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第22話 図書館での偶然

ある日の休日。僕は図書館に向かって歩いていた。家にいてもやることないし、暇だから勉強しようってことだ。


別に罪悪感は覚えない。良いことをしているし、勉強をしていて馬鹿になることはないからだ。


「ここか…」


この田舎町で1番大きく、歴史ある図書館だ。木も周りに沢山生えていて、まるで物語の中に入ったみたいな感覚だ。


僕は図書館に入り、2階に行き座る。教科書を広げて数学の勉強を始める。


2時間後…


「はあ〜、疲れた…」


数学は謎解きをしている感じですごく好きだ。だけど、ずっと頭を使っているからすごく疲れるんだ。


チョコレートでも食べて休んでいると…


「真也くん!?」


「今井さん!?」

(何でこんなところに今井さんがいるんだ!)


「何してるの?」


「数学の勉強してたんだ」


「そんなんだ。ねえ、一緒に勉強しない?」


「いいよ」


僕はたった今から今井さんと勉強することになった。1人でしか勉強したことなかったから、なんか新鮮だな。


今井さんは僕と対面するような形で席に座り勉強を始めた。勉強に取り組んでる彼女は学校で見る姿とは違い、ずっと真剣な顔をしている。


僕はつい、彼女の真剣な顔に気を取られていた。すると、今井さんもこっちを見てきた。


「捗ってる?」僕は彼女にそう質問する。


「捗ってないよ。ここの問題わからないんだよね」

誰にでもわからないことはあるが、今井さんがわからないと言っているところを聞いたことがないので正直ビックリした。


「どれ?見せてみて」


今井さんがわからないところを「ここなんだけど」と指す。「あ、これはね」僕はスラスラと問題をとき教える。


「こう言うことだったんだ。ありがとう!」


「解決できて良かったよ」


僕が安心していると…「真也くんってこんなに頭よかったんだね。私知らなかったよ」


と今井さんが驚いた表情で言う。


(やばい。やってしまった…)


僕は目立つのが極端に嫌いな男だ。だから学力も目立たないように地味な点数を取っている。


「こんなに難しい問題できるなら、真也くん医学部いけるよ!」


今井さんが嬉々として話す。


「そうかな?」


曖昧に笑ってごまかすけど、胸の奥は落ち着かない。

(やばい…これ以上勉強のこと突っ込まれたら、隠してる意味なくなる…)


「そうだよ!だって、私なんてここで詰まってたのに、真也くんはすぐに解けたんだもん」


今井さんは無邪気に褒めてくれる。

本気でそう思ってるからこそ、逆に居心地が悪い。


「いや…僕なんて全然だよ。頭いい奴なんか、クラスにもっといるし」


「でも、私は真也くんのこと、すごいって思ったよ」


その一言に、心臓が跳ねた。

こんな真剣な目で見られたら、冗談だなんて思えない。


「……ありがと」

気づいたら、小さな声で答えていた。


沈黙が流れる。けれど、気まずさじゃなく、どこか温かい空気。


そのとき、館内アナウンスが流れた。

「閉館時間が近づいております」


「もうこんな時間なんだ」今井さんが時計を見る。

窓の外は夕焼けで、赤く染まった光が二人を包んでいた。


「ねえ、帰り、一緒に帰ろうよ?」


不意打ちの言葉に、僕は一瞬固まる。

でもすぐに、「うん」と頷いていた。


勉強のつもりが、今日は全く違う一日になった。


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