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増える尻尾5

「確実に成長しているな……」


 四尾の白キツネは尻尾1本につき1つ火球を生み出す。

 3本で1つ生み出していた三尾の白キツネよりも進化している。


「聖なる力によって魔を退ける壁となれ、聖壁展開!」


「こんにゃろーめ!」


 四尾の白キツネ2体だけで8個の火球。

 三尾のキツネも放つ分を加えると二桁になる。

 

 流石に多いのでアルフォンスとニャロで神聖力による防御魔法を展開する。

 聖壁にぶつかり火球が爆ぜる。


「くっ……!」


 意外と破壊力があって2人が顔をしかめる。

 まだ壊れはしないがこんなペースで火球を当て続けられるとあっという間に消耗してしまう。


「アイツら!」


 さらに知恵を見せてきた白キツネ。

 このまま役割分担をして襲いかかってくるのかと思いきや急に白キツネたちはストップした。


 距離を詰めることなく火球を作っては放つ、遠距離攻撃に徹してきた。

 まさか接近してこないなんて感心すら覚えてしまう。


「ルフォン、四尾のキツネからやるぞ!」


「分かった!」


 魔法を防ぐアルフォンスやニャロのためにも四尾の白キツネは早めに倒さねばならない。

 リスクはあるがしょうがない。


 リュードやルフォン、ウィドウらが白く輝く壁から飛び出して白キツネのところに走る。

 三尾の白キツネが火球を放ったり爪で切り付けてきたり邪魔をするけどそれらをかわしてまず四尾の白キツネに近づく。


 4本の尻尾から火球を飛ばしながら逃げる四尾の白キツネ。

 ルフォンは火球をかわしながら追いかけるがかわしながらではなかなか距離が詰まらない。


「逃すか!」


 リュードは三尾の白キツネの攻撃をかわしながらルフォンと四尾の白キツネの追いかけっこを観察した。

 動きを予想し、先回りして剣を振り下ろした。


「おっ?」


 四尾の白キツネはリュードの剣を尻尾で防いだ。

 フワリと包み込むように剣を受けて威力を殺した。


 フワフワな尻尾に魔法を放つ以外の使い方があった。


「リューちゃん!」


「大丈夫だ!」


 そのままクルリと一回転した四尾の白キツネ。

 尻尾がまとう魔力に気がついたリュードが上体をそらして尻尾をかわした。


 しかしかわしきれずに浅く頬が切れる。


「巧みな尻尾使いだな!」


 四尾の白キツネは再び距離を取ろうとする。

 逃してはならないと大きく踏み込みながら剣を振る。


「甘いな!」


 今度はただ切っただけじゃない。

 剣にまとわれた魔力が雷属性に変化して四尾の白キツネに電撃がほとばしる。


 火を使う性質上火に強いが使わない他の属性にはそうはいかない。

 特に雷属性はあまり使われたり使ったりする属性じゃないので耐性を持っているものは多くない。


 電気の影響で全身の毛がボワッとなりながら痺れる四尾の白キツネ。


「よくもリューちゃんの顔に!」


 毛が逆立ってボワボワになった四尾の白キツネの毛に手を突っ込むようにしながらルフォンがナイフで首を切り裂いた。

 あと尻尾とミミの可愛いはこっちのもんだ!という対抗意識があったとか、なかったとか。


「次行こう」


「うん!」


 雷属性は白キツネにも有効。

 もう1体の四尾の白キツネはウィドウに任せてリュードたちは三尾の白キツネを相手取る。


 4本の尻尾から次々と放たれる火球の厄介さを思えば三尾の白キツネも楽に戦える。


「私だってやるんだぞ!」


 だいぶ白キツネの動きや速さになれてきた。

 聖壁のおかげで保護されているので安心して狙いを定めることもできる。


 例えラストに注意を向けていなくても矢を放てば気づいてかわしてしまうがルフォンやリュードに追いかけ回されている白キツネは流石にそこまで注意を割けない。

 魔力が爆発する矢は防御の弱い白キツネにとって致命的。


 刺さった矢に込められた魔力がボンと爆発して大きく怯んだ白キツネをリュードが切り捨てた。

 その間にウィドウも四尾の白キツネを倒して、順調に三尾の白キツネも倒して戦いを終えた。


