ヲタッキーズ56 焔より美しく萌え
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
彼女が率いる"ヲタッキーズ"がヲタクの平和を護り抜く。
ヲトナのジュブナイル第56話"焔より美しく萌え"。さて、今回は秋葉原に連続放火魔が出現、ついに犠牲者が出ます。
放火魔の顔に隠れた殺人鬼の存在を突き止める主人公ですが、環境テロリストやパワー未発達のスーパーヒロインが現れて…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 火捜研の女
高まるアニソンがガンガン流れる中古車センター…まぁアキバなので痛車専門だがw
その人影は、10本1列のブックマッチにタバコを挟み警備ブースのソファに仕込む。
「自由大気ばんざい!我々は温暖化に勝つ!」
転スラのリムルがシナをつくる痛SUVへ手にしたガソリン入りのビール瓶を投げつける!
フロントガラスを粉々に砕き車内に飛び込んだ瓶は爆発し大音響を上げ火の手が上がるw
「うわっ…くそ!スマホを忘れた!」
突然の火の手に腰を抜かした店長は胸ポッケにスマホがなくてパニック!
その時、警備ブースの中の黒電話に目を止め勢いよくドアを開けた瞬間…
世界が赤色に染まり、神に召されるw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
1時間後。現場は万世橋のパトカーをはじめ、神田消防の消防車、救急車でゴッタ返すw
「どうなの?」
「あ。ラギィ警部。またも"大気解放運動"の連中です。今月4件目の環境テロだw」
「痛SUVを焼き払うのが環境保護になるの?反戦運動と間違えてナイ?」
「反戦運動?何でですか?」
「日本のSUVは、第3世界じゃ立派な装甲戦闘車両ょ。実は、我が国は立派な武器輸出国」
「ソレはともかく、ヤバいのは初めて犠牲者が出たコトです。ショー・グラン32才。中古車ディーラー。事務処理もあり、早く出勤したようです」
「御家族には?」
「奥さんに連絡しました。4ヶ月の子供がいるそうです」
溜め息つく警部の横をスタスタ歩いて来るのはジャドー科学顧問のルイナ。
ジャドーは、アキバに開いた"リアルの裂け目"に対する秘密防衛組織だ。
因みに、ウルトラ場違いなメイド服←
「ラギィ!伝言を聞いたわ」
「わっ!貴女は来る必要なかったのに」
「火災4件だけじゃ犯罪解決の方程式も立てられないわ。データを取りに現場まで来たのょ」
メイド服のルイナの横を、焼け焦げた死体を載せたストレッチャーが通り過ぎる。
死体に被せた白いシーツから、焼けた手がポトリと落ち、思わズ息を呑むルイナ。
「車も警備ブースも丸焼けょ。証拠も何もあったモンじゃ…あら?」
「ラギィ?ラギィょね?私、火災捜査研究所のサカキ・リマコ!人呼んで"火捜研の女"」
「ウッソォー!マジ?大学卒業以来?あ、この子はジャドーの科学顧問」
「ルイナです」
「メイドカフェの人?」
「科学者ょ。いちゃダメ?」
「トンでもナイ!放火の捜査に科学、特に数学はつきものだわ。炎の広がり方の計算や酸素の流れ方…」
「YES。燃焼研究の基本は流体力学だから。プラントルの研究やオイラーにスミッツ…」
「ソレらは、あくまで理論の話でしょ?私達は、あくまで現場の痕跡を重視スル。焦げ跡や発火装置に燃焼パターン。ソコから放火犯の手口を探るの」
「あちょ。何かわかった?」
「痛SUVは、火炎瓶によるテロ。他の3件と同じだわ」
「警備ブースは?」
「ブックマッチにタバコ。コッチは古典的な手口ね。火事に驚いたマネージャーは電話に走ると…」
「扉を開けた途端、酸素が流れ込んで爆発。典型的なバックドラフト?」
「YES。小さな火で恐ろしい火災を起こせるわ」
「で、捜査は何処から?」
「うーん現場の痕跡から放火犯を特定するには限界があるわ。精度を上げるため、貴女達の力も借りたい」
「OK。データを頂戴」
「去年、CO2解放軍と呼ばれる環境テロリストが青森でスキー場を萌やした。現場に犯行を示す垂れ幕が掲げられていたそうだけど、連中の手口に似てる」
「犯行は次第に過激化してるけど?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
データを持ち帰ったジャドーのラボでジッとロウソクを見つめるルイナとレイカ司令官。
レイカは、ジャドーの沈着冷静な最高司令官だが…ワケあってゲーセン店員のコスプレw
華麗なるコスモルック。アラサーなのに…
「ルイナ。自然科学と言う神秘の世界への扉を開くには、ロウソクの焔と言う現象を研究せよ…ファラデーの言葉ょ」
「ファラデー?"彼は"リアルの裂け目"の脅威と戦わないし、連続放火魔の捜査とかも関係なさそう」
「あらあら?"シドレ"が外神田地区にイラダチを探知しそうね」
シドレは、アキバ上空3万6000kmの静止軌道にいるジャドーの量子コンピューター衛星。
