9話 宿屋の朝
異世界5日目
朝起きると隣でイリヤが裸で寝ていた。寝起きにイリヤの耳で少し遊んでからベットを出る。
自分が着替えた後、イリヤの体を布で綺麗に拭いていると。
「あ、おはようございます。ご主人様。」
イリヤが起きた。
「おはよう」
俺はそのままイリヤの体を綺麗にする作業を続けた。
「あの、自分で・・・」
「いいから、させて」
黙ってしまった。イリヤの顔が赤くなっていく。
・・・・・
「よし終わり」
「はぅ、ありがとうございました。」
恥ずかしかったのか急いで服をきている。
ちょっと意地悪をしたくなった。
「これでイリヤの体で触れていない所はないな」
ピタッ
止まってしまった。可愛いやつである。頭を撫で
「二人を呼んでくるから、早く支度しろよ」
部屋を出ると
「う~~ご主人様のバカ~」
本当に可愛いやつである。
ちょっと時間を置いてからソフィアとリリスをつれて部屋に戻った。
「飯の前に少し話そう、大侵攻については昨日話したな、大侵攻を阻むのが一番の目標だが、それとは別に俺個人の目標もある。」
「ご主人様の目標ですか?」
「そうだそれはだな。・・・この世界から奴隷と奴隷制度をなくすことだ」
「・・・ジン様、それはさすがに難しいと思います。」
「そうだよジン、奴隷を持っているのは、基本的に支配者側なんだよ。」
二人は否定的だが。イリヤは、
「ご主人様、さすがです。どこまでもついていきます。」
とろん、としていた。
「まあ、これは決意表明みたいなものだ、一応手も考えてる。まだ不確定要素が多すぎるがなんとかなると思う。」
この言葉に、二人もなにか考え込んでいたが、何も言って来なかった。
俺は、話を変えて
「大侵攻を阻むための協力体制を取る国を探す必要があるんだが、どの国がいいと思う?」
「それはやっぱりクイント皇国がいいと思うよ。あそこの王は、民に慕われているし。奴隷を禁止しているから、ジン的にもありだと思う。」
冒険者のリリスが発言した。実際のところ村からあまり出ないソフィヤやエルフの里から出てきて日の浅いイリヤ達に比べリリスは世間についての情報を持っていた。これは正直助かった。
「じゃあクイント皇国と協力体制を取る方向で行こう。クイント皇国となるとさすがに遠いから、まずは金か」
「それならみんなも冒険者になろうよ、そうすれば情報も力もお金も手に入るからさ」
「情報とお金はわかるが力も手に入るのか?」
「うん、あ、そっかジンは知らないか。あのね冒険者登録するときに丸薬みたいなのを飲むんだ。
くわしくは、知らないけれどそれを飲むと体質が変わって魔物を倒すと気力と魔力が少〜しずつあがるんだよ。個人差はあるけどね。」
「へえ〜便利なんだな。戦えばある程度は強くなれるのか」
それなら俺はまだまだ強くなれるかもしれない。
「まあ強さの上限にも、限りがあって上限までいくとギルドカードの称号に『到達者』っていうのが出るんだよ。
さらになんと能力ランクS以上の人は、『超越者』っていう称号が出るんだ。『超越者』は、凄く少ないんだよ。後、精霊術より魔術が主流なのもそのせいだと思うよ」
またまたリリス。冒険者なのだから当たり前なのかもだがちょっと意外だ。
「ジンなんか今失礼なこと考えていない。」
するどいな。
「いいや。それじゃあ装備とかいろいろ準備しなきゃいけないし。今日は、お買い物と冒険者登録ということでいいかなできれば依頼?クエスト?も受けたい。」
「そうと決まれば朝ごはんにしましょう」
「ちょっと待って、あともうひとつ聖痕についてはできるだけ伏せておいてまだ目立つわけにはいかないから、あと『契約の無効化』については絶対に喋ちゃだめ」
「『契約の無効化』もですか。」
「考えてもみて俺はあらゆる契約を無効化つまり無視できるんだ、それでは誰も怖くて契約できなくなるし悪用の仕方はいくらでもある。誰かが利用するために近づいてくるかもしれない。だからもしばれそうになってもあくまで奴隷解放の能力ということにしておいて。」
実は、もうひとつあるのだがそれについては、今はいいだろう。
「「「・・・・・」」」
三人とも呆けた顔をしている
俺まで困惑して。
「どうした?」
「いろいろ考えているのですね、ますます惚れます。」
「さすがご主人様です。尊敬します」
「ほえ~、ジンってすごいね、普通は力を誇示したくなると思うんだけど。人間ができてるのかな?」
照れくさくなったので
「よしこれで終わり飯に行くぞ」
先に食堂に向かった。
朝食25×4=100ギル
残高9440ギルなり