竜人族を探せ3
上から順にリストを確認して情報を見ていく。
魔人族といっても基本的には獣人族がほとんどで竜人族はいない。
そしてリュードが真面目にリストを見ていると男が見本だと言って何人か女性奴隷を連れてきた。
リュードのご希望通りに魔人族、今回は獣人族の女性と身長が高く豊満な体つきの女性。
ラストをチラリと見てタイプが違う方がいいだろうと男が判断したのであった。
基本的にそうした行為も容認する奴隷は高級な奴隷となる。
食事をしっかりと与えて身なりも整えて見た目を綺麗に保っている。
お金持ちに当たれば幸せになることだってあり得ない話じゃないので抵抗さえなきゃ一発逆転もあって意欲的なこともある。
若くて優しそう。
こんなところまで奴隷を買いに来るならきっとお金持ち。
そうなるとどうなるか。
リュードに買ってもらうと奴隷たちの方からアピールし出す。
途端に機嫌が悪くなるラスト。
向こうも生活がかかっているからしょうがないとはいえ不愉快なものはしょうがない。
他の奴隷市場も行ってみると言ってリストを返してリュードは別の市場に向かう。
「なにあれー!
リュードに色目使ってさあ!
暑くもないのにあっつーいなんて言って服ヒラヒラさせてムカつく!」
ラストももう大体成長しきっている。
もうちょっと成長する余地はあるかもしれないけれども劇的に変化することは考えにくい。
となるとだ。
ラストの体格はやや控えめ。
すらっとして均整が取れているがもうちょっと胸のボリュームがあってもとラストは日頃思っている。
ラストを見てそれとは異なるタイプをと連れてきた女性たちだったのでラストが抑えきれない嫉妬をするボリューム感の女性たちだった。
正直リュードだって健全な男の子。
強靭な意思を持って視線を向けないようにはしていたけれどバレないタイミングでは見ちゃった時もあった。
「あー……魔人族の奴隷探してんの?
そうだなぁ……もうちょっとやる気出させてくれれば他のところの情報もあるよ?」
次の市場でも同じく男が話しかけてきた。
奴隷をうまく売りつけられれば多少のマージンもあり、売れなくてもこうして情報の方で稼げたりもする。
指先を軽く擦りわせる男にお金を弾いてやるとニヤッと笑ってキャッチする。
「どうやら普通の魔人族じゃないのがいいみたいだね。
……んー、特殊なのでいけば蜥蜴人族が少し前に入っているところがあったな。
あとは……なんだっけ、竜人族だっけ?
これは売れちゃったんだかな?
あれ、これは男……だっけ?」
「竜人族……だって?」
「なんだい、興味あるのかい?
まあ滅多に聞く種族じゃないからね。
まだ売れ残ってるかは分からないけど。
女かも保証しないよ?」
いやらしくまた指先を擦る。
もう一枚お金を渡してやると竜人族がいると思われる奴隷市場の場所が分かった。
「竜人族?
ああ、いるけどもうご成約済みだ。
それにあんた男だろう?
うちにいるのは男、だぞ」
これ以上ラストが切れる前に竜人族は見つかった。
正確にはあってもないし女性ではなく男性の竜人族らしいが。
おかしいとは思うが男であっても竜人族なら見過ごせない。
「いくらだ?」
「はぁっ?
だから……」
「倍払ってやる。
だからいくら教えろ」
「いやいや、もう決まってるし買われる相手はお得意さんだからね。
お金を積まれてもダメなものはダメさ」
「そうか、ならいい……」
お金で解決できるならそれでもよかったのだけれどそうするつもりが相手にないのなら仕方ない。
「後悔するなよ」
ポツリとつぶやいたリュードの言葉は男の耳には届かなかった。