17話 小太刀が少女
異世界15日目
目が覚めると綺麗な銀色の髪があった、下を向くとティリエルの寝顔があった。
起こすのも忍びないので起きるまでティリエルの感触を楽しむことにした。
しばらく楽しんでいるとティリエルが起きた。
「おはよう、ティリエル」
「おはようございます。お兄様」
寝ぼけ眼で、すりすりしてくる。徐々に、目が覚めてきたのだろう。恥ずかしくなったのか顔が赤くなってきた。逃げられないように頭を抱きしめる。
「あぅあぅ」
ちょっとやりすぎたかな。開放してあげて
「起きようか」
「はぃ」
「それでは、お父様行ってきます。」
「行ってらっしゃいティリエル。ジン、ティリエルのこと頼んだよ。」
「ああ、大事にするさ。」
こうして俺と顔が赤いティリエルは、王都に向かった。
異世界16日目
王都に戻ったのは昼過ぎだ。集合場所の宿に行ってみたが、皆出かけていたのでもうひとつ二人部屋を取って部屋に向う。
部屋に入ってテツを取り出す。
「【主、どうかしましたか?】」
「ひゃ」
ティリエルが驚いている。二人しかいないはずの部屋で突然知らない声が聞こえたのだから当然だろう。
「こいつは鉄餓刀のテツ、俺の小太刀だ」
「【初めまして、ティリエルさん。】」
「は、初めまして、テツさん」
「テツいい物が手に入ったんだ。」
竜輝石を取り出しす。
「【竜輝石ですか、吸収してもいいですか?】」
なんかテツの声がはしゃいでいるように感じる。
「いいぞ」
テツと竜輝石を重ねる、いつかのように竜輝石が、粒子になって吸収された。黒い刀身が変化して白い龍の模様が現れた。しかし、今回はそれで終わらずに光が強くなっていき光が球体のようになった。アルベルトが銀龍になった時のものに似ている。光がはじけてなくなったとき裸の少女が現れた。
「主二つ目で人の姿になれました。」
「・・・テツか?」
「はい。テツですよ主。」
にっこり笑って抱きついてくる
「テツまず服を着ようかティリエルも驚いてる。ティリエル服を貸してあげてくれないかな。」
「ご主人様帰ってきたんですか。」
「ジン!」「ジン様」
三人が来てしまった。
簡単に今の状況をいうと、龍のいる山から戻ってきた主が二人の美少女を侍らせていてしかも片方は裸だ。どう説明しようか。
「ご主人様、龍の山に行ったはずでは?」
「どうして女の子を侍らせてるんですか?」
「どうして裸なのかな?」
「・・・まずはテツ服着て。」
何とかなだめてベットに座って説明を始める。
「こっちはテツだよ。」
「えっ、テツさんなんですか」
「そうだ、俺も驚いてな。竜輝石を吸収させると人の姿になったんだよ。」
「あらためて、はじめまして主の刀で所有物のテツです。ハーレム加入を希望します。」
テツがすかさず俺の膝の上を占拠する。
「歓迎するよ。」
「こんな子だったんだ」
「わかんないもんだね」
「羨ましいです。」
「こっちはティリエル、龍だよ。それも銀龍」
「わ、わたしもハーレムに入りたいです。」
ティリエルが何故か焦っている。テツのせいか?
「もちろんだよ、おいでティリエル。」
ティリエルは、うれしそうに俺の右隣にやってくる。
「まあもうあきらめていますが」
「そうだね、目を離した数日で二人も、いやテツは元からいたんだっけ。」
二人はあきれていた。もう一人は
「わたしもご主人様の隣に行きます」
といって左隣に座って服の袖を掴んできた。
この世界の女の子は、本当にハーレムに抵抗がないんだな。力が第一の世界だからか?それとも側室があるからおかしくないのか?
