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第3話 じ…自己紹介!?

春。新しい制服に身を包みながらも、心のどこかではまだ居場所を探していた僕。

人と関わることよりも、本を読むほうが落ち着く。そんな僕が、思いがけず“友達”と呼べる存在に出会うなんて。

これは、少し不器用な僕が、人とのつながりに戸惑いながらも踏み出していく

学校に少しずつ慣れ始めた頃、僕は相変わらず一人で本を読んでいた。だいたい「恋愛系」か「ミステリー系」だ。

恋愛小説を読んでいると人に言うと意外がられるけど、僕にとっては勉強みたいなものだった。理解できない感情だからこそ、文字で少しでも掴んでみたかった。


10分ほどすると先生が教室に入ってきた。

「おはようございます!」

クラスメイトの声が一斉に弾ける。どうしてこんなに元気なのか。僕もあんなふうに笑えたら、と時々羨ましく思う。


先生は言った。

「今日は自己紹介をします。お互いを知って、仲を深めましょう」

心の中で「僕は望んでいない」と呟いた。そもそも話すようなことなんてない。本を読んで、最低限の勉強をして、寝るだけ。趣味が読書だなんて言ったら“意識高い系”と見られそうでためらう。


40人のクラスは五人ずつのグループに分けられた。そこには今井さんの姿もあって、少し気が楽になる。順番はじゃんけんで決めたが、案の定僕は最後になった。皆の緊張が解けたあとに自己紹介する。それは自殺行為と同じだ。


一人、また一人と自己紹介が進み、僕の一つ前は町田隼人という男子だった。頭が良いらしく、女子から「なんでこの学校に来たの?」と質問されている。

「家から近いから。勉強は自分でやればいいし」

堂々と答える姿は妙に自信に満ちていた。


続いて今井さん。

「名前は今井彩花です!趣味は運動です!これから仲良くしていけるように頑張ります!」

元気よく言っているはずなのに、僕にはその笑顔の奥に一瞬だけ影が差したように見えた。


そして僕の番。

「名前は中嶋真也です。趣味は読書です。よろしくお願いします」

予想通り反応は薄く、拍手で終わった。むしろそれでいい。だって僕は目立ちたくないのだから。


お昼休み。意外な人物が声をかけてきた。

「中嶋だっけ?いや、真也でいいか。俺、隼人。友達になろうぜ」

唐突で距離感ゼロの言葉に戸惑う。断るのが苦手な僕はぎこちなく答えた。

「分かった。よろしく」

「よっしゃ!俺ら、もう友達だな!」

真逆のタイプなのに、不思議とその勢いに逆らえず、僕は“友達”ができたことになった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

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このお話は「一人だった僕が、少しずつ人との関わりを通して変わっていく」そんな過程を描いていこうと思っています。

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― 新着の感想 ―
この章は、主人公・中嶋真也の心の内と、彼の世界に少しずつ“他者”が入り込んでくる過程が丁寧に描かれており、とても温かい読後感を与えてくれました。読書を通してしか他人の感情を理解できない——そんな不器用…
真也最高!
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