本当にあった不思議な体験
世の中には、不思議なことなど山ほどある……
成田空港トイレ爆破事件
海外旅行に出発する友人の見送りに成田空港へ行った。
搭乗時刻にはまだ時間があったので、友人と空港内のカフェで時間を潰す。
ガラス張りのカフェから下を見ると、やたらと人が出入りしている。
真下にはトイレがあるようだ。
1時間ほど時間を潰しカフェを出て、友人と搭乗口まで行き、見えなくなるまで見送ったあと私は車で家へと急いだ。
家に着きテレビをつけると、ニュース画面。
やたらと騒いでる、なにか事件があったようだ。
見ると、成田空港で爆破事件があったとのこと。
現場は、
さっきまで友人といた、
カフェの真下の
トイレだった…
地下鉄サリン事件
金曜日の夜、家に帰ってふと思った。
(家から車で会社まで行ったら、どれくらいかかるんだろう…)
いつもは私鉄と地下鉄を乗り継いで会社に行っている。もし、車で行っても時間的にたいして変わらないのなら、残業して終電がなくなっても安心して帰れる。
(よし、今度の月曜は試しに車で行ってみよう)
月曜日、少し早めに家を出て会社に向かう。
多少混んではいたが、思ったよりスムーズだ。
(これなら予定時間よりかなり早く着きそうだ。)
そう思いながら走っていると、途中から訳のわからない大渋滞…。
(なんだ?工事か?)
そう思った辺りは、大手町まであと少しのところ。
ラジオをつけてニュースを聞いてみると、地下鉄でなにかとんでもない薬品が撒かれ、人がバタバタ倒れているとのこと。
この日、
いつもと変わらず地下鉄に乗っていたら、
私は今、
ここにいない…。
松本サリン事件
土日を利用し、一泊二日の慰安旅行で長野の温泉へ。
他のみんなは電車で現地へ向かったが、どうせ行くなら帰りにいろいろ見てきたいと思い、私は一人、車で現地へ向かった。
次の日、予定より早めに宿を出た私は、車を走らせ松本城へ行った。
街中を観光し温泉に入り、松本を後にしたのが午後10時を過ぎていた……
『1994年6月27日の夕方から翌日6月28日の早朝にかけて、長野県松本市北深志の住宅街に、化学兵器として使用される神経ガスのサリンが散布され、7人が死亡、660人が負傷した』……
一日遅かったら、
私は
松本で
死んでいたかもしれない…
くじ運とケガの関係性
くじ運というものにまったく縁がない。
商店街のガラガラの福引きで、38回連続でハズレを出した。
詳しい玉数は明記しないが、およそ、1/2億5千万の確率である。
そんな人間が、なにかしらで当選するとどうなるか…
チョコボールの金のエンジェル
→左足のこう、骨折
ラジオ番組リスナーにうまいものセットプレゼント
→肋骨骨折
TV番組でFaxが読まれた
→車での事故………
等々、数え切れない。
『こちらを立てればあちらが立たず』とでも言わんばかりだ。
ただの不注意と思われるかもしれないが、説明できないアクシデントに間違いないのだ。
そしてまた、幸か不幸かs-1バトルで特賞当選した。
4月には、
死んでいるかもしれない…
死んだのかもしれない
体がだるい。風邪をひいたようだ。
症状はどんどん悪くなる…。
熱も38度を越えていたので解熱剤を飲んだ。
次の日、ずいぶん良くなったように思えたので、とりあえず家のことを片付けようとその日一日ずっと動いていた。が、深夜になってまたぶり返した。
(あぁ、寝てればよかったかな…)
そう思いながら、また横になる。
急激に熱が上がりだし、身動きがとれなくなってきた。
次の日も、丸一日苦しんでいた。
寝込んでから何回着替えたろう、着替えるものがなくなるほど大量の汗をかく。
うどんを作ってもらいひとくち食べたが、まったく食欲がない。
熱を計ると40度をすでに越えていたので、とりあえず薬を飲み寝ることにした。
どれくらい経ったのか、きっと寝ているんだろうが、とにかく苦しい。
しばらくして変な夢を見た。
たぶん…夢…?…
フラッシュのようなものがパッと一瞬光り、体がフワッと楽になった。
気がつくとそこは、すべてがオレンジ色の広々とした草原。
空の上までオレンジ色のグラデーション…
言葉は出ない、ただひたすら気持ちがいい。
とても幸せで安らぐような、例えようのない気持ち良さ…。
なにもかも、全てのこと 全ての人間全ての罪を許せる…というような気持ち良さだ。
ひとつ不思議なのは、風も吹いてない草原の、
それも、足元にある草の穂先が揺れているのがわかること。
この目で見ていないのに だ。
脳に(?)意識に(?)直接映像が送られてくるような、妙なかんじ…。
(あぁ… なんて気持ちがいいんだろう…)
そう思った瞬間、夢(?)から覚めた。同時に、一気に苦しさが蘇ってきた。
あれはなんだったんだ?…
熱も下がり動けるようになった。
掃除をしようとベッドの下を覗くと、なにか不思議な水たまりがある。
(なんだろう…?)
