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愚なる翼のマスタング 1-8

はい、よろしくお願いします。

15

「えっと、ここはどうかな?」

「おっと、頃合いか…ちょっと待てよ、吟味する。」

私も彼がしているのであろう通りに、立ち止まって辺りを見渡す。

アレフと話しているうちに、遊歩道から逸れてから、もうかなりの距離を歩いてきていた。

景色はただの寂しい木々だけの状態からいつの間にか針葉樹のマツだらけに置き換わっている。

この環境なら彼の抱いていた心配を取り払えるほどの深さ、障壁を兼ね備えているに違いない。

…また、近くには少し開けた場所と共に大きな切り株があった。

これはここにあった木が周りの日光を遮断するほど大きかったために、切り倒された跡なのだろう。

土が付いていて少し汚くはあるが利用すれば、そこに座ったり物を置いたりもできる。

「ふむふむ。」

…まぁ、正直なところ、頭の中を切り替えるべく割と何も考えずに模索し、ピーンと来たところを提案してみただけのつもりだったが、思いがけず好条件を備えた場所を紹介できたようであった。

「…うん、割と急ぎ目に見つけ出してきた割にはかなり良いんじゃないか?ここなら俺の杞憂も完全に捨てられる。」

「ふふ、それは良かった。…唯一の心配はこの森のあらゆる場所共通のこととして、時々巡回員さんが回ってくるだろうことだけど、この時期はその数も激減するらしいし、多分大丈夫。」

ちなみに、この当番激減の情報のソースは数年前ここのバイトをしていた葵こと私のお姉ちゃん。歩き回るだけだから楽だ、とか入る前は言ってたけど、始まってからは毎日ヘトヘトで帰ってきてた。特に冬場は、巡回数が減る代わりに雪とかその下の土に足を取られて転ぶわ滑るわで一回一回がとても大変だったんだそうだ。

当時は“ザマーミロ”としか思っていなかったけど、それらの他愛も無かったはずの情報がしっかり今活かされているとなると、本当に人生何が何処で活躍するか分からないと思い知らされる。

「…そうか。…じゃあ…。」

「…。」

アレフの珍しい真剣な声。

氷の色をした北風が木々の間を駆け抜けた。

「始めようか。」

「…うん。」

「まずは──」

………。

「さっきの答えを聞かせてくれ。」

…。

……?

「え?」

「は?」

…。

「あ、あちゃー…。」

下手こいた。

「…はぁ…おいおい、ふつー忘れるか、それ。」

「ごめんごめん、アレフが何に対して実体化するか、だよね?」

大きく深い溜息が脳内に響く。

ほんっと、ほんっとうに悪いと思った。

まさかこれほどまでに私が馬鹿だったとは。彼が作った空気を一瞬で破壊してしまったバッドプレー…。これには流石のアレフさんも憤死止むなし…だ。

「折角よぉ、柄にも無く真剣な感じをよぉ、出したのによぉ…ったく。」

グレちゃった。

「頭…下げるね…。」

誰もいない方向に対して私は腰を折った。

「はぁ…んで?答えは?は?」

「…ハイ、エット…。アノ、タロットカード…トカ?」

カタコト言葉かつかなりの小声で私は一応最初から頭にあった答えを口にする。

「…。」

間違えていればすぐに飛んで来そうな否定が聞こえない。

もしや、これは…?

「…チッ。」

…え?今舌打ちした?