このシドレが"リアルの裂け目"を探知スルと、直ちにジャドー全ステーションに急報。
もちろん、ルイナのイラダチは感知しないw
「司令官。現場で会った自称"火捜研の女"によると、放火の捜査で使うデータは通常7種類。燃料、燃焼率、焦げ跡、煙のパターン、焔の温度、点火装置それに火種。ソレらを変数として捉え火事の特徴を掴むらしいわ」
「へぇ。火災の分析と言うより鑑定に近いのね。割と詳しく調べるのね」
「トンでもない!放火の痕跡スラ正確にトレース出来てない。特定するには、もっともっと変数を集めなきゃ」
「なるほど。で、どーするの?」
「7つのデータ項目を、さらにいくつかに分類してみたわ。もっと後で増やすけど」
「…燃費が約1キロ向上すれば、大気に放出されるCO2は爆発的に減るというのに」
「え。痛SUV放火犯の肩を持つの?心は環境テロリスト?」
「違うわ。言いたいのは、放火犯にはエコロジーと言う大義名分がアルってコト」
「環境テロリストの社会的意義を論じている余裕は…」
「重要なの」
「必要ないわ」←
「…とりあえず、火災は破壊するけど同時に何かも生み出す。熱や光だけじゃなく、確かな証拠もね」
「え…ススとか?」
「YES。ススによって焔の色も変わるし…火災の性質も変わるンじゃないかしら」
「ねぇ?」
「何?」
「意味不明ょ」←
レイカ司令官は、小さく溜め息をつく。
「ルイナ。犠牲者が出たのは今回が初めてょね?」
「意図を探るの?…ねぇ続けて」
「意図と結果ょ。犯人にとってアプローチが違うなら、当然それぞれの火事に犯人の個性が出る。単に手口だけじゃなく、火事全体の性格みたいなモノね」
「つまり、言いたいのは火事にも指紋がアルってコト?」
「"火紋"ょw」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、万世橋のラギィ警部は環境テロリストの総本山"CO2解放軍"に乗り込む。
裏アキバにあるオフィスでは、誰彼構わず叫びながら全員がスマホ片手に叫んでる。
いつもこーなの?
「万世橋警察署!責任者のサオミ・レッドパンダは?」
「私ょ!馬鹿げているわ!CLAは、痛SUVの店など焼かない。そもそもSUV自体がガソリン車の全面禁止で数年後には人類史の笑い者となる。ホント、いつも男って大きな乗り物に乗りたがるわ。どんなに貧相な野郎も何かを征服した気分になれるから」
「サオミさん。貴女は元ストリッパー?」
「イラストレーターですっ!」
「と、とにかく!CLAは、今までテロ活動を継続してきた。建設現場や原発、捕鯨船団の基地…」
「それは認めるわ。でも、今回の1連の放火事件とは無関係。潔白よっ!」
「じゃ現場に残されたCLAのロゴは?」
「そんなの誰でも描ける」
「貴女達にもね!」
先程からコチラをチラ見していた、いかにも"構ってもらいたげな女"が話に割り込む。
すると、ナゼだかサオミ・レッドパンダは大層慌てて話を遮り舞台仕込み?の営業笑顔w
「私達は、テロには反対なの。捜査にも協力してるわ」
「してナイでしょ?メンバーの名簿提出を拒んで裁判になってるしw」
「200人の活動家とその10倍の支援者がいる。そのみんなに貴女達が嫌がらせをスルからょ」
「殺人の捜査は嫌がらせじゃないわ」
ココで再び"構ってもらいたげな女"が口を挟んでサオミ・レッドパンダはウンザリ顔w
「万世橋は、正当な市民運動の邪魔ばかりしている!縄文平等会議やアイヌ自由民主党、異次元人による公民権運動…」
「令和ょ!60年代の話でしょソレ?今が何年か考えてみて」
「私たちを陥れる陰謀だわ!痛SUV放火は体制側の地下工作よっ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
CLAからの帰り道、夕暮れのパーツ通りをトボトボ歩きながら部下がラギィ警部に話す。
「警部。確かに誰かがCLAに罪を着せたがってるのカモしれませんねぇ」
「え。でも、1件ならともかく4件もょ?」
「何か狂信的な一枚岩の組織じゃなく、人の出入りが激しいNGOって感じでしたが」
「ソレだけに実行犯が逮捕されても直ぐ補充の効く、何処が頭だかワカラナイ、ある意味では強靭な組織ね。レッドパンダをパクればお終いって暴力団的結末の絵が描けない。厄介だわー」
溜め息をつく内に署に戻るや、件の部下がクシャクシャに丸めたチラシを警部に見せる。
「警部。コレを」
「え。何コレ…"月刊CLAニュース"?"本部からの持出厳禁"って描いてアルけど…まさか勝手に持って来たの?」
「いいえ。掲示板から落ちてたのが、さっき気づいたら靴にヘバりついてて…」
「そりゃ!…仕方ナイわね。ん?この画像の真ん中の女に見覚えアルわ」
「でしょ?しかも、この法被」
チラシはCLAの活動記録で、火災現場を取り巻くヤジ馬などの画像を掲載している。
ソレがCLAの犯行で放火犯が写ってるとは描いてナイがヤタラ目立つ女が写ってるw
あの"構ってもらいたげな女"だ!
