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思わぬ関係1

 シギサの活動する小国連合は各国でも冒険者ギルドや商人ギルドを抱えているが、小国連合としてまとまって動くことも多いために小国連合全体を統括する上位ギルドを設置している。

 アシューダの父親はなんとその小国連合統括商人ギルドの副ギルド長であった。


 小国連合内の商人の中ではかなり権力を持つ人である。

 アシューダはそんな父親がいることを隠して商人として修行を積んでいた。


 商人ギルドに行ってアシューダが身分を明かして協力を取り付けた。

 商人で雇った冒険者に手伝ってもらって男たちを運んでアシューダの父親のところまで会いに来た。


「おお〜よく来たな!


 ご友人まで連れて。


 今菓子でも用意させよう」


 割と可愛らしい顔をしているアシューダとは似つかないような彫りの深いイカつい顔をした体格のいい大柄のおじさんが副ギルド長であり、アシューダの父親であるラソレドンだった。


 息子には甘いようでアシューダを前にしてニコニコとしている。


「なんだと……?」


 お菓子を大量に出してくれてそれを食べながらアシューダがラソレドンに自分の身に起きたことを説明する。

 一気にラソレドンの顔が険しくなっていく。


 リュードも時折アシューダの話の補足をして、連れてきた男たちに話を聞くといいと促しておく。

 シギサに殺されかけたと思っている小太りの男なら簡単に口を割ることだろう。


「私の持ちうるすべての力を挙げて調査しよう」


 任せるなら専門家がいい。

 リュードは帳簿もラソレドンに渡してシギサについての調査を任せる。


 下っ端のギルドに報告しては時間がかかることでもほとんどトップであるラソレドンが動けば話は早い。

 ついでにラソレドンは知り合いの小国連合統括冒険者ギルドの人に連絡をして奴隷についても調査することも約束してくれた。


 ラソレドンもシギサのことは知っている。

 小国連合で活躍している商人で将来的には統括ギルドの方で引き抜く話まで出ていた。


 アシューダのこともあるし小国連合内でそんなことが行われていたなんて許されざることである。

 シギサの裏の顔もすぐに明らかになることだろう。


 ーーーーー


 帳簿の中身を調べて男たちに尋問をして、シギサの取引についても詳細に調べ上げた。

 不正がないかを調べるための調査と言って帳簿を取り調べた。


 シギサと取引しているところを中心に調べるがみな不正など行っていないので簡単に帳簿を引き渡してくれた。

 そしてシギサ自身にも帳簿を要求すると流石は表向き優等生は疑いもせずに帳簿を提出する。

 

 そして普段は単体での取引だけを見て相互の取引を確認することはやらないのだが今回はシギサの裏帳簿があるので相互に取引の内容も確認していく。


 シギサは行商もしている以上固定でない商人とも取引をする。

 しかし奴隷を売買して得た大きな額を表で扱えるようにするにはそうした流しの商人相手の取引では限界がある。


 どうしても固定の相手の金額の大きな取引に紛れ込ますしかない。

 精査していくと金額や内容がおかしな部分が出てきてそれを裏帳簿と照合すると恐ろしいほどに辻褄があっていく。


 普段の調査どころか突っ込んでも裏帳簿がなかったら完全に暴くのが難しかったかもしれない。

 ラソレドンは頭を抱えた。


 こうした調査で不正を防ぐことができていたと思っていたのにすり抜けて利益を得ている悪人がいたことにため息しか出てこない。

 シギサとは別に悪いやり方をしている人も見つかって仕事も若干増えた。


 小国連合傘下には数多くの商人がいる。

 その全てを精査して全ての不正を撲滅することなど不可能であることは分かっているがシギサのような大きな悪は見逃さないと思っていた。


 なのに毎度の調査がただ表面上のだけのなんの効果も持たない調査に成り下がっていることを改めて思い知った。

 普段の調査でもうちょっと気を抜かずに見ていれば気づけるだろうこともあったのだ。


 調査の過程でシギサと関わっていて明らかに数字が綺麗すぎる商人もいた。

 もしかしたらそれはシギサのやっていることを知った上で結託しているかもしれない。


 ラソレドンはシギサに情報が漏れないように気を使いながらもかなりの早さで調査を進めたのであった。


「多少の骨を折るぐらいならいいわよね?」


「骨ぐらいならいいんじゃないか?」


 骨を折るぐらいなら人は死なない。

 そりゃ全身粉々にされたら死ぬだろうけど多少恨みのために骨を折っても誰も止めやしない。


 生捕りが目的だから殺さなきゃ大体のことは許容範囲である。

 奴隷の方はまだだがシギサの行っていた行為については調査が終わり、小国連合統括商人ギルド内で会議が行われシギサを拘束することが決定した。


 個人的な恨みもあり、アシューダの口添えもあってシギサの逮捕にはリュードたちも同行させてもらえることになった。

 商人ギルドが抱える犯罪対策班の人たちと共にシギサの屋敷を取り囲んでシギサを逮捕することになっていた。


 まだみんなが寝静まっている朝早くから動き始めて、今はシギサの屋敷の周りを犯罪対策班の人たちが取り囲んでいる。

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