「あー、しょーもな。」

「ちょ、ちょっとごめんって!」

グレた上に完璧に拗ねてしまった。このままだとアレフは怒りとかそういう文字に起こせるもの全て通り越した、形容し難い領域に到達してしまうだろう。

それはまずい。これから付き合っていくというのに。

「はぁ…。」

「…ほんとにごめん。」

「…。」

「どうか…。」

「…あー、いいよ。ちょっと俺もへそ曲げすぎた。…正解…その中でも、お前に与えられた大アルカナ、“愚者”を選択しようと思っている。」

「愚者…。」

「あぁ、そうだ。」

「…開けて良い?タロット。」

「もちろん良いとも。」

返答すら忘れて私は、肩掛け鞄を切り株に置き中から新品のタロットカードの箱を取り出す。

果たしてその中身は、梱包の不透明なビニールに包まれた端麗な状態で仕舞われていた。

触ってみたところ一枚一枚の紙がかなり厚い。その所為で七十数枚にしては非常に重く、硬かった。

占う時にたくさん使うからこういう良い紙なのかな。

それとも、値段相応の良い紙、というだけなのか。

…まぁ、私のどうでも良い興味関心はさておき。

この瞬間最も大事なのはその内の一枚だ。

曰く、聞いた話によるとタロットのカード全てには意味があるのだという。

22枚の大アルカナ、もしくはアテュ、と呼ばれるカード全てには順番に、規則性に則った0から21までの数字が振られている、というのも今日の朝エスメラルダちゃんから少し聞いた。

そして、クロウリーの去り際の言葉によれば、私の戴いた番号は“0”であるらしい。

──則ち、これらをまとめると。

私の象徴となるカードは一番前にあるということになるのだろう。

…少し緊張する。

…。

私は、唾を飲み込みながらビニールより一番前にあるタロットを解き放った。

「…これが…。」

そこには、一人の男性を中心とした寓意画が描かれていた。

中央で体を大の字に広げているのは、稲の様な物と正体不明の正八面体を手に持ちながら緑色の服を着て、黄色のブーツを履いた双角の男。

彼の肩には後方に描かれた葡萄から伸びる蔦が巻き付き、それと交差するようにして二つの楕円と何かしら、金色の象徴が全体を包み込んでいた。

また足元には虎の様な化け物と巨大な鰐が置かれ、それらの奥にも絡み合った双子が鎮座している。

もう少し良く見れば、星座占いで時折見かける、黄道十二宮それぞれのシンボルが他種のマークと混じり合って描かれ、何かしら意味ありげにこちらを覗いていることも分かった。

