表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
398/469

海産物でも魔物です3

 リュードは叩きつけられたコンブをかわすと掴んで引っ張り剣で切る。

 コンブ自体はそんなに硬くもなく、ややぬるりとした感触をしていた。


 コンブの叩きつけや絡みつき、さらにコンブによる角度やタイミングの異なるウニの突撃。

 非常にめんどくさく1人でだったらやられていたかもしれない。


 1人だったなら。


「やあっ!」


 動かないと思っていたがコンブは少しずつ移動していた。

 前に出ていたリュードはいつの間にかコンブの触手に周りを囲まれてしまっていたのである。


 コンブからコンブへ跳ねるウニ。

 時折叩きつけてくるコンブがまた憎らしい。


 魔人化したり魔法を使ったりと無理矢理脱出することもできたがリュードには仲間がいる。

 ルフォンがリュードを狙うコンブを狙って接近する。


 コンブが焦ったのかウニの軌道が乱れる。

 ルフォンを狙おうとコンブを下げようとするけどそうは問屋が卸さない。


 リュードがコンブを掴んで引っ張る。

 すごい力だけど力比べならリュードも負けてはいない。


 ヌルついているので長時間の引っ張り合いになるとヌルンと手から抜けてしまうが短い間なら引っ張っておけた。

 ルフォンが本体近くの根元からコンブを切断する。


「いいぞ、ルフォン!」


「やっちゃえ!」


「やー!」


 コンブならウニと違ってナイフでもいける。

 逆の手に持ったナイフをコンブの本体の塊に振り下ろすルフォン。


 黒い塊なコンブの本体がスパッと切られる。

 伸ばされていたコンブがビクンと震えるとヘタリと床に落ちていく。


 見ると意外なところにまでコンブが伸びていたりして侮れないなとリュードは思った。

 メインのアタッカーはウニなのでウニの相手をしていたがこれならコンブを先に倒した方が戦いの決着は早く、楽に安全に行けるかもしれない。


 戦いの優先をコンブに絞る。

 リュードはコンブとウニの気をひくためにウニを乱雑に打ち返す。


 こうすることでウニの攻撃を自分に向けさせながらコンブにウニのフォローに集中させるのである。

 ラストは弓矢でウニのわずかな隙を狙って側面を打ち抜き、ルフォンがリュードが気を引いている間にコンブを襲う。


 ウニとコンブにも連携はあるけれどリュードたちにも連携はあるのだ。

 ルフォンから遠ざかるようにウニを打ち返してルフォンの方にウニが行かないようにする。


 ルフォンは自分の身を守ろうとするコンブを切り裂きながら進んでコンブの本体を容易く切り裂いてしまう。

 段々とコンブが減っていきウニの動きも悪くなってきた。


 ウニの軌道をコントロールしていたコンブがいなくなって単純な突撃になったウニなど怖くない。


「手間かけさせやがって!」


 完全にコンブのフォローを失ってただリュードに突撃してくるウニ。

 タイミングを合わせて下から剣を振り上げてウニを天井に叩きつける。


 重力がある以上天井に触れている時間は一瞬で落下し始める。

 こうなるといくら針を動かしてもどこにも触れないので勢いもつけられない。


 ただ落下するウニ。

 リュードは振り上げられた剣をそのまま真っ直ぐに振り下ろす。


 苛立ちと魔力が込められた剣はウニを空中で真っ二つに切り裂いた。


「リューちゃん!」


「ふう……よくやってくれたなルフォン」


 たたたと駆け寄ってくるルフォン。

 周りはそこら中やられたコンブとウニだらけ。


 ルフォンが素早くコンブを処理してくれたのでウニの相手もどんどんと楽になっていった。

 わしゃわしゃと少し荒めにルフォンの頭を撫でて労う。


 優しく撫でるのもいいけどこうして激しく撫でるのもまた良く、ルフォンも尻尾を振っている。


「治した!」


 そんなリュードとルフォンを見てコユキも駆け寄ってくる。

 コユキだってリュードのケガを治したり強化したりと貢献したとアピールする。


「コユキもよくやった!


