第4話『胸の痛み』
「———てな訳でコイツらもこれからは俺達の仲間だ!ユウキ、シルフ、挨拶!」
こちらを見てくる100人弱の集団にアドラーさんがよびかれ呼び掛ける。
「ユウキ・アキザクラです!よろしくお願いします!」
「まーす」
俺達はアドラーさんが結成した組織、『帰還者団』に所属することになった。
現実問題、右も左も分からない世界で俺とフォメ2人で生きていくのはハードルが高い。
シルフというのはもちろん最初に俺を起こしてくれた人のことで、アドラーさんが俺達の名前を尋ねた時にはあっさり名乗った。
先程会ったばかりとはいえ、そんなに俺のこと信用できないかなぁ……。
「あの、ユウキ…さん?」
自己紹介を終えて団員達と談笑していた時、突然声を掛けられた。
その声の主は俺よりも年下だろうか、小柄な美少女だった。
「私、ZWEIのアイリスって言います。私の弟をご存知ではないですか?」
おそらく、この人の弟も巻き込まれて行方不明になったのだろう。
「申し訳ないがご存知ないな。しかし、なんで俺なんだ?ついさっきここに来たんだ、この世界についてなんも知らないぞ?」
するとアイリスは表情を暗くて説明した。
「すみません、あなたがあまりにも弟にそっくりだったので……」
ふーん。
世界が違ってもそんなことがあるのか。
「大丈夫さ、あんたの弟はきっと見つかる!」
「そうだ、そのための組織じゃないか!」
俺と談笑していた男達が次々とアイリスに励ましの言葉を飛ばす。
「そうですね、弟はきっと無事です!私も私にできることをしなくては!」
そう言って力強い笑みを浮かべているが、俺にはその奥から不安が感じられた。
無理して笑う彼女を見て、胸がちくっと痛んだ。
補足です。
ユウキは転移される際の衝撃で5時間ほど気を失っていて、その間にアドラーさんは仲間を集めています。おそろしくマイペースなシルフはアドラーの呼びかけに気づかず、ユウキを観察し続けていました。何が楽しいのやら、私にはさっぱりです。




