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海産物でも魔物です1

 次の日奪還作戦を再開する。

 まだ通っていない通路なんかにはカニなんかがいたはずなんだけも朝になるといなくなっていた。


 ガラーシャに関しても1人残していくのが心配なのでついてくることになった。

 もし部屋をその間に取られても奪還し返せばいい。


 ボスである大カニが倒されたから撤退したようでカニの手が足りていないのか何枚かホタテで残されている程度にしかいなかった。

 不謹慎ながら次は何が出てくるだろうと期待しているリュード。


 もはや魔物を食材としか見ていない。

 その辺りも異世界人的な感覚なのだろう。


 リザードマンは流石に食べなかったがマーマンやカニ、ホタテは美味かった。

 美味い魔物が出てくれば倒す気も上がるというものだ。


 ちなみにリザードマンも食べられるらしい。

 トカゲっぽいことを考えると食べられないこともないだろうけどリュードは食べることも捌くこともなんだか嫌だったのだ。


 そして進んでいくとさらに周りが変化していく。

 城の中なのにまるで洞窟のようになってきた。


 天井から鍾乳石のような鋭い岩が垂れ下がり壁はしっとりと濡れている。

 不思議な建物。


 元ダンジョンなのも納得である。


「次はウニか」


「ウニ?


 ニウンフバですね。

 攻撃は最大の防御みたいなトゲトゲしたボディーが特徴的な魔物です。


 もうこうなると何となーく相手の神様の方向性は分かってきましたね」


 魚介の神か?と口にしそうになる。

 リザードマンはちょっと分類が違うけどこれまで出てきた魔物を考えると何となくグループは分かる。


 ナガーシャは海系統の水の神だろうと読んでいるがリュードには美味しい海の幸の神様にしか思えなくなっていた。

 どっちにしろ水というよりちょっと範囲は狭くて海の神様的なものだろう。


「うおっ!?」


 ウニ相手ならホタテみたいなもんと眺めていた。

 リュードが慌てて剣を上げると強い衝撃に飛ばされそうになる。


 ウニをホタテと同様に考えていたがそれは甘かった。

 ホタテのように届くから魔法で攻撃でもしてくるんだろうと油断していたリュードに対してウニは弾丸よろしく飛んできたのだ。


 想定していなかった動き。

 後一瞬防御が遅れていたらリュードはウニの針に串刺しにされて穴だらけになっていたことだろう。


 よく見ていなかったのでどうやって飛んできたのか分からないけど全身凶器のウニが飛んでくるのは結構脅威だ。

 みんなも武器を構えて警戒する。


 今度は見逃さないとウニのことを注視して動きを待つ。

 リュードに弾き飛ばされたウニは全身の針を動かしているがどこをどう見ても飛んでくるようには思えない。


 あんなに活発に針が動くのかと驚くがそれ以外はただのデカいウニ。

 

「なんだ?」


 何かの偶然で飛んできたのかと観察を諦めようとした時ウニの針の動きが変わった。

 これまで適当に動いていた針。


 特に規則性も見えなかったのに突如として床に接する針が同じ方向に動き出した。

 ウニがわずかに沈み込んで、そして飛び出した。


 針に力を溜めて前から後ろに漕ぐように針を動かして一気に力を解放して地面を蹴って勢いをつけた。

 とんでもないやり方だが相手をただのウニだと思っちゃいけない。


 曲がりなしにも魔物である。


「避けろ!」


 速いが動きは直線的で捉えられない速さでもない。

 みんながかわしてウニは飛んでいく。


「早いな……」


 地面に落ちるとすぐさま針が動き出してまた飛び出す力を溜める。


「ただ動きはもう読めてるぞ!」


 駆け出したリュードに向かってまっすぐ飛んでいくウニ。

 もう軌道は分かっているので飛んでくるタイミングに合わせて剣を振り下ろす。


「こいつは面白いな」


 ガキンと音がしてウニが弾き飛ばされていく。

 剣は針よりも長く本体にも刃は届くはずだった。


 しかし刃はウニに届かなかった。

 何とウニは針をクロスするように動かしてリュードの剣を受けて防いでみせたのだ。


 そんなに針は固くないのか剣に負けて切られて落ちたが本体に剣を届かせなかった。

 思いの外ウニの能力が武闘派だ。


「リューちゃん!」


「……ちょっと遊びすぎたか」


 気づいたらウニが通路の奥から集まってきている。

 針を動かしてゆっくりとだけど床を移動してきている。


「みんな無理はしないで回避を重視しろ!