…と、まぁ読んでもらえれば分かる通り、パッとカードを視界に入れただけでもこれだけの情報量が脳内に突き刺さる程書き込みがすごい。

さらに凝視した暁には、恐らく今と比べたとしても、二倍以上の追加データが解凍し再び濁流となって押し寄せることになろう。

それは、言わば()()()()()混沌、と言うべき存在であった。

それが、タロットカード。

それが、“愚者”という名を冠した0番目の大アルカナ、アテュ。

同じようなカードがあと21枚もあると言うのだから恐ろしい。

「どうだ?何か感想は。」

「…何から触れれば良いか分からない…けど…。」

何というか、これらの意匠から得られる印象はむしろ…

「愚か者、というイメージがここから伝わってこない、か?」

「うん…何か、変だね。こんなに多くの物が無駄無く描かれているんだとすれば、私としては、どちらかというとこの絵は頭脳明晰な感じがする…かなぁ。」

「成る程。うんうん、あながち間違っちゃあいない感想だな。」

「そう…なの?」

本当に初心者なのでどこがどういう風に惜しいのかが分からない…。

「まぁその話は三つ目の項目でするとしよう。今すべきは他のことだろ?」

「…あ、そうだったね…。」

見惚れてる場合じゃない。まずはアレフの力をここに流し込む?とか言う作業をしなくては。

「どうやるの?」

「まずは、右手でも左手でもいい、どちらかで愚者のカードに触れ、そして目を瞑ってくれ。」

「…。」

言われた通りに私は体を動かす。

愚者のカードの絵が辺り一面に広がって、溶け出し、私の内に入っていく…いや、逆に何かが出ていくような“雰囲気”、もしくは“匂い“を私は不意に感じた。

「これは…。」

「気にするな。集中力を途切れさすなよ…?」

「…分かった。」

薄桃色の波が私を包んでいく。

何だろう…この感触…。

安心する。暖かい。

何かの源…いや、そうじゃなくて、これは…。

「よし、同調してきたな。…そのままだ、微睡みながら俺の声を聞け。」

「…。」

「小さな声で囁くように、こう唱えるんだ。」

── reyhe rehsa reyhe


   hati ahkhu


   ina malo


16

「…はっ⁉︎」

「あ、起きたか。随分とお休みだったな。…何の夢を見ていたんだ?」

「…夢…。」

私は未だ天上で浮遊する太陽の光を半身に受けつつ、立ち上がる。

「夢…か。何か見てたような気もするけど…。」

「忘れたか?」

何かとても聞きたそうなアレフの声がこだまする。

もし覚えていたらすぐにでも話すのだけれど…。

「…うん。」

疲れていたのかも知れない、全く覚えていなかった。

「そうか。…おら。」

「っ⁉︎」

寝起きの私の太ももの辺りがチクッと痛む。

枝が寝ている間にくっついてきてしまったのか、と少し思ったけどそんなこと無いとすぐに思い直した。

…間違いない。

これは、そういうのとはまた違う、紙の痛みだった。

「…んー、よっと…。ふふ、成功したんだ?」

「あぁ、お陰様でな。」

目の前でふよふよと、愚者のタロットが浮遊している景色は割とヘンテコだけど、頭の中で囁いてくるだけだった奴が動きを伴って指示してくれるようになったと考えると、アレフの存在に相棒らしさが大きく追加されて気分が良い。

カードが放つ光も、目を貫くような昏倒前に浴びたものとはまた違った淡く、包み込むようなものなので、色々な意味で漣立った私の心もそれを見れば心なし落ち着くような気がした。

「うん、思ってた以上に意味あるね、アレフが実体化するのって。」

「当たり前さ。幽霊と話しているようなものだったろう?今までは。それに比べれば生き物でなくても、何か実体があるものとコミュニケーションを取っている方がずっと心の健康には良い。」

くるん、と目と鼻の先に浮くアレフが一回転する。緑色の光が静かに尾を引いた。

「…何か変わるの?話しかける対象の実体の有無が心の健康と。」

「…んー、まぁ関係あるというよりかは、突然“非常識”の世界に引き込まれたお前が無理なく此方に慣れるための秘訣ってところだ。」

「ほう。」

秘訣…か。

「何がどうなのか分かったりするか?」

「…いんや、さっぱり。」

「まぁ、だよな。…いや、やっぱりな、慣れてないこと、知り得なかったことを高校生にもなったお前の頭に叩き込み過ぎるのは良く無い。口に出してはいないが、所々未だに納得でき無いまま無理矢理飲み込んだ情報、あるんじゃないか?」

「まぁ、確かに。」

知らないことだらけだから基本信じてるけど、クロウリーの言葉の一部には今懐疑心持ってるし、そもそも彼の用いた魔法の数々はメカニズムすら分からないので、“何でこんなことができるのか”と気になりつつも“そういうものだ”と押し込んだこととかね。

眉唾だなぁ、と思ってしまうものも言わずもがな、ある。

「今はそれがお前の許容範囲量上限の以内だから良いんだろうが、それを超えてくると段々とお前は俺たちの言っていることについて来れなくなるし、そもそも疲れてきてしまう可能性がある。だから、そうならないようできるだけお前にとって不可解な要素は排除したいんだ。」

