第21話 真也くん…ありがとう
2日ほどすると、今井さんはいつも通り元気に登校してきた。
「おはよう!」
クラスのみんなに元気に挨拶する今井さんは見ていて微笑ましかった。
今井さんはこっちにきて「真也くん、おはよう!」と言ってきた。
「おはよう。元気になったんだね」
今井さんの顔を見て僕は心底安心した。人の顔を見て安心したなんていつ以来だろうか。普段2人で帰っているからか、1人で変えると寂しく感じる自分がいる。
「久しぶりに、一緒に帰ろうよ!」
「いいよ」
僕は帰りの時間を、胸を高鳴らせて待った。こんなことが放課後待ち構えてるんだから到底、授業に集中なんてできなかった。
放課後…
初めて約束して一緒に帰った日のことを思い出すな。
(あの時もこんなに緊張してたんだな)
「ごめん。待った?」
「大丈夫。帰ろっか」
そうして歩みを進める。しばらく歩いていると今井さんからこんな話を切り出してきた。
「ちょっと前は迷惑かけてごめんね。普段は風邪引かないんだけど、久しぶりに引いちゃった」
「僕は迷惑だなんて思ってないよ」
今井さんは驚いった表情をした。とう言うより今井さんは、最近謝ることが多い気がするな。
「なんで迷惑だなんて思うのか教えてよ」
「え…?」
なんでそんなこと聞くんだろうと思うかもしれない。でも僕は今井さんのことを知りたいし、今の家族の情報を少なからず得られると思ったからだ。
「なんでって。私なんかのために時間作ってきてくれたわけでしょ?それが本当に申し訳ないなって」
僕は少し勘違いしていたみたいだ。今井さんは人気者でクラスメイト達や他の連中にも「可愛い」とよく言われている。
だから内心、今井さんは自己肯定感がすごく高いのではないか?と思っていた。でもそれは違ったんだ。
本当は自信がなくて、自虐してしまう子なんだ。今まではそう言われるからそう振る舞っていただけ。
「これはただの個人的な意見なんだけどさ。ごめんねよりありがとうって言ってくれた方がみんな嬉しいと思うんだ」
自分が正しい答えを教えているなんて思っていないから、僕はアドバイスをすることが嫌いだ。でもここだけは譲れない。
「そうなのかな?」
「そうだよ。僕だってしたくてしたんだから」
「してあげたって言わないんだね…」
そう言ってくるってことは、昔からそう言う人が周りに大勢いたのだろう。
分かるんだよ。僕にも…似たようなこと沢山あったから。
「言わないよ、そんなこと… してあげたってそれは見返りを求めてやっていることだと思うんだ。要するに交換条件を出す材料にしているんだ。これしてあげたんだから、これやってって感じで。でも僕はそんなこと全く思ってないよ。だから“してあげた“なんてことは言わないよ」
「うん…」
返事はするが、彼女は俯いたままこちらを見ない。なんでだろうか。少し上から目線しすぎたからかな。
俯いた彼女が落ちらを見て「ごめ…いや、ありがとう!元気出た!」
「あ…」
彼女は目に涙を浮かべながらも、微笑んでいた。いつもとは違い「嘘、偽りなく」本当の笑顔を浮かべていた。
「本当に良かった」
僕も本当なのかはわからないけど、今井さんと笑顔を浮かべたんだ。
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