魔人族の国3
「それでこちらのお二方は?」
皆が帰る中で一緒にこっそりと帰ってもよかったけれどどうするのかが気になってそのまま留まってみた。
レヴィアンはどう言った関係なのか問われて慌てる。
決闘を申し込みました都は口が裂けても言えない。
ウソで誤魔化すしか方法はない。
「え、えーと、友達……友達だ!
大切な友人でたまたま偶然ばったりと出会ってな。
ちょっと積もる話もあって招待したんだ」
「ご友人ですか?
私は長年王子様にお仕えしておりますがこちらの方々は見たことがございません」
護衛のリーダーだろうか、中年の男性がチラリとリュードの顔を見る。
こうして振り切られることはたまにあるが護衛として近くにいることが多いのでレヴィアンの知り合いの顔ならほとんど知っている。
レヴィアンが知らないつもりの友人も警備の必要性から調査済みである。
リュードとルフォンには全く見覚えが無かった。
レヴィアンが隠している友人に関して調査が完璧ではないことも考えられるので一概に知らないからと疑うことはない。
けれど明らかに冒険者風の格好をしている獣人族らしき男女のペアを調査する人が見逃すはずもない。
容姿も2人とも目立つしこの友人を隠しおおせていたら今一度レヴィアンの周辺を洗い直す必要も出てくるぐらいだ。
「俺にだってお前の知らない友人ぐらいいるさ!」
「そうですか。
はじめまして。
私は王子の護衛を勤めさせていただいておりますバラーと申します」
レヴィアンよりもバラーの方がよほど貴族のように丁寧にリュードたちに頭を下げる。
流れるようにお辞儀をするバラーにつられてリュードたちも頭を下げた。
「失礼ですが家名をお伺いしてもよろしいですか?」
王族と友達になる機会はとても少ない。
レヴィアンは活動が多く顔が広いので他に比べるとそのチャンスは多い方ではあるけれどそう簡単に近づける人でもない。
もし本当に友人なら王族に近づくことのできる何かしらの高名な家の者の可能性がある。
知らない家名なら友人なことは疑わしいし知っている家名ならこのまま丁寧な態度を貫いておけば良い。
「俺はシューナリュード・イデアム。こっちはルフォン・ディガンだ」
「イデアム……ですか?」
「はい。それが何か?」
リュードの家名を聞いてバラーがピクリと反応を示す。
「私、バラー・ディエライン。シューナリュード・イデアム様にご挨拶申し上げます」
両膝をついて頭と両手を地面につけるバラー。
いわゆる土下座のような体勢。
レヴィアンと他の護衛たちが目玉が飛び出さんばかりに驚いている。
王族相手にも怖気付かず常に堂々としてレヴィアンのみならず他の王族の信頼も厚く、鉄の男なんて呼ばれ方もするバラーがいきなり若造に平伏した。
王族でもあのようにさせようとしようものならバラーは仕えるのをやめてしまうかもしれない。
「えっと、えぇ?」
リュードはわけも分からずいきなり土下座をされてドン引きしてしまっていた。
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