第1話『俺だけじゃない異世界転移』
どこだ、ここ?
これが噂の異世界転生というやつなのか?
いや、死んではないはずだから異世界転移?
混乱した頭で色々と考え、導き出された結論は……。
タイミング悪すぎやろがい……。
なんで、告られてる時に呼ぶかなぁ。
これは俺を召喚したであろう国王とかに文句を言わねばならない。
「ねぇ」
「うわっ!」
いきなり声がして、びっくりさせられた。
「急に話しかけるなよ、びっくりしただろ」
「さっき話してたけど……」
どこか気怠げな印象の彼女は未だに俺を見つめていた。
「君、どこから来たの?」
なるほど、ここはテンプレ通りに答えておくべきだな。
「極東の島国から来た秋桜あきざくら裕樹ゆうきだ。あんたは?」
初対面で敬語を使えない人に敬語を使うつもりはない。
さっきのは、びっくりしただけだからノーカンだ。
「私は……。知らない人に名前教えちゃいけないっておばあちゃんが」
なんコイツ。
絶対俺より年上だろ。
ムカつくが、大人な俺は決して態度には出さない。
なぜなら、目の前の女はゲームとかでいう第一村人的な可能性が高いからだ。
スーっと息を吸い、ハーっと出す。
よし、もう大丈夫。
「なあ、ここはなんて街なんだ?」
まずはこの世界の基礎知識を集めなければ、お話にならない。
「知らない」
その後は、とりあえず酒場の場所でも聞き出して……。
「今なんて?」
「私も知らない。いつの間にかここにいた」
え?
「えっとじゃあ何、あんたも異世界人ってことなのか?」
「多分。でも私だけじゃない」
……え?
「ついさっきまで、私の他に100人くらいキョロキョロして、ここがどこか尋ねてる人がいたよ」
こりゃどういうことだ。
一体なんの意図が?
しばらく考え込んだ結果……。
俺の足りない頭は思考を放棄した。