 コユキやニャロはウニがそっちに飛んでくるかもそれないから気をつけるんだ」


 ウニは先頭に立つリュードに向かって飛んでくる。

 飛んでくる2匹のウニ弾丸を1匹をかわして、もう1匹を剣で弾き飛ばす。


 そしてタイミングをずらして飛んできたウニを弾き飛ばないように縦にまっすぐ剣を振り下ろす。

 ウニは素早く針をクロスさせてリュードの剣を防ぐが構わない。


 そのまま床に押し付けられたウニを両断する。

 最初の攻撃でウニの針がリュードの剣に耐えられる硬度ではないことは分かっていた。


 弾き飛ばされることで何とか無事でいたけれど剣を完全に防いだのではなかった。

 床に押し付けられたウニは剣の威力を殺せずに受け止めるしかない。


 剣を受けた針がパキンと音を立ててへし切れ、リュードの剣がそのまま本体を真っ二つにしたのだ。

 ユニークな方向に進化したものだと思う。


 ホタテとはまた違った方向で防御に特化したような体をしているのにそこからさらに攻撃方面に動けるように進んだ。

 元より針による防御力の高い魔物。


 ルフォンのナイフでは本体に届かせることも出来ないので相性も悪い。


「やっ!」


 けれど逆にラストの弓矢は相性がいい。

 針で飛んでくる矢を防ぐことができずに容易く本体を貫くことができた。


 ただ知能的にはそんなに賢くない。

 ウニの狙いはとにかく1番近くにいる人で、ただ勢いよく突撃してくるだけ。


 全身凶器が飛んでくるのは怖いが冒険者たちだって素人じゃないのでまっすぐ飛んでくるだけならケガもしない。

 魔法で攻撃するのも効果的。


 ファイヤーアローのような細長い攻撃に対してウニは防御できていない。

 ユニークだけど特化がすぎる。


 リュードが前に出てウニの攻撃を引きつけ剣で叩き落として、他の冒険者たちが突き刺してウニを倒していく。

 ここでルフォンも思いついたのか荷物の中から槍を取り出してリュードが叩き落としたウニにトドメを刺していた。


 槍の扱いは門外だが落ちたウニを突き刺すぐらいは難しいことじゃない。

 慣れてしまえば作業的に倒していける。


 集まってきたウニもあっという間にリュードたちに倒されてしまった。


「……これが本物のウニ!」


 前世においてリュードは都会育ちでそんなに裕福でもなかった。

 カニもそうだったけどウニなんて口にしたこともない。


 取れたて、というか倒したてのウニを割って中身を食べてみる。

 なんというか甘みがあって濃厚で美味しかった。


 海産物も時折入ってくるヴァネルアの人でもウニはあまり食べたことがなかったらしく、珍しいものであるようだ。

 しかし生でそんなに食べるものでもない。


 調理するならなんだろう、クリームパスタかななんて考える。

 あまり日持ちもしなさそうだけどこのままにしておくのももったいないのでいくらか持って帰ることにした。


 なんであれ取れたてって美味い。


「なんか一回り大きくなった……?」


「気のせいじゃないと思うよ」


 ウニの方から集まってきたからしばしウニはいなかったが歩いていたらまたウニがワラワラと通路を塞ぐように転がっていた。

 なんだか最初に戦ったウニよりも一回り大きく見える。


 見間違いかと思ったけどルフォンやラストにも大きくなったように見えているので見間違いじゃない。


「な、なんだ!?」


 リュードたちに気づいたのか針が動き出すウニたち。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] カニ、ホタテ、ウニと来たからエビにも頑張って欲しいなww
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