「うん、うん、成る程。」

それでアレフが一番最初に手を出せそうなものが、“よく分からない実体の無いものと手を組んでる状態”を脱することだったのか。

私はそこまで気が回ってなかった…というか、私ではそんな思考に至ることができなかっただろう。

素晴らしい気配りだ。

「ありがとね。…諦めることが嫌いな自分にとっては、本当に大事な対応だったみたい。」

「…おう。まぁ、俺もお前に見放されちゃあやってられないからな。」

「ふふ、そうだね。共依存…とまでは行かずとも、私は貴方の手となり足となり、アレフは私の脳の一部となり、お互い頼っていかないとね。」

「あぁ、そうだな。」

アレフが宿るカードが、ちらり、と木々の隙間から覗いている太陽を、見つめる。

それに釣られて私も切り株に音を立てずに座り、そして上を見上げた。

…暖かい。

思い切り冬場だというのに冷たい風は少なく、ダイレクトにお日様の温もりだけが降り注いでいる。

俗に言うピクニック日和、というやつだ。

座っているだけで眠気を誘い、睡魔を励起させる点に於いて太陽及び日光とは危険極まりない。

…あぁ、良く無いな。

「…。」

「…さて…。」

アレフがこちらに向き直った。

「寝起きのスローモードからは復活したな?どうやら。」

「うん、まぁ割とね。」

太陽のせいで少し眠たいのは黙っとこ。

「それなら、次のプロセスに移りたいと思う。」

「…。」

次、と言うことはあれか。

「つまり、能力開示と試運転、だな。」

「能力開示…。」

「あぁ、そうとも。俺のようなナビゲーターのいない普通の参加者だったら、後々宣告にやって来るクロウリーの部下に教えてもらうんだがな。」

へー…。

…って。

「え?他の人にはナビゲーターいないの?」

「いるわけないだろ、コスト的に。俺のような感情持つ精神体なんてそう簡単には作れない。物騒なことを言えば、それこそ人一人の命に匹敵するほどのエネルギーが必要だったりもするんだぞ?」

「うへぇ…成る程、それは全員分なんて無理だね…。」

「その通りだ。だから、最年少の一人でかつ、一番これらの情報に疎いお前が所持者に選ばれたってわけだな。…まぁ、正直にいうと俺はただの優遇措置、ということになる。」

「選ばれて良かった…。」

選ばれなかった場合、どうなっていたことやら。

最悪、承諾したにも関わらず勝手に有耶無耶にして後々クロウリーの部下さんに怒られたりするハメになっていたかもしれないな。

いやー、危ない危ない。

「それで…話を戻すと。今回は俺がここにいるので、代わりに俺が宣告することにするんだが…それでいいな?」

「…うん。拒む要素がないからね。」

「ふふ、そうか。正直で助かる。…さて、では…心の準備は良いか?」

タロットが纏う緑色の光が少し強く輝いた。

…これは、私に宣告を下す合図か。

まるでこれから自分の存在意義を説かれるかのようにドキドキする。

「…大丈夫。」

「よし分かった。

──言うぞ?」

………。

「お前のアテュ、愚者。与えられたものは身体能力強化、剛体化、代謝能力大幅向上、の複合能力だ。一つ目と三つ目の力には1から5段階までレベルがあり、普段は0。任意でレベルを向上させ、上がるごとに強化の度合が上がっていく。ただし、その代わり全てのアテュが一つずつ持つ“詳細不明のマイナス効果”が発動する可能性が、レベルが上な程高まる。そこが注意点だ。…そして二つ目の力は常在型で、紫菫の意思に関わらず既に発動している。試運転の時にその向上具合を確認して欲しい。…さて、一気に説明したが、理解できたか?」

「…。」

「…もしかして分かりにくかった…とかか?」

「いやー…。」

分かりにくいも何も。

詳細不明のマイナス効果に気をつけなきゃいけないけど、その代わり力が強くなって、身体が強靭になって、回復力とかエネルギーの循環、免疫とかが更に活発になるってことでしょ?

…なんて脳筋、なんて低偏差値。

お前は脳死で蹴ってろ殴ってろ、と神様に言われているかのような気さえする。

もはや逆に、頭が良い能力かも、と錯覚しかけるよ、こんなんさぁ。

…まぁ、好きだけど、こういう能力。

「…あぁ…もしかして、テトラグラマトンの探求と聞いて、どちらかというと探索や研究に関わる能力かと思っていたのか?」

カードが首を傾げるかの如く横に傾くと同時に、私の目線が下の方へと落ちる。

「うん…もしかして違った?」

「あぁ、大違いだ。テトラグラマトンとは神の真の名、真の意義。そして古来より人へ何かを与える際に毎度の如く試練という名の苦行と戦いを強いるものさ。」

「…悪趣味だね…。」

「はは…まぁ、正直にいえばな。内容も死人が出て当然、というものが多いが…まぁそれはそれとして。今回がそれほど熾烈なものになるかは分からないが、やるべきことは同じだ。それ則ち…。」