まあいいか俺にとっていいことには変わらないからな。
「それじゃあ細かい事情を話すよ。」
説明が終わると
「龍にまで勝ったんですか。それも成体に」
「それもティリエルの父親ってことは銀龍だよね。龍の中でも上位のはずだよ」
「ご主人様、凄いです。」
「本当に凄かったんですよ。」
「ええ、主は凄いです。」
後半凄いしか言われていないな。
「これからのことについてなんだが、リリス準備の方はどうなった。」
「ばっちりだよ。長距離移動だから馬車と馬を買ったよ。ほかに保存食や必要な装備も。それで全部で15000ギルくらいだったよ。馬車は、ソフィアとイリヤが練習したから多分大丈夫だよ」
「ありがとう。三人とも」
「ふふ~ん、夜楽しみにしているよ」
「久しぶりですね」
「ご主人様、たくさん可愛がってくださいね。」
三人一緒にですか。それは楽しそうだ。
外はもう夕飯時だ。
「それじゃあ飯に行こうか。明日はギルドに行くからね。それでクイント皇国に行く日を決めようと思う。」
異世界17日目
目が覚めると身動きが取れなかった。右腕をリリスの、左腕をソフィアの胸に抱えられている。体の上にはイリヤに占領されている。皆裸だ。左右の二人にいたずらする。
「んっ」
「あっ」
起きたのでいたずらをやめて。
「おはよう二人とも」
「おはようございます。ジン様」
「おはようジン」
解放してもらった両腕でイリヤにいたずらして起こす。
「やん」
「おはようイリヤ」
「おはようございます~ご主人様~」
まだ半分寝ているな。
とても刺激的な朝だった。
ティリエルとテツを起こして食事を済ませてギルドに向う。
ここ数日の出費は
宿泊費 1500ギル 食費 1000ギル その他610ギル 合計3110
63110-15000-3110=45000
今の持ち金45000ギル
ギルドについたが何か慌ただしいクレアの姿も見えないので。
ほかの係りの人に頼んでギルドカードの更新とティリエルのギルドカードを作った。
名前 ティリエル 女 15歳 龍族
ギルドランク E
能力ランク 総合C 気力B 魔力C
チーム 『世界を結ぶ者達』
称号 ジンの義妹 幼い銀龍
・・・神のやつ義妹ってなんだ義妹って。
それにしても『幼い銀龍』か幼いがとれるときが楽しみだな。
名前 ジン 男 18歳 人間
ギルドランク B
能力ランク 総合B 気力A 魔力C
チーム 『世界を結ぶ者達』
称号 聖痕使い 精霊王の友人 救世主 五人の女の主
奴隷の解放者 精霊術師
俺は、気力と魔力が両方ランクが上がっていた。そういえば牛鬼と戦ったときよく動けたんだよな。
気力が上がったおかげだったのか。
「ジンは、成長も早いね。まあAランクの魔物とか倒しちゃってるから当然っちゃ当然だけど。」
「五人に、増えています。人化してテツさんも含まれたんでしょうね。」
「はい、次ソフィアとイリヤ」
名前 ソフィア 女 18歳 人間
ギルドランク E
能力ランク 総合C 気力D 魔力B
チーム 『世界を結ぶ者達』
称号 水の巫女 精霊術師
名前 イリヤ 女 17歳 エルフ
ギルドランク E
能力ランク 総合C 気力D 魔力B
チーム 『世界を結ぶ者達』
称号 ジンのメイド 治癒術師
「うんうん、順調だね。こっちが普通だよ」
「二人の能力が綺麗に並んだな」
「リリスは」
名前 リリス 女 17歳 人間
ギルドランク B
能力ランク 総合B 気力A 魔力C
チーム 『世界を結ぶ者達』
称号 ジンの護衛 熟練者
「変化ないな」
「まあBランクまで行くとCやBランクをたくさん狩らないといけないからね」
ギルドカードの確認が終わったころ、懐かしい声が聞こえた。
ジークだ。もう一人たしか俺が一撃で気絶させたやつだ。
「ジンくん久しぶり」
「誰なんですか?」
そういえばソフィア以外初めて会うな。
「ああ、彼はジーク。王都に来るときに知り合ったんだ。」
「彼女達は、俺の連れで」
「ソフィアです。ジークさん久しぶりですね。」