ベッド面は"すのこ"のような状態になっていて、その上に布団を敷いて寝ている。
後でわかったが、水たまりの正体は、布団を貫通して下に溜まった汗だった。
あの一瞬、
不思議な光景を見たあのとき、
死んだのかもしれない。
だんご3兄弟のヒット
和菓子が好きなので、よく和菓子を買いに行く。
以前住んでいたところでは、行きつけの和菓子屋があったぐらいだ。
よく買っていたのはこしあん系。
団子も、みたらしは正直好きじゃないので、よっぽどのことがない限り滅多に買わない。
1月のある日、ふと思った。
(団子食いたいな…)
いつものことだし、いつものように和菓子屋へ行く。
なぜかみたらし団子を5本買った。
自分でも訳がわからない、嫌いなはずなのに…。
その日を境に、毎日毎日無性に団子が食べたくてしょうがない。
それも嫌いだったみたらし団子のみ。
(なんだ?おかしいぞ?…)
食事までもがみたらし団子のみになった。
和菓子屋が休みのときは次の日の分まで買う始末。
夜中に食べたくなり、団子を探してコンビニをハシゴ…
(病的だな…)
そう思って、花屋をやってる友達に相談したりもした。
「どうしたんだろうねー」
そう笑うだけだったが、自分にとってはありえない事なのだ。
そんなことが何日も続いたある日、『だんご3兄弟』という歌があり、とんでもないヒットだと聞いた。
(へぇ、だんご3兄弟かぁ、変なタイトル…)
その日から、不思議とみたらし団子を食べたいと思わなくなった。
もともと好きじゃなかったんだ、別に不思議じゃない…そう思ったんだが……
あれは、
なんだったんだろう。
それ以来、
みたらし団子は食べていない。
行った覚えのない遊園地
いったいどういうことなんだろう……
夢の中で…
最初に見えたのは何かの券売機。
券売機の向かって右側から歩いてきた。
券を買い、そこから向かって左へ歩く。
入口は木製、入口と出口がそれぞれ1つずつあり、屋根は三角の形をしている。
どうやら遊園地のようだ。
入ると、右側には草花の植え込みがあり、その斜め上に光るもの…何かの建物か?光りが当たって反射している。
左側はなんだか薄暗い…。こちらには背の高い木が植えてあるようだ。
前を見るとゆるやかな上り坂になっていて、その先、坂の上の道の真ん中に、草のようなものが1ヶ所に集中して生えている。
植え込みなのか?……よくわからない。
……ここで一旦映像が切れ、次の場面。
坂を下りてくる自分と、隣にもう一人。
男なのか女なのかどんな関係なのかもわからない。自分より背の高い人だ。
2人並んで歩いてる……
夢から覚めふと思ったのが、やけにはっきりとした映像だったということ。
が、所詮 夢だ。
それから何年も経ち、その夢のことも、そんな夢を見たことすら忘れてたある日、仕事の関係で、神奈川にある緑山スタジオへ行くことになった。
その送迎バスの中、何気なく見た窓の外に、どこかで見たような風景が……
(夢…?… あのときの…夢だ!…)
言葉を失った。ただ呆然と見ていた。
一緒にいた友人の声も 耳に入らない。
(何もかも同じだ!何もかも…!…)
そこは、一度も行ったことのない初めての場所。
遊園地の名前も、その日そこを見るまで知らなかったのに…
緑山スタジオに着き、蒼ざめた私に友人が言った。
「どうしたの?顔色悪いけど、気分でも悪いの?」
彼女は神奈川で生まれ育ち、神奈川に住んでいる。
そこで事情を話し、その場所について聞いてみることにした。
彼女は、何を言ってるのかわからない、というような顔をしていたので、私は、持っていたノートに夢で見た覚えている限りの絵を描き、ひとつひとつ説明しながら尋ねてみた。
不明だった最初の部分、券売機の向かって右側には駐車場があるという。
きっと車だったんだろう、と彼女は言った。
そして、それ以外の私が説明することに対し、何一つ間違いはないとはっきり言った。
(なぜ何一つ間違いがないんだ?
