5話 宿屋
しばらく歩いてると香ばしい香りが漂って来た。
肉串の屋台の前に行くと店主が元気よく
「いらっしゃい、きれいなお嬢様1本いかがですかい?」
とニッコリと肉串を勧める。
「じゃぁ、一本下さいな。おいくらですか?」
「おう!銅貨3枚だよ。」
「はい、これでいいかしら。」
「毎度〜!」
貰った肉串をパクッと食べるエイリア、
「美味しい〜。」
「あたぼうよ、タレには自信あるからな。」
モグモグ食べてるエイリア、ふと気がついて屋台の店主に聞く。
「そうだ、この辺でおすすめの宿屋どこかしら?今この街に来たばかりで
よくわからなくて。」
「お!そうなんだ。そうだなぁ、そこをまっすぐ行って次の十字路を
左に曲がって少し歩くと月の猫って言う宿屋があるぜ、そこなら宿代少し高めだが飯は美味いし女一人でもまぁまぁ安心出来るはずだ。」
「ありがとう〜、おじさん。行ってみるよ、肉串美味しかったよ。」
そう言うと、エイリアは屋台を後にして歩き出した。
そして教えられた宿屋に着きのれんをくぐって入ると一階は食堂なのかテーブルと
椅子がたくさん並んでる。
「すいませ〜ん。」
店員が見当たらないので呼んでみる。
「は〜〜い!」
奥から小さい子供が出て来た、頭には猫に様な耳、スカート からは尻尾が見える。
トテトテと小走りにエイリアの所まで来ると見上げて
「いらっしゃいませ、、、、、お食、、、」
エイリアを見て頬を染めて止まってしまう。
「あのぉ、泊まりたいんですけど部屋空いていますか?」
と少し屈んで聞くエイリア。
「あ、ひゃい、、、お泊まりでしゅね」
カミカミの可愛い店員さんにエイリアはニッコリ微笑んで
「はい、お泊まりです。」
すると奥の方から
「どうしたんだい、お客さんかい?」
と割腹の良い獣人の女性が出てきた。
子供の獣人の店員は後から出てきた女性に走っていき後ろに回って隠れ
てしまった。
「こらっ!お客さんに失礼だろ、ちゃんと接客しなさい。」
と言い、エイリアの方に振り替えると少し目を見開き
「あらあら、きれいなお嬢さんだね。どこかのお貴族様かい?」と言うと、
「違いますよ、田舎の村から出てきて今日この街に着いたんです。
そこの肉串の屋台のおじさんにここを紹介されたんですけど、部屋空いていますか?」
とエイリアが答える。
「あぁ、あいつの紹介ね。部屋は空いてるよ、何日止まって行くね?」
「そうですね、とりあえず10日で。」
「わかったよ、朝食はどうするね?朝食付きだと一泊小銀貨3枚と銅貨5枚素泊まりなら一泊小銀貨3枚だよ。
「じゃぁ、朝食付きで。」
「あいよ!んじゃ銀貨3枚と小銀貨5枚ね。」
「わかりました、それじゃ、これ。」
とお財布からお金を出し渡す。
「毎度!部屋は二階の角部屋使いな、鍵はこれね。」
と鍵を渡されるエイリア。
「わたしゃこの宿屋兼酒場の店主のステラって言うんだ、奥には旦那で調理担当のグルド、この子は私達の子のセーラ。ほら!ちゃんとお客さんに挨拶しなさい。」
「い、いらっしゃいませ、、、」
「普段こんなに緊張しないのに珍しいねぇ。お前さんが綺麗すぎて照れてる
のかね。セーラ、お客さんをお部屋に案内しなさい。」
ステラがそういうと後ろに隠れてたセーラは出てきてエイリアに頭を下げる。
「ついてきて下さい、案内します。」
エイリアはセーラについて行き、後ろ姿を見てクスッと笑う。
部屋の前まで連れてきてもらい
「ここがお客さんの部屋です、お風呂は無いのでお湯が欲しかったら言って
ください、桶に入れて部屋まで持ってきます。お値段は銅貨2枚です。
朝食は食堂に来ていただけたらお出しします。夕食は別料金になります。
ではごゆっくりして下さい。」
ペコっと頭を下げて戻ろうとする所でエイリアは、セーラを呼び止めて、
「ありがとう、はいチップ。」
とセーラに銅貨1枚を渡す。
セーラは嬉しそうに微笑んで
「ありがとうございます!」
と頭を下げて一階に行った。
エイリアはもらった鍵で開けて部屋に入る。
6畳程の部屋でベッドと小さな丸いテーブルがあった。
ベッドに腰掛け、体を横にする。
「はぁ、やっと少し落ち着けたわ。これからの事色々考えなきゃいけないけど
ちょっとだけゆっくりしよう。」
目を閉じるとエイリアはそのまま眠ってしまった。