「コレは…"だんぱ組.inc"の法被だわ。でも、この前の武道館ダンスパーティでは、コレを何千人もが着て踊ってたし」
「警部。裏面も御覧ください」
「先週のアキバ科学大学での放火現場ね?あら?また彼女だわ。彼女は2つの火災現場に"偶然"目立つ法被を着て来てたワケ?」
「YES。そして、CLAのヤジ馬写真に"偶然"写り込んでる…しかも、普通の放火犯なら絶対着ない、ヤタラと目立つ地下アイドル"だんぱ組.inc"の法被を着てw」
「公表資料に拠れば、CLAメンバーの9割がアイドルヲタクだそうです」
「と言うコトは、彼女は、こんな目立つコトをしてまで推しゴトを…きっと筋金入りのヲタクに違いナイわ!」
「警部。ソッチですか?」
「あ、いえ。ごめん。早速、大学で女の身元を確認しましょう」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アキバ科学大学の学寮。
狭い学寮の廊下でキスするカップル、サウナ姿の学生やチアリーダーがゴッタ返してるw
「あぁ何だか懐かしいわ」
「警部。この部屋です」
「あら?"げんしけん"?」
部下が指差すドアに"現代視覚退化研究会"と描かれた紙が貼って…剥がれかかってるw
「あ。待って!」
「でも、ドアは開いてますょ?」
「せっかく、お宝を見つけても証拠能力がなくなるわ。違反行為は1日1回まで」
半開きのドアの向こうでフロアに腰を下ろし一心不乱にPCにデータを打ち込む男子学生。
ラギィ警部に肩をチョンチョンされ、ヘッドホンを外し怪訝な表情を浮かべて見上げる。
「リムルを探してるの。居場所を教えて」
警察手帳を見せる。
「僕は、リムルとルームシェアしてるだけだ。何も知らないけど」
「部屋の中を見ても?」
「どうぞ」
大人しく立ち上がって、警察を迎え入れる。
「リムルの専攻は英米文学?」
「いや、英文は落ちて国文に回ったょ」
「貴方は?」
「データサイエンス。理系ナンだ」
「スゴいのね」
ラギィ警部の部下が、デスクに開きっぱなしで放置されていたリムルのPCをいじり出す。
「待ってょ!リムルは履歴は消してる」
「よく知ってるのね。仲が良い証拠だわ。貴方のPCも貸したりスルの?」
「時々ね。あ、彼女が戻るまで待ってょ!」
「履歴を消してるなら復元してみようと思ってさ」
「ソレじゃアプリがダメになる。Cドライブじゃなくて、デスクトップから入り直して戻さないと…」
見かねて部下を手伝う男子学生。
理系学生にありがちなタイプだw
「やはり。リムルは常時、CLAのサイトにアクセスしてます…ん?"外神田ヒルズ"のサイトにも?」
「あら。壁に貼ってある地図にバツがついてるのも"外神田ヒルズ"の再開発エリアの辺りだわ」
「確か世界初の木造タワマンでしたね」
「途上国の熱帯雨林で大量の木を切り倒して秋葉原に建てる、世界初の木造タワマンか…
いかにもCLAが狙いそうですね」
「決まりだわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
神田川沿いの"外神田ヒルズ"建設現場。
実は万世橋警察署の裏だが、お約束で派手にサイレンを鳴らし、パトカーで駆けつけるw
「リムルの車です!」
ラギィがトランシーバーに向かって叫ぶ。
「突入スルわ。後はお願い」
「一本道なので逃げればわかります」
「OK!GO GO GO!」
パトカーから、黒いキャップをかぶった警官隊が、拳銃を構えてワラワラと降りて来る。
「貴方達は裏へ回って」
「了解」
「3, 2, 1…突入!」
退避する作業員と入れ違いに、拳銃を構えて現場へと突入スル警官隊。
世界初の木造タワマンの建設現場は、見渡す限りが木材の梁、柱、床。
ソコへ階段から降りて来たのは…リムルだw
「万世橋警察署!止まれ!」
止まるハズ無い。
リムルは逃げるw
「ソッチへ行ったわ!」
「了解。任せてください!」
「この体制の犬!」
追い縋る制服警官がタックル!
デイパックごと倒れるリムルw
「万世橋警察署!動くな!」
「OK。両手は頭の後ろ。デイパックを見せて」
「私は、何もしてないわ」
バッグからタバコにブックマッチ。スプレーペンキ。お約束のライターが見当たらない。
「貴女、自由大気を汚すつもり?」
第2章 戦慄のモロ豆腐カクテル
万世橋の取調室。
リムルの取調べ。
「blood type"BLUE"。使徒…じゃなかった、異次元人なのね、リムル?」
「悪い?秋葉原デンジ法には登録済みょ。スーパーパワーは人間発火だけど、未発達。モチロン、痛SUV放火とは無関係だわ」
「ンなワケ無いでしょ?2件の放火現場の画像に貴女が写ってるのょ?」
「状況証拠!体制側の陰謀だわ」
「ついに死人が出たと浮かれてるワケ?」
「アンタ馬鹿ァ?CLAは人命を優先スルの」
「ソレでも手が滑るコトがアルでしょ?調子が良ければ貴女は指先に火を灯せる…じゃ貴女は火災現場で何をしてたの?」
「お友達と待合せ」
「火災現場で?あのね。私達、貴女のルームメイトから色々聞いてるの」
「え。アムレと?…T、じゃなかった、か、彼は何も知らないし」
「誰と待合せしてたの?」
「同志ょ」
「一緒に木造ヒルズを焼き払おうと?」
「熱帯雨林の乱開発で二酸化炭素が過剰に排出されて…コ、コレは?」
焼死したディーラーの写真を見せられる。
「CLAは、家族のある男を焼死させ、二酸化炭素をばらまいた。どうなの?」
「私の役割はマスコミへの情報発信。犯罪には関わってない。状況証拠だけじゃ拘束出来ナイわ。弁護士を呼ぶわょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
夕暮れの捜査本部。
「完敗ですね。彼女の方が上手だった」
「完全に舐められたわwでも、あの傲慢さは、間違いなく放火犯の特徴だわ」
「ココでヒロピンAVなら捕まえた女テロリストには、あの手この手で拷問して洗脳スルのに。いかんせん証拠不十分です。野放しにしますか?」
「トンでもない。24時間監視をつけて」
「通話記録やクレジットカードのチェックもヤリます」
「あのルームシェアの男子学生も使えそうだわ」
