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こっちの人間

 秋が深まってきているようだ。

 ドリスが作ってくれたドグロスの皮のジャケットで温かい。

 しかし、ドリスが言う通り今頃から食料を確保しておかないと、冬の寒い中を狩りに出る必要が出てくる。

 まあその前に、製材した時に出てきた枝やら端材やらを倉庫の入り口わきに積み、薪を準備する。


 暇なのかオレゴルが俺にまとわりついてきた。

 喉の下を撫でるとごろんとひっくり返る。

「一応仕事中なんだがな……」

 と呟きながらもオレゴルの腹をワシワシと撫でた。

「ナーン」

 と甘えた声を出しながらもだえ、しばらくすると気を失った。

 ピクピクと痙攣する。


 まあ、大丈夫か……。


 俺は再び薪を積み始めた。


 今日は山菜を取りに行くらしい。

 森の中を歩くとそこここに食べられるものがあった。

 キノコについてもドリスは詳しく。

 手編みの籠がすぐにいっぱいになる。

 俺はと言うと、言われるがまま採るだけ。


 まあ、俺は護衛ってところだろうな。



 だいぶ家から離れ、色々な食材を見つけ、そろそろ家に帰ろうという時、冒険者風の男たちが五人現れた。

 汚い皮鎧を着ている。

 腰にはダガーのような短剣。

「居ただろ?

 情報通りだ。

 まだ隷属していないって聞いている」

 リーダーがニヤニヤしながらドリスを見ていた。

 俺を見つけると。

「もう所有者が居るじゃないか。

 殺してまで奪うのか?」

 と手下の一人が言う。

「こんな森でこの人数相手に勝てると思うか?

 奪えばいいんだよ。

 奴隷の所有権なんて、一カ月の間、所有者が現れなければ自分の物にできるんだ」

「そう……だよな。

 俺も金が欲しい」

「そうだ、金があれば食い物も女も思いのままだ。

 まあ、その前にあのエルフの体もいただくがね」

 その言葉を聞くと俺の心は決まった。


 相対距離で三十メートル。

 俺は小指の爪ほどの石を掴むと五回投げる。

 音速を超えたのかドンと言う音が五回聞こえた。

 石が冒険者たちの顔に当たる。

 頭が無くなる者、顔が半分になる者、色々居たが、間違いないのは五人とも死んでいること。


 初の人殺し。

 さすがに吐いた。

 ドリスが背をさすってくれる。

 そんな時、気配を感じさせずひょいとオレゴルが現れると、冒険者たちをバリバリと食べ始めた。

 美味くなかったようで、嫌な顔をする。

 興味がないはずの皮鎧や服などにわざと爪を立てて傷をつけていた。

 しばらく冒険者たちの死体にも傷をつけた後、オレゴルは去っていった。


 ああ、魔物に襲われたことにしてくれたのか。


「ドリス。帰る」

 俺が手を差し出すと、その手を掴み胸に入れると、

「あとで、抱く。

 今あなたがつらいのは私のせい。

 私が次は助ける」

 と俺を見ながら言う。

「違う、俺のため。

 俺がドリスを欲しいから。

 居なくなると辛いから」

 と俺が言うと、ドリスが俺の唇を奪った。

 そのあとドリスは籠を抱え、俺の手を引くと家へ帰るのだった。


 家に帰ると二人で風呂に入った。

 必死になって手を洗う。

 別に血が付いている訳でもないのに、でも汚れているようでいつまでも洗っていた。


「ドリス、人に襲われること多い?」

 俺が聞くと、

「十回行くと、一回ぐらい居る。

 人間森の中じゃ私に勝てない。

 一対一なら殺して埋める」


 こりゃ物騒だ。


「でも、アキトは別。

 だから、私、アキトの奴隷ならいい。

 アキトが私を奴隷にする。

 アキトは私を可愛がる」

「ドリスは俺のパートナー。

 奴隷じゃないよ」

 俺が言うと、

「パートナー?」

 と首を傾げるドリス。

「つがいって感じかな」

 俺が言うと、

「うん、つがい。

 夫婦」

 と言って抱き着いてきた。


 まあ、そのあと……なんだ……流れでヤッた。




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