてくれ」


「後見人の件は任せてください。クイント皇国に行くには三つの道があります。」


「ならその三つの道が描かれている地図はあるか?」


「クレア取ってきてくれ」


クレアさんが慌て部屋を出る。


「あとこの世界の戦争を簡単に教えてくれ。」


ギルドマスターに、簡単な説明を受けるが、ほとんど予想の範疇だった。飛び道具が魔法になっている感じで白兵戦が基本らしい。


「持ってきました。!」


「ありがとうございます。コルテス地方とはどの辺りですか?」


「ここです。」


ガルダが指したのは、王都とそんなに離れていないところだった。

近いかなりやばそうだ。だが、離れていないとはいってもおそらく徒歩で二、三日はかかる。まだ間に合うかもしれない。


「この地図は借りれますか?」


「本来はよくないのですが。持っていってください。」


「最後に、俺のことは内密にお願いします。」


「わかった」

「わかりました」


「では、姫様を救いにいきます。」


皆のところに戻り開口一番に


「すまん、またちょっと出る。ティリエルだけ付いて来てくれるか、テツは小太刀に戻ってくれ」


「「「またですか」」」

三人が泣きそうになる

帰って来たばかりだからな。


「すまん緊急なんだ。三人は、クイント皇国の皇都に向ってくれ。ジーク突然で悪いが、三人の護衛をしてくれないか、金は払う。」


みんなの表情が変わる。この情勢での緊急だ碌な事ではないだろう。


「お金は、いいよ。もともとこの国を出るつもりだったんだ。借りも返したいしな。」


「じゃあ頼む、お前達は皇都に行くのに一番短い道を通ってくれ。」


むくれる三人の頭を撫でてやる。


「すまないな、すぐに出ることになって。」


「早く来てくださいね。」

「怪我しないでくださいねご主人様」

「いつか絶対ジンに「ついて来てくれ」って言わせてやるから」


「楽しみにしいてるよ。あれテツは?」


「【主ここに】」

テツが座っていた椅子に小太刀があった。


「ティリエルできるだけでいい俺を乗せて飛んでくれないか?」


「お兄様、喜んで」


嬉しそうに言ってくれる


「ありがとう、時間がないすぐに出る。いいかい?」


「はい。大丈夫です。」


「じゃあ行こう」


外に出て三人に振り返り出てきた三人をまとめて抱き締め。


「行ってくる。」


「はい。行ってらっしゃいませ。」


三人が見送ってくれる。


龍化したティリエルに乗って飛びだつ。




なんの障害物もない空を飛んで目的地に向かう。


二時間ほどでティリエルが疲れ始めていた。

まだ幼く体もあまり大きくないのに良く頑張ってくれた。


一度地上に降りて方向を確認してから、ティリエルを脇に抱えて走り出す。

ランクAに上がった気力を使って『闘気』(全体的な身体能力の強化)を使う。

二時間ほど走り。

コルテス地方の手前で


「ティリエル飛べるか?」

「なんとか、乗ってください」


「いやここからは探索もやるから、自分で飛ぶよ」


「飛ぶ?」


ティリエルが、きょとんとしている。


「聖痕発動『嵐帝』」


精霊を使ってコルテス地方全てを見渡す。いた、かなり街道をそれている。逃げている最中のようだ。追っているのは百人ぐらい、別のところに四百人いる。


追っている方を潰すことにする。


「ゆっくりでいいから付いてきて。すぐに降りたらダメだからね。終わったら俺が呼ぶから」


そうティリエルに注意して


『嵐帝』の力で人の身で空を飛ぶ


追い着いたときには、もう乱戦になっていた。


人間が入りに乱れているこれでは白兵戦しかできない。テツを抜いて空から落ちるように飛ぶ。

三人で一人に攻撃する山賊風の男達がいたので、真ん中の男を、空から地上に落ちるのに合わせて肩から斜めに切り殺す。男の体は切った軌跡にそって斜めにずれ血を噴き出して絶命した。


着地と同時に一人殺し、立ち上がって右の男を小太刀で首を切り飛ばし、左の男は風を纏った左手で首を突き刺す。


三人を瞬殺した俺は、攻撃を受けていた奴を見ると


ジリッ


警戒されていた。しかたない突然空から降ってきたのだからな。

驚いたことに、助けたのは女だった。女騎士だった。

美人だが今は時間が無い


「助けにきた。今は、先にコイツらの殲滅を手伝って欲しい。」


女騎士もそうするべきだとわかっていたのだろう。頷いて


「わかった。感謝する」


俺は、近くの山賊風の一団に突っ込んでいく。女もついてきた。

一番近い敵を小太刀で切り、別の者を炎で燃やす。囲まれそうになると風で吹き飛ばす。三方向から攻撃されれば水で防いだ。その間に、俺は刀技の実践を重ね洗練されていく。

戦いの中、刀神との修行を思い出し、徐々に精霊を使わずに回りの敵を片づけるようになり、精霊は周りの援護につかうようになっていた。


三人を相手にしていたことから見当はついていたが女騎士もやはり相当の手練だった。

長剣を巧みに使い危なげなく敵を倒している。一対一なら不覚を取ることはない様に見えた。女騎士ひ援護はいらなかった。


数が減り不利を悟った敵は逃げ出した。


「『風刃』」


敵味方がはっきりしたので『風刃』で逃げる敵を、横に真っ二つにして殺して戦闘は終わった。

これからが問題だ。残った周りの人間は、感謝はしているが、その強さに得体の知れなさを感じているようだ。時間がない早めに話をつけたい。まず、どうやって皇女に会うかが問題だ。

そんな時、女騎士が近づいてきた。


「君、一緒に来てくれないか?話を聞きたいんだ。」


この状況で話しかけてくるのだ、少なくとも話は進むだろう。


「わかった。ちょっと待ってくれ、ティリエルー!」


「はーい」


空から龍が降りてきた。みんなが驚き身構える中、ティリエルは空中で人の姿に戻る。

落ちてきたティリエルを受け止めた。


「お兄様~疲れました。」


周りは唖然としていた。


「君は龍なのか?」


「俺は違うよ」


女騎士は訳が分からなくなったようで


「とにかく来てくれ」


考えることをやめ連れて行くことにしたらしい。


馬車に案内された。馬車は、派手さはないが質がよく皇女が乗るのに恥ないものだった。

中に案内されて、女騎士が


「この者が、先程助力してくれた者です。」


俺のことを中の人に紹介する。馬車にいたのは、ドレスを着た令嬢が一人とメイドが二人、護衛が一人と俺を連れてきた女騎士の五人の人間いた。


メイドが喋る。


「此度のご助力まことにありがとうございます。主が何かお礼をしたいと仰いまして。こうしてお呼びさせていただきました。」


お礼をするのに呼びつける必要はない、つまり


「ですが、その前に何故こんなところにいたのか、お聞かせ願えませんでしょうか?」


こっちが本命だろう。ここは街道を外れていてたまたま通りかかった、ということはありえない。

目的があるはずだ、と思っているのだろう。

時間がないさっさと終わらせよう。令嬢を見て




「あなた方を助けるためですよ。皇女様」



最後まで読んで頂きありがとうございます。


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