「なるほど。お前のコトをリムルがバカにしてたと言えば、何でもペラペラ話しそうだ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ところが、男子学生は何も喋らないw
困り果てたラギィ達は一計を案じる。
僕の出番だ←
「アムレ・ロイは17才。土木工学の学会に論文を発表したコトもアル、一種の天才なのょ」
「へぇ17才で?スゴいねー」
「で、テリィたんに、彼と話して色々と探って欲しいのょ」
ラギィは上目遣いで僕に迫る。しかも、僕の大好物のSF調のメイド服。
あ、ココは真昼の"潜り酒場"だ。女子は全員メイド服着用がお約束。
「え。ソレって警察の仕事だろ?ソレに口説き落としはラギィのお得意だ」
「ソレが、ターゲットはスーパーヒロインと同棲してる天才ヲタクでなかなか手強いのょ。多分、ミユリ姉様とつきあい立てのテリィたんと同じ気持ちだと思う。だから、貴方なら攻めドコロがわかるんじゃないかと思って。ねぇお願い」←
こら!その上目遣いヤメろw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再びラギィとアキバ科学大学の学寮。
明らかに浮いてるカジュアルで再訪。
アムレは"げんしけん"の部室だ。
「座っても良いかしら?」
「あ。警部さんか。リムルも釈放されたし、もう何も話す気ナイょ」
「何でソンなコトを言うの?」
「だって。アンタ達、リムルに何か話したろ?」
「いいえ」
「ウソだ。この前来た刑事さんがリムルの悪口を言ってたぞ」
「誰ソレ?ニセ警官?ところで、リムルは道を誤ったわ。庇うと貴方も蔵前橋(重刑務所)だけど」
「刑事さんは、学生時代に読者モデルかチアリーダーだった?」
「え。何?」
「わかるハズない。みんなは僕を避ける。まるでヲタク扱いだ」←
おぉ!僕の出番だw
「違うな。一般人は怖がってるだけナンだ。奴等は、廃人になる覚悟がナイ。だから、萌えの何かを知りたい時だけ、僕達に話しかけるのさ。でも、スーパーヒロインは違う。君は、ヲタクがマトモに話が出来る唯一の相手は、リムルみたいなスーパーヒロインだけだと思ってる。そうだろう?」
「激しくYES!その彼女が自分は無実だと僕に言うンだ!」
「OK。ソレなら彼女の疑いを晴らすため、万世橋の捜査に協力してくれ。ラギィ警部に全てを話スンだ」
「嫌だ。どーせパンピーに話しても何にも理解出来っこナイ」
「今、君がノートに描いてる化学式、単層カーボンナノチューブだょね?CHはNa1と Na2の合計だ。そして、nもmも整数。様々な用途が可能さ。人工筋肉のサイボーグやモビルスーツ、宇宙エレベーター。僕には見える」
「テ、テリィたん…貴方は何者ナンだw」
「宇宙関係のスタートアップと仕事してるだけさ…ラギィ、後は頼むょ」
「OK。ねぇリムルが接触してた相手は何者?」
「池袋時代のヲタク友達だって。オンラインゲームのチャットで連絡を取り合ってた…あ。もぅ行かなきゃ!」
突如慌てて走り去るアムレを見送ってから、ラギィは心底感心したと逝う顔で僕を見る。
「さすがはミユリ姉様のTOだわ。頼りになるのね」
「そうかな」
「…にしても、ミユリ姉様にはテリィたんじゃ MOTTAINAI けど」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃ルイナはメイド服で神田消防にいるw
「警備ブースの爆発原因は何かしら?」
「バックドラフトね。間違いナイわ。火種の発火で高温になってる室内に、突然酸素が大量に流入してドカン」
「となると、ブースの方には誰も火炎瓶は投げてない?」
神田消防の会議室に設置された火捜研でルイナはリマコと話し込む。
リマコは、民間の火災捜査官で通称"火捜研の女"と呼ばれている。
「実は、火炎瓶って扱いが案外難しい。とりあえず、今は放火犯の正確な特徴を得るために、主成分の分析を行ってるトコロょ」
「たった7つの項目で?」
「え。御不満?」
「最低でも600以上の変数が必要だわ」
「600ですって?!」
「熱発生率や時間、気象は考慮してるわょね?」
「オフコースのさよならょ」←
「私は、熱呼吸や燃焼率、発火時の風速も変数にしてる」
「ソンなの火捜研の手には負えないわ」
「神田消防管内で起きた放火事件の全記録を見たいの」
「何千件にもなるわょ」
「え。ソレじゃサンプルが少な過ぎる…OK!では、過去2年間に限定しましょう」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜(メイド服のw)ルイナとリマコ(ナゼかメイド服w)はアキバ科学大学の地下室に潜入w
「バックドラフトの再現とは興味深い。別名"スモーク爆発"だ。火種が消えても熱られていた気体が再燃スルなんて!」
「ボルデ先生。ソレよりウチの工学部に燃焼実験のラボがあるコト自体が驚きです」
「いや。ソンな施設はナイょ。ココは、大学の帳簿上は洗濯室だ」←
薄暗い照明、汚れた壁に床、剥き出しの下水配管…ソコにボルデ先生は"棲息"してる。
「感謝しますわ。ボルデ先生」
「ブルーと呼んでくれ(ナゼw)。礼は良い。真夜中にメイドさんに囲まれて物理の実験が出来るナンて幸せだ。ソレも若い頃に見た映画の"バックドラフト"の再現とは。あの時、私の横には…あぁ青春が蘇る」←
「先生、いいえ、御主人様。私達メイドもワクワクですわ!コレが警備ブース?記録によると壁には断熱材。天井は可燃性」
「わかった。では、火が消える一歩手前まで酸素を減らすぞ。ドアを開けると酸素が流れ込み重力流が発生。温度の違う空気がぶつかりスモーク爆発となる。別名バックドラフトだ。後は火種だな」
ココで生まれて初めてのメイド服に、実は意外にマンザラでも無いリマコがカットイン。
「あ。ソレは私が…焼け跡から見つかったのと同じ銘柄のタバコにしました。どうぞ」
「リマコさん。そのタバコ、誰の?」
「他の御主人様」←
「ソレにしては、ヤタラ慣れた手つきね」
「原田知世?…とにかく!火種は萌えるモノの近くにあったそうょ。ソファのクッションとか」
「良く知ってるわね…この手の発泡体は、炭化水素だから萌え萌えだわ」
ゴーグル着用!耐ショック、耐閃光防御!
