ブタの後始末
ドリスは起きない。
「オレゴルはドリスと居てくれ」
と言うと、
「畏まった。
何をするかは知らんが、ほどほどに」
と苦笑い。
感情を表に出していないつもりだがオレゴルにはバレていたようだ。
「自分の妻を手籠めにしようとする奴に手加減は要らないだろ!」
語勢を強めて言ってしまう。
「まあ、好きにすればよい」
オレゴルは「さっさといけ!」と言う感じで手を振った。
ベルトランの後ろを俺は歩く。
ブタの部屋は明るかった。
「おお、上手くいったか? それであのエルフは?」
ベルトランは少し遅れて入った俺を見上げる。
居るはずのない俺に驚くブタ。
ブタは裸にローブを着ており、開いた前からは見たくもないものが出ていた。
それも、ギンギンになって反りあがっていたのが気に食わない。
「悪い、アンタの目論見は聞いたよ。
ドリスに手を出すんだって?
それを聞いてちょっと我慢できないんだ」
そう言うと躊躇せずに俺はブタの周りの酸素を抜いた。
酸素ゼロ。
ブタが一回目の呼吸をすると見る間に痙攣を始め、二回目の呼吸をすることなく泡を吹いて動かなくなったブタを見て驚くベルトラン。
「さて、ベルトラン。
裸になってローブでも着て立ってろ。
できればオロオロしていてくれるといいかな?」
俺はベルトランに言う。
「なぜ?」
「なぜも何も、そのボディースーツのままじゃお前が殺したことになるぞ?」
「でもあなたが……」
「殺したってか?
ベルトラン、俺がどうやって殺したかわかるか?
わかったとして誰が証明する?」
「それは……わからない」
「まあ、しばらくデブと一緒に居てくれ。
あとこれもな」
デブの横にあった、ベルトランの魔法を使えなくするという指輪を渡す。
俺はベルトランの肩を触ると、魔力で隷属の紋章っぽい模様を描く。
そこは大体で……。
「『ブタがお前とヤろうとした時に急に苦しみだした』って感じで言っておけば問題ないだろう。
そのいきり立ったモノが証明してくれる」
俺は見たくもないモノを指差した。
ベルトランが裸になりローブに着替えたのを確認すると、
「店員を呼んでくる」
そう言って、宿の受付に走って向かった。
できるだけ焦っているように……。
「大変です!
あのエルフを連れた方が……死んでいるんです」
「えっ?」
店員は驚く。
「あの人が連れていたエルフが助けを呼んでいたので、私が行ったところ、
すでに息は有りませんでした。
この夜中です。
エルフ相手に何かをしていたようですね」
「ハア……」
何をしていたのか想像した店員は、ため息をつくと別の店員に声をかける。
そしてその店員は外に走って行った。
「あとはこちらで……。
ただ、いろいろ聞きたい事もあるので、宿に居ていただいた方が助かります」
「わかりました。
ただ、ボルクス商会に用事があります。
その時は外出させてもらいますがよろしいでしょうか?」
「それは衛兵が来てから相談してください」
仕方ないだろうな。
その辺のことは衛兵任せなのだろう。
「わかりました。
とりあえず部屋に居ますので、何かあれば声を」
俺は、そう言って受付を去るのだった。
「大丈夫だったかの?」
オレゴルが部屋に帰った俺に声をかけてきた。
「心配してくれたか?」
「そっ、そんな訳無かろう」
とは言うが、あからさまに焦るオレゴル。
「ありがとな」
オレゴルの頭を撫でると、
「うー、ずるい」
後からドリスに抓られる。
「おう、寝太郎。
起きたか……」
「オレゴルとアキトがイチャイチャしているから……」
的外れなドリスの言葉に、俺とオレゴルは苦笑いしていた。