「これは厳しいな……」


 1本につき火球1個。

 一気に火球の数が4倍になった。


 聖壁を展開していたニャロによると結構重たいにゃ!らしいので威力も同じか上がっている可能性がある。

 リュードが相手にした四尾の白キツネは逃げ回るような行動を取ったがウィドウが相手にした四尾の白キツネは違った。


 積極的にかかってきて、爪や牙での攻撃をしながら火球も放っていた。

 尻尾での防御や攻撃も繰り出してきてタイマンでも非常に厄介な相手だった。


 ドロップする毛皮の量は多いがそれが目的でもないので喜んでもいられない。


 四尾。

 中途半端な数だけどここで尻尾の増加が終わってくれればいいのにと誰もが思った。


「相手は9体。


 ……全部四尾だ!」


 流れを考えると分かっていた。

 次の襲撃は全て四尾の白キツネで構成されていた。


「ググッ……負けないにゃ!」


 先制攻撃は白キツネ。

 走ってきながらそれぞれの尻尾から火球が放たれてリュードたちに襲いかかってくる。


 ニャロとアルフォンス、そしてハルヴィンも加わって聖壁を展開する。

 火球が当たって3人が苦しそうな顔をする。


 ビキリと大きなヒビが聖壁に走ったがなんとか火球を防ぎ切った。


「若い者たちに負けてはいられないな。


 本気を見せようか!」


 ウィドウは腰につけたポーチから小さいナイフを取り出した。

 ナイフがウィドウの黒い魔力に包まれる。


 ナイフを投擲する。

 リュードだって容易くかわせると思う攻撃なので白キツネも軽々とナイフをかわした。


 しかし何体かの白キツネの動きが急にピタリと止まる。

 体が動かないのではなくその場から動けないといったように動けなくなっている。


「ほらよ!」


 動けなくなった白キツネの首を黒い魔力をまとった剣で刎ね飛ばす。

 ウィドウがやったことの正体は知らないがチャンスだとリュードも動けない白キツネを切り捨てる。


「影が道をつなぐ……」


 ウィドウの姿が黒い影となって消えた。

 次の瞬間ウィドウは後ろの方にいた白キツネの後ろに現れた。


 音もなく現れて白キツネは真後ろのウィドウに気づいていない。

 首を刺されてもなおウィドウがいたとは分かっていなかったかもしれない。


 1体倒されてようやく白キツネもウィドウが後ろに回り込んだことに気がついた。

 動揺が走り動きが鈍る。


 黒い魔力をまとわせたナイフを投げる。

 白キツネを外れて雪に刺さるナイフ。


 リュードは見た。

 ナイフが刺さった先は白キツネの影であった。


 逃げようとして何かに引っ張られたようにその場から動けなくなる。

 パッとすぐさま白キツネを切って捨てるウィドウ。


「あれはまさか……」


 急に動けなくなる白キツネの不思議な行動。

 ウィドウの黒い魔力も疑問だったのだけど理由が分かった。


 一気に味方の数が減りウィドウの不思議な魔法に知能の高い白キツネは動揺してしまった。

 変にウィドウのことを意識してしまった。


 動きが悪くなった白キツネの隙を狙って一気に畳みかける。


「影が道をつなぐ」


 ウィドウが火球を避けるために姿を消す。

 今度は流石に白キツネも不用心に後ろを取られるマネはしなかったけれど全ての白キツネが後ろを確認してしまう。


 戦っているのは何もウィドウだけではない。


「すごいにゃあ〜」


 巧みに白キツネをかき乱す。

 プラチナランクにまで上がった実力の秘訣を見た。


 ウィドウの切り札により白キツネは冷静さを取り戻すことができないままに倒された。


「お疲れ様、リュード」


「ウィドウさん、あれって……」


「闇魔法だ。


 どうやら知っているようだな?」


 闇属性の魔法、闇魔法。

 言葉だけ聞くと怪しく聞こえる属性だけど決して怪しいものではない。


 呪術とか禁忌とされる魔法とは全く違って火属性や雷属性と同じ魔法の一属性である。

 

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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