第12話 知らないふり何てできなよ
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あの話を聞いてから、ずっと頭から離れない。
高倉には「過去の話を聞いたこと、それを悟られるような態度は出しちゃダメだ」と言われている。
でもそんなこと言ったって、知らないふりなんてできるだろうか。
幸いなことに土日に入った為、2日間今井さんには会うことはない。
この2日間で、できるだけ忘れることにしよう。
てことで、今日は温泉に来ている。
1人で来れて最高…というわけにはいかなかった。
温泉に行くには電車に乗らなければいけないのだが、途中で隼人に会ってしまった。
「こんなところで会うなんて運命かよ」
何で電車の中で会っただけで運命なんだよ。
そしたら今、電車の中にいる人達は全員運命の人じゃん。馬鹿なの?と思ったが言わなかった。
「ああ、運命かもな」
「絶対思ってないだろ」
と、まあこれが原因で一緒に温泉に行くことになったわけだ。
この温泉は気持ちを落ち着かせてくれるし、考え事をするのにピッタリの場所なのだ。
中には適度な人と美味しいご飯が食べれる食堂、まさに完璧なところだ。
「広いなここ。ピンポン玉何個分だ?」
球技大会の時もそうだが、何でこいつはめっちゃ小さいもので例えたがるんだ。
とにかくめちゃくちゃ広いのだ。
僕はいつも奥のテーブルに座り、中央に設けられている植物鑑賞する場所でゆっくりする…はずだったんだけどな。
「風呂入ろうぜ!」
うるさいのが言うことを忘れていた。
仕方ないから、すぐに風呂へ向かった。服を脱ぎ温泉に向かう。
扉をゆっくりと開けると湯気と熱気が僕らを包む。「やっぱりいい」この感覚が快感なのだ。
かけ湯をして、奥にあるレモンの匂いのする温泉へ入る。
「ああー」
熱いので僕ら2人はつい口を揃えて言ってしまった。しばらく黙って入っていると、隼人が口を開く。
「なあ、真也。ここだけの話なんだが…球技大会の日。今井さん、様子がおかしくなかったか?」
嘘に敏感な隼人はそれすらも難なく見抜く。
今井さんの満面の笑み…あの嘘の振る舞いは見破られていたのだ。
僕は気づけなかっただろう。あの会場での今井さんとお父さんとの会話、高倉からの話がなければ。
言うか言わないか正直迷った。でも友達…だもんな。
「うん。おかしかった。なんかすごく辛そうと言うか、何というか…」
「何か知ってるみたいだな」
「流石だな。隼人は」
僕は自然と微笑む。
すると僕は昨日、高倉から聞いたことを全て話た。
きっと隼人になら言っても怒らないだろう。何でだろうな。
高倉と隼人はいざという時には本当に頼りになる奴らだよ。僕が話し終えると、隼人は涙目になっていた。
「な、何で泣くの?」
つい言葉に出てしまった。僕は保育園を卒業してから1回もないていない。だから気持ちがわからなかったんだ。
「そんなの父親の言うことじゃねえよ」声も少し震えている。
隼人は本当に優しい男だ。学校でも困ってる人がいればすぐに助けに行くし、辛い時には励ましてくれる。
本当にヒーローみたいな男だ。
「確かにな。僕もそう思うよ。これは推測だけど、今井さんは完璧を強いられてるんだと思う」
記憶だが、みんなでご飯を食べに行ってきていいかと聞いた今井さん。
それに対して「勉強を疎かにするつもりか?」、「失望させるな」と言われていたからだ。それから僕と隼人の会話は2時間以上続いた。
その後…
温泉から出て、2人でご飯を食べた。
学校の話をしたり、隼人の愚痴を聞いたりと本当に色々話した。僕も少しくらいは、変われてきているのかな…そんな風に思わされた。
最後、別れ際に隼人が口を開く。
「このことは誰にも言うなよ。2人だけの秘密にしておこう。何かあったら話聞くし」
「わかった」
そう言って、僕らは解散した。高倉に教えてもらったってこと隼人に言えなかった。
そんなに詳しく知ってるなら何で放っておいたんだと喧嘩になるかもしれないから言えなかった。
「2人の秘密にしておこう」
これに「わかった」と返事してしまった僕は、また嘘つきになってしまった。
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