「イリヤです。ご主人様のメイドをしています。」
「リリスよ。肩書きは一応ジンの護衛、ほとんどいらないけど」
「ティリエルです。お兄様に最近同行させてもらうことになりました。」
「テツです。」
「これは、ご丁寧に俺はジークこっちはカイル一応俺の相棒だ」
「何だよ一応って。あの、ジンあの時はすまなかった。」
「いや別にいいよ」
「そうだ。そんなことよりジン早く王都を出た方がいい」
「?何故だ、その内出るつもりだったんだが」
「まだ、正式に公表されていないが、おそらく戦争が起こる。ギルドが騒がしいのもそのせいだ」
この国の王は、どこまでバカなんだ。
「・・・どことやるんだ?」
「クイント皇国」
「待て、クイント皇国は、ここらで一番強いんだろう。戦争なんかして勝てるのか。」
「いいや。勝てないだろうな。
「なら何のために」
「奴隷を作るため、だろうな」
「わけがわからん。奴隷もなにも負ければ国がなくなるだろ」
「・・・かつてこの国は、自分より大きな国を倒したことがある。その方法は相手の国の奴隷を軍のいたるところに配置しての特攻だった。兵は、戦えなかった。戦えた者も心を病んだ。」
「・・・」
俺は怒りで一瞬訳が分からなくなった。この国はこの世界はここまで酷いのか。許されるのか。
「たぶん、勝つことが目的じゃなくて、クイント皇国の奴隷を得ることが目的だろう。そうなればクイント皇国も下手に動けなくなる。」
「ジンさん!戻ってきたんですね。」
クレアさんがギルドの外から入ってきた。
「お願いです。助けてください。このままでは、この戦争は泥沼化します。」
さっきの説明だけなら長期戦にはならないと思ったのだが、まだ何かあるのか。
「どういうことですか?」
「ここでは、ジンさんだけで奥に来ていただけませんか」
「わかった。皆は待ってて」
奥に来てと言われてきたが、そこはギルドマスターの執務室だった
もちろん俺を迎えたのはこの部屋の主ギルドマスターのガルダだった。クレアもいる。
「よく来てくれた。立ち話もなんだし座ってくれ」
正面のソファーを指しながらの言葉に力がない。前会った時も疲れてるのかと思ったけど今は、度をこしている今にも過労で倒れるんじゃないかとすら思う。
俺がソファーに座ると
「すまない、ギルドカードを見せてくれないか」
あまり見せたい物ではないんだが
「どうぞ」
しばらく俺のギルドカードを眺めると突然頭を下げて
「頼む、力を貸してもらえないだろうか」
「頭を、上げてくれ。まず何があったのか何が起こるのかを教えてください」
「そうだな、単刀直入にいう。この国の愚王が大使として来られる予定の姫を捕らえようとしている。」
「・・・そんなことをすればクイント皇国は引けなくなる。なるほど、泥沼だな」
あきれて怒りを忘れてしまった。
「ええ、何とか救ってお国にお返ししなければいけないのです。だが我々では大使達の居場所が分からないのです。力を貸してくれないか?」
「わかった、協力する。わかっていることは?」
「ほとんど分かっていないのです。」
それなら
「少し調べてみましょう」
部屋の窓に近づき
「『風見鳥』」
どこにでも居そうな鳥を三羽ほど作り出す。風の精霊に形を与えて偵察を行う術だ。これなら景色も見えるし音も聞こえる。
「それは?」
「偵察用の精霊獣です。」
そして言おうか迷ったが二人に
「・・・場合によっては、俺はこの国を滅ぼしますよ。」
「それもいいでしょう、この国は、たくさんの犠牲で成り立つ国こんな国はなくなるべきなのでしょう。」
「わたしも、別にこの国は好きではありません。ジンさん、思いっきりやっちゃって下さい。」
これで決まった。国民が滅べといっているのだ。決まりだ
この国、グーロム王国には消えてもらう。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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