 うりゃ!」


「キャー!」


 コユキの頭もわしゃわしゃ撫でてやる。

 嬉しそうに悲鳴をあげて5本の尻尾が激しく振られる。


 戦いの直後とは思えない光景に他の冒険者たちもほっこりとしていた。


「私も頑張ったけどなー」


「ラストもナイスショットだったぞ」


「えへへー」


「私も頑張ったにゃー」


「はいはい、ほれ」


「にゃー!


 なんとカリスマに撫でられたにゃあ!」


「そのカリスマやめぇ」


 ーーーーー


「まあ予想通りだな……」


 もう一度ウニとコンブとの戦闘を乗り越えて3ヶ所目の部屋についた。

 ちなみに聞いてみたところこの水を生み出す部屋のことをナガーシャはコアルーム、ガラーシャは水出し部屋と呼んでいた。


 他のウンディーネもただお部屋と呼んでいたり、キモい石像の部屋と言っていたりと各々だったり適当だったりしているらしい。

 ウンディーネしかいないのでナガーシャの部屋とかガラーシャの部屋とかそんな風に呼べば事足りるので特定の呼び方を必要としなかった。


 水出し部屋ではなんかコーヒーみたいなのでカッコよくコアルームと呼ぶことにした。

 真ん中の部屋はメインルーム。


 なんだか少しだけSFチック。


 コアルームの扉は無惨に破壊されている。

 まんなかが大きく凹んで倒れている。


 その奥にウニとコンブが見えた。

 そしてさらに奥に大きなウニとコンブ。


 一つ前のカニとホタテから少しそんな予感はしていたけど魔物をまとめ上げるリーダー的な存在がいると思っていた。

 シンプルに大きな個体がリーダーであるようだ。


「ただサイズ感バグってんな」


 人よりもデカいウニと人の幅ほどもあるコンブ。

 これまでのウニやコンブもリュードの腰ほどまであったのでデカいけど流石にあそこまでいくとデカすぎ。


 あんなのが突撃してきてまともに食らったら全身大穴だらけで即死である。

 ウニやコンブの厄介なところは目がないのでどこを見ているのか分からないところである。


 出入り口が一つしかないので奇襲は難しくてもある程度はバレずに接近したい。

 でも見てるのか見てないのかも分からないので近づくに近づけない。


「……あれじゃない、こっから矢を射ったら楽に倒せるんじゃない?」


 先ほどのカニとホタテとの戦いでリュードたちがホタテの攻撃を嫌がって下がった時カニはなぜなのかコアルームから出ようとしなかった。

 神様の命令でコアルームを占領しているからか占領しているコアルームから出てこないみたい。


 柔軟性に欠けるのも魔物としての知能の限界なのだろう。


「はいっ!」


 ラストが矢を放つ。

 狙いは手前にいるウニ。


 やや放物線を描いて飛んでいく矢はウニに深々と突き刺さった。

 途端にざわめくウニとコンブ。


 鳴き声ではなくウニは針を忙しなく動かし出して、コンブは触手を伸ばしている。

 仲間がやられたことは分かるようだ。


「もういっちょ!」


 2本目の矢を放つラスト。


「あっ」


「冷静に矢だけ対処すれば出来たのか……」


 今度の射撃は防がれた。

 ウニは針を全て倒すようにして隙間なくし本体に矢が刺さらないようにして防御してみせた。


 戦いの最中ではそこまで細かくコントロール出来ないのかやらなかったけど遠距離攻撃を防ぐ手立ても持っていたようで驚く。


「じゃあこっち!」


 ならばとラストはコンブの方を狙う。


「なんかムカつくー!」


 リュードたちに気づいているかは不明だが扉の方から矢が飛んでくることには気づいている。

 ラストの矢はコンブによってパシリと叩き落とされてしまった。


「あんにゃろー!」


 ウニが動いて扉付近まで来るけど部屋の外には出ない。

 あくまでアイツらはコアルームの占領を続けるみたいである。


 楽に数が減らせるかと思ったけどそう簡単ではなかった。


「どうすっかね?」


 コアルームから出てこない以上リュードたちが部屋に入って戦うしかない。

 わんさかいる敵の中に突っ込まなきゃいけないのだ。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