行ったこともないのに…!)
ただひとつ夢と違っていたのは、入口の上の屋根に、遊園地の名前が大きく書いてあったこと。
『こどもの国』
一連のことに何かメッセージがあるのかもしれない。
だが……
あれから
何年経ったのか…
いまだに、
そこへは行っていない。
一人多い…
旅行は好きだ。
計画を立てている時は楽しいもので、宿の予約をし 気に入った店での食事の予約を取り、ご当地でしか手に入らない駅弁を頼む。
その作業も含め、旅行するのは好きだ。
数年前…
3泊4日の家族旅行のため全ての予約を済ませ、その日、北陸旅行へ出かけた。
車での旅行だったので道は不慣れだったが、これといった問題もなく なんとか宿に着いた。
チェックインのためフロントに向かう。
「4名様でご予約の…」
(おいおい、しっかりしてくれよ)
「いえ、3名で予約したんですが…」
3泊4日ともなると、宿の予約だけでも大変なものだ。
きっと私が言い間違えたんだろう。
次の日、宿を出て次の目的地へ向かう。
途中、ずっと前から楽しみにしていた鮎専門の店で食事をする。
「4名様で予約を承って…」
(予約したのは3人なんだが…)
「いえ、3人でお願いして…」
ホテル同様、食事や駅弁の予約もそこそこある。
このときも、自分が間違えていた と思ったんだが…
食事も終わり店を出て、趣のある町並みを散策した後、多少時間の余裕があったので調整しながらゆっくり行こうと思い、 車を走らせた。
直後、妙な事故に巻き込まれてしまい、宿には予定時間を少し回って到着した。
早速チェックインをする。
「○○様、4名のご予約で…」
(まただ…)
初めて変だと思った。
我が家は3人家族。
いくらなんでも家族の人数を間違えるなんてこと、どう考えてもありえない。
言い間違えたにしても、全部というのは流石におかしい。
(なんなんだ…?)
何かの間違いだと思うことにした。
予約したところはあと2ヶ所。
流石にもうないだろうと…。
次の日、予約しておいた駅弁を受け取りに販売所へ。
「お待ちしてました。○○弁当4つですね?」
(いい加減にしてくれ…!)
楽しい旅行の途中だ、考えていてもしょうがない。
弁当を3つ購入し、最終目的地へ向かう。
(ここで1泊したら旅行も終わりだな。
最終日はゆっくり過ごそう。)
宿に着き、チェックインへ向かう。
「4名様でお部屋をご用意…」………
一人多い…。
一緒に旅行していたのは
いったい
誰だったんだろう。
ありえない事故
旅行の途中、郡上八幡へ立ち寄った。
鮎専門の店で食事をし、次の目的地へ車で移動しようとした時、事故に遭った。
事故そのものはたいしたことのない接触事故なのだが、その状況が妙だ。
不慣れな土地で、たいして広くもない道だったので、できる限り注意をして運転していた。
曲がり角で左折する際、そこを路線バスがこちらへ曲がってきていたため、停止線よりもかなり手前のところまで下がり、通行の邪魔にならないよう左端に寄ってバスが行き過ぎるのを待っていた。
バスはゆっくりとこちらへ曲がって来る。
曲がりきって通りすぎようとしたとき、車の右フロントにぶつかった。
こちらが事故を起こすのならわかるが、路線バスは毎日同じところを それも何年も走っているものだ。そうそう事故るものじゃない。
それに、そのとき他に車は走っていなかった。
事業所へ行き、いろいろと事故処理の手続き等をしながら、バスを運転していた人と話をした。
