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夜中、助けを求めて4

「やるよ」


「こりゃ助けるしかないでしょ!」


 聞くまでもなく視線を向けただけでルフォンとラストが答える。

 事情を聞いてしまえばもうほぼ確実にこうなることは分かっていた。


 特にリュードは奴隷というものを嫌っているので助けられるなら助けたいと強く思っていた。

 ボロ布与えられるだけマシなのか、上半身裸がマシなのか、どっちがマシなのかは知らない。


 だけど靴も与えられず食事すらマトモにもらえないのはどうにも合法奴隷とも思えない。

 人の命を食い物にするクズには痛い目を見てもらう。


「とりあえず今日は休もう」


「えっ!?」


「気持ちは分かるがダメだ」


 驚いた顔をするラスト。

 てっきりすぐさま直行するぐらいのつもりでいたのに休むなんて予想外だった。


「もう夜も遅い。


 コユキも寝ているし魔物の危険もある。


 マリーだって逃げてきて疲れてるだろうし少し休んで朝を待とう」


 焦って行動するのが1番良くない。

 マリーたちはどこか別の場所に運ばれる最中に逃げ出した。


 他にも奴隷はいるらしいしマリーを追いかけていった男たちが戻ってこないのなら奴隷商人たちも身動きは取れないはず。

 一晩休んだところで遠くまで行くとは思えない。


 それなら余裕を持って休む。

 相手が寝ているか、寝ずに待っていたら眠気のピークになるだろう朝方に襲撃するのが良い。


 ーーーーー


「起きて」


 疲れていてもっと休みたいだろうけどルフォンがマリーを揺すって起こす。

 マリーが目を開けてみるとまだ周りは薄暗いほどの時間。


 眠りはじめてからそんなに時間が経ってもいなかった。


「食べて」


 リュードたちはすでに荷物の片付けを始めていた。


「う……うぅ……」


「どうしたの?」


 グッと堪えようとするけど堪えきれなくて涙が溢れ出すマリー。

 ルフォンが心配そうにマリーの顔を覗き込む。


 ルフォンが渡したのは温めたスープとパン。

 簡易的なものだが変なものではない。


「こんなにちゃんとした食事久しぶりで……」


 具のほとんどないスープでも貰えるだけありがたかった。

 リュードは自分の奴隷にされた時を思い出してみたがマリーの状況はリュードよりもはるかに悪そうだった。


 ルフォンも怒りに眉をひそめる。

 食事すらマトモに与えないなんて許されるはずがない。


 マリーが食べ終えるのを待ってリュードたちは出発する。

 コユキもなんとなくやることの雰囲気を感じ取っているのか真面目な顔をしている。


 どうにも進んでいた進路を考えると同じ方向に向かっているようであった。

 リュードたちが向かっていたのは夜の訪れない森と呼ばれる場所があるウルギアという国。


 実はウルギアという国はあまり向かいたくない国ではあった。

 なぜならウルギアは奴隷という制度が廃れゆく中にありながら奴隷の売買を禁じていない国なのである。


 大規模な奴隷マーケットが国内に数ヶ所あって違法な奴隷であっても所有することが禁じられていない。

 奴隷を容認することで奴隷商人からの収入を得ることを選んだ小汚い国なのである。


 秘密裏にやられる奴隷マーケットよりは管理されているとは言えるけれど今の時代の流れにはそぐわない。

 かなり批判も多いのだが合法的に奴隷を売り買いできるとあって他国のお偉い方もお世話になっている人も少なからずいる。


 そのためにウルギアは他の国からの干渉も受けないで奴隷を扱っている数少ない国なのである。

 自国民は奴隷にすることを禁じていたり自国内で人をさらって奴隷にすることを禁じているがあるがそれだって安全を保障してくれるものでもない。


 だけど奴隷によって利益を得て奴隷によって生活しているウルギアの人はもう感覚的に奴隷がいけないものだと思っていない。

 ウルギア国内で奴隷にされることは少ないがその周辺では奴隷商人などがいるので危険がある。


 だからあまり近寄りたくない国がウルギアなのだ。

 今回は理由があって向かっているけどまさか本当にこんな風に奴隷を連れて向かっているのを見ると気分は良くない。


 マリーの姉を助け出すのも少し急がねばならない。

 ウルギアに向かうまでの道は同じだけどウルギアに入ってしまうとそこからどこに向かうのかは分からないので動き出す前に仕留めたい。


 なので速さ重視。

 マリーには悪いが走ってもらう。


「大丈夫そうか?」


「これならいくらでも走れそうです」


 流石に休息も十分ではないし一般人であるマリーが走ってリュードたちについていくのは大変。

 だからリュードたちは速度を落としマリーをコユキが強化支援して出来る限りの速さで進む。


 コユキはリュードがおんぶして走っている。

 キリッとした顔してたコユキだけどおんぶされるのが嬉しくて時々顔がへにゃっと笑う。


 奴隷商人たちはリュードたちが通っていた道とは違う道を行っている。

 マリーの記憶を頼りに奴隷商人たちの場所を予想して道に向かっていく。


「た、たぶんこの辺りだと思うんですけど……」


 夜遅くに脇目も振らず走って逃げていた。

 正直な話マリーの記憶だけで奴隷商人を探すのは難しい。


 ひとまず奴隷商人が通っていると思われる道に出てそこから探していく。

 奴隷商人の姿がなくてマリーの焦りが大きくなっていく。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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