「良いか?タバコに着火スルぞ。温度は上昇中。華氏600度に達したらドアを開け、酸素を送り込む。良し。全てGOだ」
「焦げ跡と火災検知器から発火時間は午前5時41分と推定。風及び気圧の設定良し」
「間もなく華氏600度。バックドラフトが起きるぞ。間もなくだ!」
遠くからアームを伸ばしドアを開ける教授w
「気をつけて!御主人様」
ソッと開ける!その瞬間…何も起こらないw
「あ、あれ?」
「ちゃんと密閉されてたの?」
「計算通りだ。放熱も燃焼率もタイムも」
真夜中の洗濯室に立ち竦む教授とメイド達。
「原因は…バックドラフトじゃナイ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
洗濯室にボルデ教授を残し、燃焼ラボを後にした2人のメイドは深夜のパーツ通りを歩く。
「バックドラフトじゃ無いンだわ」
「しかし、アレだけの熱を生むには…わかった。きっと何らかの燃焼促進剤を使ってるのね!」
「現場検証では何も出なかったけど」
「少量なら蒸発してしまう燃焼促進剤もアルの。ある種の特殊なマグネシウムとかね」
「なるほど。高濃縮の特殊マグネシウムなら痕跡を残さずに爆発させられる。しかし、入手が困難だわ」
「豆腐用のニガリに使う特殊マグネシウムならどーかしら?豆腐屋さんなら誰でも手に入るハズょ!」
「ニガリに使う濃い奴ね?確かに豆腐屋さんは毎朝使ってるわ!」
「モロに豆腐を使ってるのね?」
「火炎瓶だわ!」←
「しかし、焼死させるだけならガソリンで十分なのに」
「ううん。犯罪者の心理ってそうじゃナイ。毒殺する時には、少しでも検視で発見されにくい毒を選ぶわ」
「そっか。誰かにも言われたわ。火事の特徴を調べれば、放火犯の個性がわかるって」
「その通りね。この放火犯は…焔の中に素顔を隠した殺人鬼なのょ!」
第3章 連続放火魔を追え!
捜査本部の廊下を歩いてる。
「となると、故意の殺人ね。でも、CLAには殺人の前歴は無いわ」
「今まで、運良く死人が出なかっただけでしょ?」
「確かに手段は過激だけど、環境問題に的を絞ってる。建設現場や化学プラント。負傷者が出たのは原発を襲って事故った時だけ」
「でも、今回の放火だけは殺人が目的だわ」
「つまり…CLAは無関係?」
「もしくは、新入りメンバーの暴走とか」
「アムレの池袋のお友達は?」
「メールや通話記録、SNSには何の痕跡もありません。オンラインゲームのチャットルームは、直接プロバイダーに接続相手の情報を問い合わせ中」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
「おいおい。ココはランドリー兼シャワー室だぞ!」
「ごめんなさい、テリィたん!アッチが認識理論でいっぱいだから移動して来たの。メイド長にはお断りしてアルから」
「ミユリさーん!仕事を御屋敷に持ち込むのは禁止だ。持ち込み可なのは推しゴトだけ!」
狭いランドリーの床、壁、天井、そして洗濯機にも付箋やメモ、走り書きが積もってるw
「オーナーの僕が(遊び)疲れて御帰宅しても、シャワーも浴びられ無いwで、連続放火魔は特定出来そう?」
「特定の人物を探すのではなくて、主成分の分析を行うの。5000件の放火を定量化スルため600の変数に分解入力してデータベース化してるのょ」
「名付けて"火紋"データベース」←
やや?ジャドーのレイカ司令官だ。こんなトコロでゆるふわメイド服を着てて良いのか?
