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聖痕使い  作者: 中間
第一章:人間の国
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13話 魔物討伐



話は二手に別れる前まで戻る。



しかし、この辺の魔物は弱いな。ほとんどの魔物が、動物が少し強くなった程度のもので護符があれば死にそうにない。危険がないのはいいことなどだが。

俺は、狼に似たハイウルフを、鉄餓刀で切り裂きながら。鉄餓刀に話しかける。


「なんかお前普通だな。」


「【今の私は、主に抜かれたばかり初期性能ですので。】」


「前の所有者のときには成長しなかったのか?」


「【いいえ、ただ主が移った時に初期化されてしまうのです】」


「そらまた、面倒な機能をつけたもんだ。」


「【いいえ、そうとも言えません。前のままですとあまりに癖が強すぎますし、成長にもいろいろあるので主の好きなように育ててください。】」


好きなようにって


「具体的にどうすればいいんだ?。」


「【金属等を吸収させる時に、私を持って意識を集中してくだされば、勝手に主好みに成長いたしますよ。成長を続ければ隠し機能もあったりします。】」


「それはそれは、楽しみにしていよう。」


いったん会話をやめてギルドカードを見る。


総合討伐数 050

ジン討伐数 019

内訳 ハイウルフ 10 グリーングリズリー 2 ラビットドン 7



50か、ソフィアのほうを見る。指輪の力は使えているのだが、攻撃が不得手らしいのだ。まだ、一体も倒せていない。

ノルマは終わったしソフィアの修行でもするか


「皆ちょっときてくれ」


三人に側に来てもらう。


「どうしました?。」

「ソフィアの修行をやろうと思うんだ」


「何故ですか?」

「私やっぱり弱いですか?一体も倒せていませんし」


イリヤは不思議そうにしていた。ソフィアは泣きそうになってしまった。


「いやそうじゃなくて、ソフィアって攻撃が苦手みたいだからその指導をしようかと思ってな、これから先自衛は出来たほうがいいだろうしな」


この言葉にソフィアも納得してくれて。泣き止んでくれた。


「たしかにそうですね。それではご指導お願いします。」


「それでは私達は、どうしましょう?」


「二人には悪いけど、このまま狩りを続けてほしい。討伐数がものをいう依頼だからね。」


イリヤは、一応攻撃魔術が使えるので今は、大丈夫だろう。


「わかりました。」

「了解」


二人と別れソフィアの修行が始まった。




いくつか術を見せてもらったが制御はうまいし精霊の力も申し分ない。となると、ただ攻撃用のイメージが持てないのだろうそれなら見せるのが手っ取り早い。


「ソフィア今から俺がいくつか攻撃用の術を見せるからそれをヒントにして。」


「はい。勉強させてもらいます」


ソフィアが意気込んでいる。


見せたのは、圧縮して撃つ『水撃』と圧縮した水でものを切る『斬水』この二つだけ。これから自分の形を見つけてくれるといいのだが。

精霊術には決まった形が無い、なので自分で形を作ったほうが力を発揮しやすいのだ。


練習を重ね『水撃』に近い物でハイウルフを倒せるようになったころ。

探査用の風の精霊がイリヤの声を拾ってきた。イリヤはなにか焦っているようだ。


「ソフィア今日は、ここまでにしよう」


「はあ、はあ、わかりました。」


しまったやらせすぎたか。


「大丈夫か?」


「大丈夫です。早く足を引っ張らないようになりたいですから。」


別にソフィアも集団戦なら問題はないのだが、今はイリヤのほうだ、リリスの声が聞こえないのも気になる。


「ソフィア悪いけどついてきて、何かあったのかも」


「何かって何ですか?」


「まだわからん、急ぐぞ」


俺は、駆け出す。迷わずに森の奥に進みすぐにイリヤを見つけた。


「大丈夫か?」


「ご主人様、・・・あの、はあはあ、その」


息切れしているし、えらい慌てようだ。


「落ち着け、なにがあった。リリスは?」


そこでソフィアも追いついてくる。


「ノワールサイに襲われて、今リリスが引きつけてくれてご主人様を呼んできてって」


俺は、ソフィアに聞いてみた。


「やばいのか?」


ソフィアの顔も強張っていた。


「ノワールサイは、Aランクの魔物です。単純な意味でBランクのリリスさんでは勝てない可能性が高いと思います。」


くそ、俺のせいだ一日目から二手に分かれるんじゃなかった。こういう依頼は、なにが起こるかわからないものなのに。


