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楽しみの秘訣2

「んー、いいんじゃない?」


「……分かりました。


 お教えしましょう」


 リュードが困った視線を送った。

 するとシェフの許可が降りた。


 悪い人たちではないのだしいいんじゃないかとシェフことルフォンは大きくうなずいた。

 このことに関してはルフォンが絶対である。


 ウィドウは勘も良く人をよくみているので正面から断るしかない。

 誤魔化したりウソをついてもきっとバレてしまう。


 ルフォンがいいと言うのならリュードが断ることはなく話してしまった方が楽だ。

 大きめのテントの中、本来は下が汚れないようにと前から敷いていた板を出して敷いてその上にルフォンご自慢のコンロをドーンと出す。


 プラチナランクのウィドウもビックリの光景。

 ビックリポイントは複数あった。


 まずはコンロだ。

 明らかに持ち運ぶサイズではないガチのコンロが取り出された。


 持ち運びのできるコンロの導入はウィドウも検討したことがあるけどそれなら焚き火や火の魔法でも特に困らなかったのでいらなかった。

 このコンロなら火力の調節だったり五徳があるので常に調理器具を手に持ってみていなきゃいけない必要もない。


 複数口があるので同時に色々と調理もできる。

 決して安いものではない。


 値段も考えてみるが安くないことだけが言えていくらになるのかパッと分からない。

 物の値段でいけば高級品なはずだ。


 そしてそのコンロを持ってきた方法も驚きだ。

 ドンとマジックボックスの袋からコンロを取り出した。


 旅に持ち歩く物の大きさで考えるとコンロはバカでかいサイズのものになる。

 ウィドウたちも上級者の冒険者であるからマジックボックスの袋は持っていて荷物は入れてあるがあんなバカでかいコンロを入れてしまえばそれだけでかなり容量を圧迫する。


 それなのにリュードたちは簡単にコンロを袋の中に入れていた。

 ウィドウが使っているならいいだろうとリュードたちがマジックボックスの袋を使っているのをみているので他に荷物を出し入れしているのも知っている。


 それなりに荷物を出し入れしていたはずなのにそれに加えてコンロまで入っているマジックボックスの袋を持っている。

 事前に買い貯めた食料だってあるのにリュードたちはどんなマジックボックスの容量の袋を持っているのだとまた驚いた。


「はぁ〜!」


「染みるにゃあ〜!」


 驚くみんなを横目にルフォンはさらにドワガルで作ってもらった包丁やナベを取り出して調理を始めていた。

 コンロに火をつけ、食材を切って炒めてスープを作った。


 出来立て、しかもコンロで保温もできる。

 温かなスープがみんなに配られて呆けた感じのままスープをいただく。


 ルフォンの料理に飢えていたラストはさっさと食べてしまい、猫舌のニャロもフーフーしながらもあっという間にスープを飲み干した。

 ドロップしたレッドットベア肉を入れたスープは旨味も抜群で寒いこの環境では染み渡る旨さだった。


 リュードもいただくが味気ない食料とは明らかに違っていた。


「すまない、おかわりはあるかな?」


「はーい、ありますよ。


 どうぞ」


 驚くのは後でもできる。

 今はスープが冷める前に食べてしまおう。


 そう思っていただいたおかわりもあっつあつ。

 コンロで温め続けているのだから当然だけどおかわりも温かいのは感動すら覚える。


「これがお前たちの秘密か……」


 身も心も温かくなった。

 温かいものを食べるだけでこれほど体が温まり幸福感があることを思い知る。


「あの……これお返しします」


「受け取ってくれ。


 飯代ともう1つお願いがある」


「お願いとはなんですか?」


「今後も料理をしてくれないか?」


 決断力の速さもウィドウをプラチナランクとしている理由である。

 空になったお鍋をケフィズサンの魔法使いが水の魔法で綺麗にしてくれている横に立つルフォンに視線を向けた。


 食べられるなら暖かくて美味いものがいい。

 リュードたちがいいと言ってくれるなら是非ともそうしたいと思った。


「もちろんルフォン次第ですけど……」


 リュードもルフォンに視線を向ける。

 ああやってお鍋を水属性の魔法で綺麗に出来るならリュードも今度試してみよう。


「ルフォンさんどうだ?


 お金が必要ならもっと払う。


 食材も提供するから私たちにも食事を作ってくれないか?」


「私はいいけど……」


「俺もルフォンの料理が食べたいな」


「食べたいにゃ!」


「もー美味しくないのはヤダ!


 私もさんせー!」


「贅沢は毒だと言うが俺ももう冷たくて美味しくない食べ物は耐えられん」


「みんなご所望だな」


 料理人として、料理を求められて嬉しくないはずがない。

 簡単に作ってくれたスープだけでもルフォンの料理の実力が分かる。


 みんなが口々にルフォンに作ってほしいと言ってルフォンも恥ずかしそうにしながらもまんざらではない。


「残さず食べてね?」

 

 一同の大賛成にルフォンがはにかむ。

 冒険者ってやつは大体それなりの料理はできたりするもんだけどそれ以上の腕になるほど料理もしないし追求もしない。


 そのくせ依頼が上手くいくと良い店で飲み食いしたりもするものだから舌が微妙に肥えていたりもする。

 ルフォンは料理人にも劣らない腕を持ち舌の肥えたケフィズサンのメンバーも文句1つなかった。


「しかしレッドットベアの肉も美味かったな」


「うんうん、もっと固くて食べにくいと思ってたにゃ」


「スープに旨味も出てたし臭みもない……それにただ煮込んだだけにしては良い味している。


 何かスパイスのようなものも入っているような……


 ……お前は食材以外にも何か持っているな?」


「ははは……」


 めざといウィドウに見抜かれて、リュードはただ笑いで誤魔化すしかなかった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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