「連続放火犯は、未発達ながらもスーパーヒロインと判明したので、本件はウチと万世橋の合同捜査になったわ。でも、ジャドーは今、月の裏側に開いた"リアルの裂け目"から化石円盤が飛び出して大騒ぎなの。とても連続放火犯を追う余裕がナイ。で、ルイナの知恵だけ貸して、お茶を濁す…」
「はい、司令官。ヨソ見してないで次の変数を読み上げて!パイロット着火の温度ょ」
「パイロット着火?何ソレ?美味しいの?」
「外部の火によって萌え出すコト。例えば、導火線による点火とかね」
「他に、どんな着火方法がアルの?」
「自然発火。気体がある温度以上になると、自ら発火するわ」
「非パイロット点火だね?でも、恐らく今回は、パイロット点火と非パイロット点火の混合型じゃナイか?」
「痛SUVは、火炎瓶で、警備ブースは、タバコに挟んだブックマッチというパイロット点火で萌えてる。特殊マグネシウムの急激な酸化と、高温化した気体が爆発の原因」
「放火って複雑ナンだな。でも、ルイナ。別物と考えたらどうナンだ?コレを指紋とスルなら、火災それぞれに別の手指があるハズだろ?」
「確かに!殺人目的の放火と、ソレ以外の放火は別カモ」
「2つの異なる狙いが萌えた。犯人は2人いるンじゃナイか?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、同時刻の捜査本部。
「警部!アムレのプロバイダーから情報をゲットしました」
「でかしたわ。で?」
「ハンドルネームとパスワードが2つずつです。1つは"リベンジファイア"でパスワードは生年月日。しかし、2つ目の方はパスワードがわからない」
「ルイナ!アプリ、開いてる?」
ラギィがスマホに話しかける。即答アリ。
「うん。さっきからモニターしてるわ。で、ソレはディフィー・ヘルマン鍵共有の暗号化コードだと思う。解読はホボ不可能」
「え。知りたいコトはその奥なのに!」
「うーん2つ目のハンドルネームは"ナノチューブ"じゃナイかな?」
口を挟む僕。出番だょエヘヘ。
「え。誰?テリィたん?御帰宅してるの?コッチに来て捜査を手伝ってょ、ヲタクの視点で」
「テリィたんに頼っちゃ終わりょ(何でだw)!とにかく、放火には複数の要素があり、ソレにより火災の特徴が判明スル。でも、筆跡ナンかと違って火災の特徴は大まかだわ。焦げ跡、燃焼率、燃焼促進物、ガスの種類、アルコール…そこで、指紋鑑定みたいに、より詳しく分析してみたの」
「え。ルイナって警察の指紋鑑定、いつもバカにしてたょね?」
「ソレは…まぁそのぉ、比較ポイントが確立してないのに、世の中に同じ指紋はナイと仮定したりスルからょ。ソレに共通点が7つアルだけで、同じ指紋だと言い切る傲慢さも鼻につくし」
「ルイナは傲慢な男は嫌いナンだ…」
「好きな女子がいる?とにかく!私の"火紋"分析では、600以上の厳密な変数を15次元の超平面に投影するから、15の数値座標を用いて"火紋"の特定が出来るの。コレを見て。痛SUV店由来の2つの"火紋"の鑑定結果ょ」
「え。2つは一致しない?」
「YES。パターンが全く違う。痛SUVの方はCLAが行ったとされる以前の3件と完全に一致スル。でも、警備ブースの方は、極めて異質で、明らかに別の人格が引き起こしていると思うわ」
「つまり、別人が放火をしたってコト?」
「YES」
「やっぱり連続放火魔は2人いる?」
「恐らくYES。警備ブースの放火と一致する放火は17件あり、1番古いモノは5年前ょ」
「5年前?まだCLAが結成されてナイわ」
「モチロン、17件は環境保護とは全く無関係でCLAとは無縁の放火ばかり」
ソコへ緊急警報!
「コチラ、量子コンピューター衛星"シドレ"です。外神田エリアにビル火災発生。ブルーのレッドの3」
ラギィ警部にも外線だ!
「え。また放火?わかった。直ぐ行くわ」
第4章 焔より美しく萌え
現場では、神田消防のハシゴ車がハシゴをかけ完全装備の消防士達が右往左往。
ビルからは、夜空にも黒く見える煙が噴き出してる。消防指揮官から話を聞く。
「またCLAだ。現場は6階」
「テナントは?」
「シベリアでガス採掘を目指す探査会社らしいが…消防士6名がフラッシュオーバーでやられた」
「フラッシュオーバー?」
「一瞬で目の前が火の海になる。プロの消防士が逃げ切れなかった。ビル全体に被害が及ばなかったのは防火扉のおかげだろう。幸運だった」
「違うょ。最初からビルじゃなくて消防士を狙ってルンだ。バックドラフトの原理を知ってるなら、フラッシュオーバーを引き起こすのは簡単だ」
「何?つまり、コレは最初から消防士狙いの殺人なのか?」
「YES。そして、凶器は火災」
「狂ってる」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
消防指揮官は、現場に転がっていた、部下の焼け焦げた消防士ヘルメットを拾い上げる。
「確かに、火災は6階に限られてる。放火魔の真の狙いは俺達だったのカモしれない」
「消防士が6階にいた時間は?」
「現場に到着してすぐだ」
「ソレにしては大きな被害が出たな」
「そーナンだ。確かに高層ビルだから難しい面はあるが、消防士は訓練を受けている。ホースを立管につないで…」
「立管?」
「ビルの排水管のコトだ。地上まで続いてる」
「ソコに何か異常は?」
「当然、放水前に水圧確認を行った。数分で鎮火するハズだったのに」
「じゃあ原因は?」
「負傷者の家族にも聞かれて困ってルンだw」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、万世橋は意外な展開になっている。
「OK。コレで全部だ」
アムレは、ビッシリ描き込んだメモ数枚を捜査官に突き出す。呆気にとられる捜査官達。
「何?全部自分1人でやった?リムルは無関係だと言うのか?」
「YES。全て供述書のとおりだ」
「第1級殺人は、運が良くて終身刑だ。ソレを全部1人で被るつもりか?」
アムレは、不敵な笑みを浮かべて動じナイ。
「僕には無理だと思うのか? IQは160以上あるンだぞ?」
「…馬鹿なコトをしたな。じゃ1ページずつサインしろ」
「OK」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アムレ自供の情報は、瞬く間に広まる。
「でも、ルイナの分析じゃ放火犯は2人ょ。しかも、1人は放火魔の顔をした殺人鬼。とても、アムレとは思えないわ」
「でも、もうマスコミは容疑者逮捕って流してるしw」
「1666年のロンドン大火の容疑者は、実は当日の夜はロンドンにはいなかった。でも、ソレが判明したのは絞首刑の2日後。昔も今も、自分から罪を被ろうとする人は後を絶たない」
「何故ソンなコトを?」
「ソレでも、社会から無視されるよりはマシだと思うんだって」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
よし、事件解決!今度こそシャワーだ…
"潜り酒場"に御帰宅しランドリーに逝くと…ルイナとレイカが何かゴソゴソやってるw
しかも…ビキニで!ブラボー!