「すぐに行く。二人はここで待ってて」


「どうやって行くのですか?」


道案内のことだろう。しかし、それには取り合わず。使う覚悟を、決める。


「聖痕を使う」


俺は、リリスのためにこの世界ではじめて聖痕を使うことを決めた。



風の聖痕を発動

「聖痕発動『嵐帝』」



俺の、周りを風が包む傍目には風の衣を着ているようにも見える。

発動と同時に俺の視界と感覚が広がっていく。


見つけた。


『嵐帝』状態の俺は、このオルムの森をすべてを見通すほどの探索範囲を持つリリスを見つけるのにかかった時間は、二秒ほどだ。

呆然とする二人に


「ちょっと行ってくる。『疾風』」



俺は、ものすごい速さで走り出した。覚えたばかりの気を使い脚力をあげ、『疾風』で空気抵抗をなくし追い風を起こす、邪魔な木や魔物を風で吹き飛ばしながらリリスの場所に向かう。


二人の目からはすぐに見えなくなってしまった。


「あれが、ジン様の聖痕の発動」

「ご主人様の、本気」


二人は、自分達の近くにラビットドンが来るまで呆然と突っ立っていた。





見えた。

黒いサイの前からリリスを掻っ攫い嵐帝を解く。

リリスが突進を受ける寸前に、助けられた。


ギリギリだった。よかった本当によかった。後少し遅れたもうリリスに会えなかったかもしれない。この世界ではじめて死を身近なものに感じた。

目を閉じているリリスの身体は、長時間の間、回避のみの体力より精神面の戦いだったからか、とても冷えている。


リリスが目を開けると、目を潤ませて


「ジン!」


抱きついてきて頬にキスされた。

この状況でキスされたことに驚きながらも俺は嬉しくなった。特別になれた気がしたから。


「リリス、大丈夫?」


「うん、平気ジンが助けてくれたから。」


「じゃあちょっと待っててあれ片付けてくる。」

そういって側に降ろす

リリスは残念そうにしながらも腕を離してくれた


「うん、待ってるね」


リリスが信頼の眼差しを向けてくるなか

律儀に待っていた、ノワールサイの前に行き。


「おい黒いの。俺は、俺の大切な女を傷つけるやつを許さない。ちょっと残酷な死に方をしてもらうぞ」


次の瞬間ノワールサイが突っ込んで来る。俺は、右足を上げ地面に落とす。


「『五重・土壁』」


俺とノワールサイの間に5枚の土壁が地中からせりだす。ノワールサイはそのまま突っ込み土壁を粉砕するが4枚目で突進が止まった。


今度は両手を地面置いて

「『落とし土牢』」


ノワールサイの地面が陥没し円柱状に穴が開き、ノワールサイが落っこちる。ノワールサイは、狭くて身動きがとれず這い出ることができない。


そこでリリスが近づいてくる。


「もう終わったのさすがだねジン。」


「いいや、まだだよ。言ったろ残酷な死に方をしてもらうって」


「な、何するの?」


「こうする、『炎蛇・六首』」


炎蛇を一分ごとに一匹ずつ穴に順次投入し長時間熱する。皮膚のおかげで燃えることはないが、熱は感じるだろう。生き物なんだから当たり前だ。

つまり俺は、ノワールサイを生きたまま焼き殺したのだ。


ノワールサイは身動きも息も叫ぶことも出来ず悶えながら死んだ。


「ジンすごい、大好き」


リリスとしては、自分の好きな人が自分のことで怒ってくれたのが嬉しいらしく、抱きついてきた。俺も失ったかもしれない女の子を大事に抱き締めた。

しばらくした後、キスをして離れる。


「二人のところに戻るか」

「ちょっと待って。あれ冷やしてくれないかな?」


リリスが、ノワールサイを指す。俺は怪訝を思いながら水を出して冷やす。

穴に降りてリリスが近づき


「『採取』」


光がノワールサイの身体を包みこむ。するとノワールサイの角が根元で折れたり体から黒い鉱石が出てきた。


「この魔法で素材とか貴重な部分を取れるんだよ。まあランクB以上の魔物じゃないと碌な素材が無いから最初はいらないんだけど。Bランク以上の冒険者では、わりと必須なんだよこの魔法。」


そういいながら角を冒険者用の袋に入れる。この袋は、入れた物を自動で圧縮してくれる優れものだ。リリスのレイピアと同じ軽量化の魔法もかけられている。

次に黒い鉱石も入れていった。


「今度こそ行こうか」


と声をかけるとリリスは近づいて来て、腕を絡ませてきた。今までで一番いい笑顔で、


「そうだね。行こ」


そのまま俺達は来た道を戻った。



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