「訪れる試練を越えること?」

「…その通りだ。だからお前には、この能力に準じた武力が必要だ。そして同時に、覚悟を抱いて進んでもらうしかない。…改めていうが、俺はサポーターだ。あくまで、な。結局の所行動するのはお前なんだから、この宣告を受け入れる前に、俺以上に思いを固めてくれ。」

「…うん、もちろん。クロウリーはそこまで説明しなかったから、あれだけの紹介しかしないで私を参加に導くなんて、ちょっと詐欺なような気もするけど…結局選んだのは私だし、そこは分かってる。」

「…。」

詐欺、とは言ったものの、結局私が今もこれから起こることに少しワクワクしているのも事実だ。

責任感は感じている。重圧を受けている。アレフのいう試練に目を背けないようにしなくては、と今思い直した朽木の覚悟がある。

…それがどこまで持つかは分からないけど、多少なりともそれは私の未来を良い方に促してくれることだろう。

それらの思いがあれば、私はいつまでもアレフがサポートしてくれた通りに、そして自分が選択した通りに行動できる。

「…よし、ならいいだろう。俺は今まで参加することへの直接的な返事を聞いてなかったが、今この場所で、お前の肉声で意思を聞いた。…だから、俺も新たな信念を持って、お前に協力することにする。俺の存在が優遇措置そのものだとしても、手を抜く気はさらさらない。共に頑張ろうじゃないか。」

「そうだね。力強い返事をありがとう。私もいっぱいアレフのこと頼るから、アレフもいっぱい私のこと使ってね。」

「…あぁ。」

「ふふふ。」

「…。」

…。

……。

………。

…あれ?あれれ?

何故か、突然静かになってしまった。

流石に臭すぎたかな?

こんな感じのこと昨日今日と言ってたと思うけど流石に青春オーラ出しすぎた?

え、もしかして私の雰囲気にこのセリフあってなかった?

…まずい。

キックボクシングをしている時の周りが見えない、少し暑苦しい私が出てしまったかもしれない。

「…。」

くそ、待ってくれ。

どんどん恥ずかしくなってきた。

こんな漫画みたいな臭うセリフ吐いたの私の人生においてこの二日間くらいじゃないか?

確かに私の環境は二日間で一変してさながら物語みたいになったわけだけど、それにしても…。

…なんだ、もしかしてワクワク以前に、調子乗っちゃってるのかな。

確かクール系じゃないっけ、周りからの私の評価。こんなことが言えるなんて、自分でもびっくりした。

…。

…はぁ。

「あ、あのー。すみません、大丈夫ですか?」

「…い、いや、大丈夫だ。ちょっと突然恥ずかしくなってきてな。意思を固めるために大層なことを語ってみたつもりだったんだが…ダメだ、俺には合わん…。」

「あ、あはは…。」

…まさか、私と同じようなことをアレフも思っていたとは。

なんだか気が合うな、と最初から思ってはいたけど、もしかすると私とアレフって気が合う、というよりかは感性が似ている、って感じなのかな。

どっちにしても相性が良いことに代わり無いんだけど…こういうところで相性の良さ発揮しても、どうにもならないよ…。

「…少し、頭冷やすか。」

「…そうだね。その後に試運転しよっか。」

無言による返事が飛来する。

…冷たい、氷色の旋風が私の服の中をすり抜けて森の奥へと吹き抜けた。

寒い。

でも、熱った身体を冷やすにはちょうど良い。

能力がどれほどのものか気になりはするけど、今そういう気分じゃないのはアレフも私も同じようだし。

…これから10分くらいは無言でいい…かな。

少しぼーっとしよう。

お疲れ様でした。少々長かったですね、前回より。とはいえ、能力も判明したことですし、やっと異能力バトル系の雰囲気が出せてきたのではないでしょうか。それにしても、40,000文字くらい書いてやっと主人公の能力の詳細が出てくる、なんて少し遅い気もしますけどね。まぁ物語全体としても長くなりそうですので、一週一話投稿はできるだけ崩さずに、気長に頑張っていきます!全体の見通しと大まかなプロットはもうありますので、気長に読んでくださる方々もお待ちください!

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