「水圧メーターの数値は正常だったンだって」
「焔は小さくて、十分な水さえあれば、数分で消えるハズだったそうょ」
「確かに消えたわ…あら、テリィたん。おかえりなさいませ、御主人様…なんちゃって。黒ビキニの司令官と白ビキニの私、貴方はドチラ?」
白の私!
「こらこら。バスタブを使って何の実験中?あ、聞かなくてもわかってるけど」
「例の連続放火、容疑者がゲロしたらしいけど、私は不満なの!」
「欲求不満よっ!」
ビキニ娘の欲求不満!大好物だぉ←
「僕には、アムレの気持ちがワカル。僕もアキバに来たての頃は溶け込もうと必死だった」
「テリィたんが、今マトモなのはミユリ姉様と出会ったからょね?つまり、タダの偶然。推し次第では放火魔になってたわ」
「ムチャクチャ破綻してる論理展開だ」
「テリィたんは、ビルの消火システムに詳しいょね?立管とか」
「おぅ。原発で防火管理者やってたからな。資格も持ってる」
「ねぇ…ホースの水圧は充分なのに消火出来ない理由は何?」
白ビキニのルイナがモタレかかってくる!
「見てろ。(黒ビキニの)レイカ!水を出して。思いっ切りだょ!そして徐々に閉めルンだ。ゆっくりね。途中までだ。その調子…」
「あ。パスカルの原理かw」
「YES。水圧は、均等に拡散スル。だから、水圧からは水量はワカラナイ」
ヒラメく(白ビキニの)ルイナ。
「そっか!」
「そーさ!しかも、消火ホースにはノズルがあって、自動で高水圧を維持スル。なまじノズルの圧力が一定だと、放水量はわからないンだ。ルーク、ホースを使え…なんちゃって」
「あぁ今の今まで、私ったら十分な水が出てると思い込んでたわ!でも、地上の消火栓から6階にいる消防士のトコロまで行く内に水量は減っていたのね!だから、消火は出来ズにフラッシュオーバーが発生した」
「誰かが立管に細工したンだわ」
「ビルの立管の仕組みに詳しいのは、配管工や消防士にエンジニア…あああっ」
じゃビキニ処女、じゃなくて諸嬢!一緒にシャワーを…え?ダメ?それドコロじゃナイ?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「連続放火魔の顔をした殺人鬼は、ビルの立管に細工し、消防士が気づかない程度に水量を減らして消火に当たらせた。全ては、水圧のせいで正常な消火活動に見えた」
「高度な工学の知識が必要ね」
「アムレなら可能カモ。天才だし」
「警備ブースの火事も、消防士が来るコトを想定してた。あのビル火災も標的は消防士。つまり、ターゲットは最初から消防士なのょ」
「アムレじゃナイ。彼は、ヲタクの気を引きたいだけ。黒幕は他にいる」
「でも、アムレは、手柄を独占したがってるのょ」
「殺人罪まで背負うとは、つゆ知らズにね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ラギィ警部がアムレの取調室に飛び込むw
「こ、今度は何だょ?」
「真実が聞きたいの」
「もう話したょ」
「まだアルでしょ?自分でカッコ良いとでも思ってるの?ヲタクから尊敬されると思う?」
「もう言うコトは無い!」
「そぅ。でも、貴方に会わせたい人がいる」
入って来たのはCLAの女テロリスト、リムル。
「な、何でココに?」
「私の…TOが捕まったと聞いて」
「僕なら大丈夫だ」
ええー?アムレってリムルのTOだったの?
