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第23話 秘密なんだけどね…

今井さんと図書館で会ったときは本当にびっくりしたけどよかったな。


(意外な一面も見れたし)


僕は今井さんのことを何も知らなかったんだなと思い知らされた。


彼女は元から頭が良いのだと思っていたけど、その裏では血の滲むような努力をしていた。


図書館では触れるの悪いかなと思って触れなかったが、ボロボロの参考書を見れば本人がどれほど努力してきたかわかった。


僕はそんなことを考えながら今井さんと帰っていた。


「真也くん。あのさ、話したいことあるんばけど」


「何?」


今井さんは何処か不安そうな顔をしている。


「あのさ…私が裏で沢山勉強してること誰にも言わないで欲しいんだ」


「なんで?あんなに頑張ってるのに」


何故なんだろうか。今井さんの努力は誰が見ても称賛されるはずだ。


「私、誰かに努力してるところ見られるのが好きじゃないし、知られたくないの」


「わかった。誰にも言わないよ」


僕も今井さんの気持ちがわかるからだ。人に「なんで?」なんか言っておきながら、僕も今井さんと同じタイプの人間だ。


「ありがとう。そういえば、真也くんも意外だったよね。あんなに頭よかったなんて知らなかったよ」


「そんなことないよ。本当にたまたま解けただけだよ」


僕はそう答えながら、どこか居心地の悪さを感じていた。


本当は“たまたま”なんかじゃない。けれど、わざわざ言うことでもない気がした。


「ふふっ。そういうところも似てるなって思うんだ」


「似てる?」


「うん。私も頑張ってるところ見られるのはあまり好きじゃないし、真也くんも…そういうの隠したいタイプでしょ?」


図星だった。今井さんはいつも僕の心の奥を覗いてくるみたいだ。


「さあ。どうなんだろうね」


夕焼けに染まる帰り道。並んで歩く僕らの影が、妙に近くに見える。


「だからね、お互いの秘密知れるって、ちょっと嬉しいんだよね」


「嬉しい?」


「うん。だって、私のこと分かってくれる人が一人でもいるのって、安心するから」


その言葉を聞いて、胸が少し熱くなった。

秘密を打ち明けられたのも、信じてもらえたのも僕にとっては初めてのことだった。


僕は思わず、横にいる今井さんの横顔を見つめてしまった。


彼女は気づかないふりをしているのか、それとも本当に気づいていないのか。


「これからも、沢山真也くんのこと知りたいな…」


「え?」


「いや、何でもない」


慌ててごまかしたけれど、僕の言葉に彼女は小さく笑った。


その笑顔は、どんな秘密よりも、僕にとって大切なもののように思えた。








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