その人はもう何年もバスを運転していて、事故を起こしたのは今回が初めてだと言う。
自分でもよくわからないが、引き寄せられるかんじがした 申し訳ない、と言ってくれた。
幸い事故はたいしたことなく、双方に怪我もない。
その後も旅行日程をこなせる程度のものだったのだが……
それにしても
あの事故は
いったい…
知りたくない情報
ある日を境に、人のことがよくわかるようになった。
占いは好きだが、占い師になろうと思ったことはないので、私にそんな力はない。
それに、私のような人間はきっと他にも山ほどいるはずだ。
例えば、
まったく面識のない、見ず知らずの人と話をしたとする。
およそ1時間で、その人の考えてることや考え方、生き方人間性、これまでどのように生きてきたか、何に悩んで何をどうしたいのか、口には出さない本心や、ときには家族構成までわかることがある。
その程度なら「いつものこと」で考え込むことはない。
ただ…
知りたくないことや、知らないほうがいいことまでわかってしまうのは、自分にとって非常に辛い。
男でも女でも関係なく、相手の嘘が手に取るようにわかる。
…というより、アンテナが電波を受信するように、隠していること 隠したいと思っていることを受信してしまう…。
ただ、そこまでになるには条件があるようで、瞬間的にその相手を好きになる(興味を持つ)ことが必要なようだ。
話をしながら瞬間的にでも相手を好きになることができれば、およそ9割の確率で、相手のほぼすべてがわかる。
知りたくない情報までもが…だ。
うらやましいと言う人もいたが、私にとってはありがた迷惑以外の何者でもないので、今はできるだけ何も考えないよう、努力している。
ある日を境に、と言ったが……
あの日、
不思議な夢を見たあの日から、
見えるものが
変わってしまったようだ
秋葉原殺傷事件
その日、
用事と個人的な買い物がありアキバへ行った。
ここはいつ来ても楽しい。
用事を済ませ、個人的な買い物に没頭していた。
11時を回り、腹も減ってきたのでそろそろ帰ることにした。
そうは言っても、やはりいろいろ気になるし いろいろ見たい。
なんだかんだと、秋葉原駅に向かったのは11時半をすでに過ぎていた。
『2008年6月8日午後0時30分過ぎ、外神田4丁目交差点で2トントラックが赤信号を無視して突入、歩行者5人を撥ね飛ばした。
トラックを運転していた男性は車を降りた後、倒れこむ被害者や救護にかけつけた通行人・警察官ら14人を、所持していた両刃のダガーナイフで立て続けに殺傷……』
あの日、
1時間遅かったら
間違いなく
被害者の一人になっていた
番外編 『ネクロノミコン』
この話は、昔 友人から聞いたもので実際に自分で体験した話ではないので、
本当にあった…… ではなく、
『本当にあった…かもしれない不思議な話』
としてお話します。
『アラビア人「アブドル・アルハズラット」(アブドゥル・アルハザードや、アブド・アル=アズラットと記される場合もある)が著わしたとされる架空の魔道書。複雑多岐にわたる魔道の奥義が記されているとされ、それ故か魔道書そのものに邪悪な生命が宿ることもあるという。(『ラヴクラフト全集』中)』
知っている人はたくさんいるだろう、魔道書なるものをもとに書かれたネタ本と言われてるシロモノ。
この本の終わりに、魔法陣や呪文といった、怪しげなものが掲載されているのもご存知かと思う。
これを、無駄だと知りながら試した人はいるだろうか…?
本当に何も起こらないのか?
本当に無駄なのか?