人は見かけによらんな。オミソレしやしたw
「ウソょ」
「ほっとけ」
「ねぇ良いの?ホントは、私に絡んで欲しいんでしょ?」
「思い上がるな」
「ホント、ムカつく。何でも知ってるって顔して…いつだってそぉよ!貴方は、パンピーに利用されたの。手の込んだ火事を起こす道具にされたのょ!」
「何のコトだょ!」
「池袋で私と会わせようとした相手は人殺しだったわ」
「ええっ?」
「貴方はCLAに入りたいンでしょ?だったら、男らしいトコロをメイドの私に見せて。今も、6人の消防士が病院で生死の境をさまよっているのよっ!」
「話せょ。アムレ」
「テリィたん…ホント、本名は知らないンだ。話は全てチャットで…」
「わかったわ。パスワードを教えて。次の犠牲者が出る前に」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
捜査本部。
「プロバイダーのデータとも照合しました。コレでアムレのチャット相手のリアルアドレスがわかります…え。外神田4丁目?地下アイドル通りか?」
「ソコには何が?」
「第1消防方面本部 神田消防署。今は…"火捜研"が臨時にオフィスを設置してるわ!」
「類似の放火が17件発生してますが…全件"火捜研"が原因調査を受託してます」
「自分で放火しておいて自分で捜査を?」
「有能なコンサルをアピールして…でも、そんなの犯人なら簡単じゃない!しかも…ずっと私を利用してた!」
地団駄踏むルイナ(とレイカw)。
「放火に限らズ、連続犯って自分の優秀さを誇示したがるモノょね」
「サカキ・リマコ。8年前、東京消防庁に志願し不合格になってます。民間の"火捜研"で実績を積んで秋葉原に舞い戻った」
「自宅の所轄に連絡済み。パトカーが急行しましたが不在。車庫に車がナイそうです」
「逃走スル気かしら?」
「黙って消えたりしない。必ず何かやらかすハズょ。今までだって、周到に準備した放火ばかりだったし」
「恐らく近々バレると予測してたハズです」
「自暴自棄になるわ。しかし、なぜアムレを使ったのかしら?」
「次の放火が大掛かりで、彼の専門知識が必要だった?」
「そのクセして、私に協力を求めるフリなんかして!」
唇を噛むルイナ(とレイカw)。
「ソレ、本心だったと思う。連続犯って、捜査が滞ると、逆に当局に接触したがるの。心の何処かで、ホントは自分を止めて欲しいのょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
結局、次の現場は(も?)"外神田ヒルズ"。
世界初の木造タワマンの建設現場に、万世橋のパトカーが続々到着!
木造の骨組みが聳え立つ現場にライトと拳銃を構え飛び出す警官隊←
「サカキ・リマコ!もう終わりだ!大人しく出て来い!」
「8年前のコトが動機ね?東京消防庁に志願して落とされた?」
「そうょ!私じゃダメだと言われたわ!」
悲鳴に似た金切り声と共に現れたサカキ・リマコは豆腐?の詰まった瓶を手にしている。
「悔しいわょね?貴女は優秀なのに」
「お黙り!白燐を染み込ませた豆腐、モロに豆腐の火炎瓶ょ!空気に触れたら最後!」
「わかったわ!落ち着いて!」
「お下がり!」
「わかった。全員下がって!」
「ハッタリじゃないのょ涙は。ハ、ハーン」
「話し合おう…何ならカラオケでも」
「リマコ、逝きまーす」
「バカなマネはヤメて!」
点火。夜空へ焔が噴き上がる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
夢か?ビキニ祭りだw
ラギィが、ルイナが、レイカが、ヘルプのつぼみんが、保釈中のリムルが、サオミ・レッドパンダが、だんぱ組.incが全員ビキニだ!
「ダメかしら?」
「コレを使って!」
「ルイナ!貴女の実験のせいょ。テリィたんの御帰宅までに水漏れを…あ、おかえりなさいませ、御主人様うっふん」←
やれやれ。どーやら今宵はシャワーは無理w
「テリィたん。結局アムレは司法取引したの?刑は何年?」
「3年かな」
「1度の過ちで破滅しかけたわね」
「人生を危うくしたヲタクの気持ちは良くわかる。僕も大学時代は浮いてたから」
「あら。テリィたんに憧れる女子大生もいたでしょ?」
「コミケの時だけね。キャンパスじゃ用ナシさ」
「技術の授業は、どーでした?」
「技術の授業?高校時代?」
「いょいょ修理の人を呼ぼうと思って」
「僕がやるょ。ペンチ、貸して…(花柄ビキニのレイカに向かってw)直らなかったら、修理代はジャドーに請求するぞ」
ポーンとペンチが飛んで来る。
「しかし、今回はミユリさんは、ほとんど出番がなかったな…OK?押さえてろ!」
「任せて!テリィたん」
「トイレの時は自分でヤレよっ!逝くょ、そのママ…」
「テリィ様、ソレは私の指です!」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ヲタクにだけ許されたパワー
ゲットする?夢で終わる?
そのパワーで誰を救うの?
さもないと夢を見続けるだけ
リアルを彷徨い漂う貴女
いつかアキバにたどり着くわ
そしてヲタクと出会って
愛は、その瞳に宿るでしょう
愛は、ヲタクに手招きするわ
失恋だけが全てを消すの
そのパワーは貴女だけに宿る
値段ナンかつけられない
その夢をアキバで手に入れて
ゲットしたそのパワーで
おしまい
今回は、海外ドラマでよくテーマとなる"連続犯"を軸に、連続放火魔にして殺人鬼の火災コンサルタント、環境NGOの過激なテロリスト達、パワー未発達のスーパーヒロインとそのTO、地下に棲息する燃焼学の教授、防衛組織の司令官、現場の消防指揮官などが登場しました。
さらに、連続放火魔・連続殺人鬼の心理、スーパーヒロインと彼女を推すトップヲタクの微妙な関係などもサイドストーリー的に描いてみました。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、第4次コロナ宣言解除で、with コロナで真価が問われる秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。