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聖痕使い  作者: 中間
第一章:人間の国
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12話 初恋

異世界6日目


−リリスサイド−


私は、今イリヤと魔物退治をしている。


最初はみんなで森に入ったのだが、この森のランクはEランクつまりFランクの冒険者まで入ることができる。

Bランクの私やジンにとって少々退屈だったのだ。総合で50匹ほど狩ったところでジンが(一週間で300なので単純にノルマは終わっている)


「ソフィアの修行をやろうと思うんだ」


という話になり

なので効率を上げるために二手に分かれたのだ。

ジンがソフィアの修行をするため、イリヤと私が組むのは必然だろう。


イリヤと知り合ったのは、奴隷時代に奴隷される際に負わされた怪我を、こっそり治してもらったのがきっかけで友達になった。(奴隷には、自害以外のことを命令でき禁止もできるが、イリヤは治療行為を禁止されていなかった)


奴隷の間、わたしは友達として不安に潰れそうなイリヤを支えることはできたと思う。でもその不安を取り除くことは出来なかった。


それを簡単に取り除いてくれたのがジンだった。イリヤにとってジンが特別になるのに時間はかからなかった。


そして私も奴隷の身から救ってもらった恩がある。好きではある、あるが、イリヤやソフィアと同じなのか自信がない。

小さい頃から冒険者をしていて忙しかったし、同じ場所にいる事がなく恋愛などしたことがない。初恋もまだだと思う。

ジンは、ハ、ハーレムを作るって言っていたし時間はあるだろうから。

わからないことはわからないのでわかるまで放置することにした。


「イリヤ残念だったね、ジンと一緒にいられなくて」

「うん、ちょっとね」


少し沈んでいる。

わかれる時は、平気そうだったのにやっぱりジンの側が一番安心できるのだろう。励ますために


「それじゃあたくさん魔物狩ってジンにほめてもらおうよ」

「そうだね、頑張ったら。頭撫でてくれるかな」

イリヤが赤くなってる。イリヤは、ジンが絡むと頭が桃色になるなあ。いや天然なだけかな。


私達は、それからも順調に狩りを行った。気付くとずいぶん奥に来てしまった。

そろそろ戻ろうかと思っていた時に私達はそれに出くわした。


それは、サイのような形をしていた魔物で、だが角は太く長さにいたっては、2メートルぐらいある。

皮膚は、黒い鉱物の様なもので出来ていてとてもスピードタイプのわたしやイリヤの攻撃魔法が効くとは思えない。

名前はノワールサイ、サイ型の堅さが売りのAランクの魔物だ。

(何でこんなところに上級の魔物がいるのよ)


心中で嘆いていると、ノワールサイが突っ込んできた。

ヤバい


私はイリヤを抱えて右に跳んだ。ノワールサイは、私達がいた後ろの木を、


三本ほどへし折った。


デタラメな突進力だ。ジンには悪いがこの突進に護符はあまり意味がないだろう。なので呆けているイリヤに


「イリヤ!きた道を戻ってジンを呼んで来て」


声が大きくなってしまった。


「リリスはどうするの?」

声が震えている。怖いのだろう当たり前だ今のを見たのだから。それでもこちらを気遣うイリヤに


「私は、あいつを引き付ける。大丈夫ノワールサイの動きは、単調だから時間稼ぎくらいはできるから」

これは事実だが逃げられる保証はない。ノワールサイに障害物は、関係ないのだから


「わかった。待ってて絶対にご主人様を連れてくるから」


そう言ってイリヤは走り出した。


「それじゃあ張り切っていきましょうか。」

私は、引きつけるために無駄と知りながら切りかかる





あれからずいぶんたった。突進を防御せずにすべて回避する。回避しながら考える。

正直イリヤがジンを連れてくるのは、難しいだろうこの森は広いし、木で視界も悪いイリヤの体力も心配だ。だけど諦めた訳ではない、こいつの視界を奪えればスピードタイプの私は、逃げられるはずだ。

こいつの動きも大体覚えた。


眼を潰してからの逃走


これしかない。決めたら回避しながら時を待つだけだ。

それから何度目かの突進でノワールサイは、苛立っているのか無理な停止をした。

いい位置だ一歩で突ける。


(ここなら)


私はレイピアを突き出す。


ガキン


ノワールサイは首を下げてレイピアに角を当ててきた。レイピアは弾かれ体勢を崩してしまう。しまったこのノワールサイ、自分の弱点を知ってる。ノワールサイが体当たりをしてきた。


ヤバい

助走がなかったので、私は回避とレイピアと護符で何とか受け流すことができたが。しかし、今度こそ完全に体勢を崩されて転倒してしまいすぐには動けない。

ノワールサイが再度突っ込んで来る。



(避けられない、死ぬ、ジン助けて)

眼を閉じてしまう。



・・・・・いつまでも衝撃は襲って来ない。

代わりに、心地良い風と暖かい体温を感じる、その体温が戦いで疲れ冷えた体を温めてくれる。

眼をあけると私はジンに、お姫様抱っこされていた。


(タイミング良すぎだよ、ジン)


「ジン!」


ジンに抱っこされたまま首に抱きついて頬にキスをした。



私は、初めて恋をした。



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