本当に、ただのネタなのか?……
……実際、試した人がいたのである。
いや、いたそうなのである。
当時、某漫画家(今では超有名らしいが…)のアシスタントをしていた友人から聞いた話。
彼の仲のいい友達の修行僧が、高尾山の奥深くで修行中のこと。
この修行僧は、僧でありながら邪念の多い人で(だから修行してるのだろうが…)、俗世間に非常に興味があった。
さらに、僧でありながら、魔術や魔道、悪魔や忌まわしいものにも相当な興味があったという。
ある日、どこで見つけてきたのか、先述の本を手に入れた。
そこに書かれていた怪しげなネクロノミコン。興味を持たないはずがない。
ずっと、これは本当にただのネタなのか試してみたい、と思っていた。
ある日の吉日(事を行うにあたっての)、決められた通りの時間、決められた方角、必要な物 必要な言葉を用意し、試してみることにした。
(実際に何かしらの魔術なり呪文なりを行う際、風の向きや月の満ち欠け、何時何分等の細かい準備が必要なのだそうだ)
決められた場所に物を置き 準備を整えた後、指定の場所に立ち、指定の言葉を発する…
しばらく待ったが何も起こらない。
僧はこの行為を何度か繰り返した。
それでも何も起こらないので、やっぱりただのネタだったのか…と思い、召喚を終わらせようとした時……
―空気が変わった。
なんとも言えない、張り詰めた空気……
喉の奥が凍り付いたようで、まともに息ができない……
例えようのない、重力を伴った冷たい空気だったという。
僧はあまりの変化に恐ろしくなり、召喚したものを元の場所に返す作業を必死に行ったそうだ。
そのあと、何をどうやったのか、どこをどう帰ったのか覚えていないらしい。
本当かどうかいまだにわからない。
疑おうと思えば疑わしいばかりのことなのだが、それを話したときの僧は、ただならぬ表情だったという。
これを聞いたのは、彼が僧から話を聞いた何ヶ月も後なのだが、彼がこの話を聞いたあと、まったく連絡が取れなくなったそうだ。
実際どうだったのかわからないが、連絡が取れないので心配でしょうがない……
と、そのとき彼は言っていたが……
世の中には
不思議なことなど山ほどある
僧はあれから
どこにいってしまったのか……
(番外編 終わり。)
トイレ
今だから笑える恐怖体験。
※注
食事中の方、想像力豊かな方は 決して読まないでください。
これは今だから笑えるが、その何分かは本当に恐怖だった……
しばらく便秘気味だった私は、久しぶりの『お知らせ』に呼ばれ、トイレに入り 用をたした。
(腹が軽くなった、久々にスッキリした)
そのあと、いつものように水を流す。
調子が悪いのかなかなか流れてくれない。
このとき、危険を察知して 早めに手を打っておけばよかった。
そうすれば、あんなことにならずに済んだのに……
あれ?と思い、2・3回流してみる。
その直後、コポコポコポコポ…… 逆流してきた!
トイレが………詰まった!!!
どんどん水が上がってくる。
アレだのコレだのと一緒に、便器のフチまで水が……!
(あ゛ーーーーーーっっ!!!)
このまま溢れたら……
家中水浸しどころか、家中…浸しになるじゃないか!
(待て!待て!やめろ!
来るな、来るなー!!)
もっと早くにスッポン処理をしておけばよかった。
でも、もう遅い。
水は便器のフチギリギリまで迫っている。
今ここで紙きれ1枚でも落としたら、確実に溢れるぐらいの 表面張力で保たれてる状態だ。
まったく水が引かない…
そのとき何を思ったのか、便座を上下にパカパカし始めた。
人間、追い詰められ極限状態になると、何をしでかすかわからない。
きっと私は そのとき、パカパカすることによる振動で、どうにかなると思ったのだろう…。
せめて5ミリずつでも水が引いてくれれば…
便器の前に座り込んで何分経ったろう。
いろんなものが浮いてる便器を見つめながら、かなしくなってきた。
(ずっとこのままだったらどうしよう。
なんかのキッカケで溢れてきたら…)
いろんな恐怖と情けなさで泣きそうだった。
しばらくして、
ココ…ゴォォー……コッコッコッ…コォー………
一気に流れていった。
よくよく考えてみれば、あれもそれも水溶性だ。
時間が経てば自然と流れていくものだ。
なんでもっと早く気付かなかったんだろう。
ホッとしたら、なんだかバカバカしくなってきた。
が、なんにしても、情けないこと窮まりない……
それ以来、
用をたす時は
流しながらにしようと
心に決めた。
世の中には、不思議なことやありえない偶然が山ほどある。
あのとき あぁしなかったら…とか、
あのとき こぅしたから…とか……。
それと気付かないだけで、誰の回りにも 実はいろんなことが起こってるのではないのでしょうか。
もっと注意深く自分のことを見てみると、
ありえない偶然が渦巻いていることに気付くはずです……