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19話 宿へ

翌朝、相変わらず朝に弱いエイリアはユラに起こされる。

「エイリアお姉ちゃん、外に人がいっぱい来てるよ。」と言われベッドからもそもそと起き、

外に出てみると身長は低いががっしりした体つきの男達が居た、ドワーフらしい。

髪の毛がぼさぼさのエルフが出てきて、一同びっくりしたがその中の一人がエイリアの前に来て

「領主殿からの依頼でこちらの孤児院を建て直しに来た、ワシはグルドと言う。」

と言うと右手を出す。

「こんなに早く来るとは思わなかったわ。私はエイリアよ、よろしくね。」とまだ眠そうな

顔をして右手を出し握手をする、グルドは少し呆れた顔をして「おう、よろしくな。」

と答えた。

「でだ、今ある教会は随分痛んでいるがどうしたい?」

「そうねぇ、土地は昨日ここから500メル先まで借りる事で決まったから、十分あるんだけど。」

「・・・っ!500メル?」

「えぇ、とりあえず今ある教会は一度更地にするわ、地下も作りたいからね。」

「更地か、じゃぁ今日明日は解体だな。」

「ん?その辺は私がやっちゃうから今日から出来ると思うわよ。」

「へ?」

「あふぅ・・・ちょっと待ってね。みんなぁ教会の中の物で自分の物持ち出してきて~!」

とエイリアが子供たちに言うと、よくわかっていない子供たちがとりあえず教会に入っていき

私物を取りに行った。

しばらくすると少ないが両手に持てるくらいの物を持って出てきた。

「エイリアさん、とりあえず持ってきました。それでこれからどうするんでしょう?」

とメアリが聞いてきた。

「ん、もう大丈夫?忘れ物ない?」

と聞くと子供たちはうんと頷いた。

「んじゃ、みんなちょっと離れてね。」とレイリアが言うと子供たちとドワーフたちが少し下がる。

教会に向けて両手をかざし、『母様いままで子供たちを守ってくれてありがとう、これからもよろしくお願いします。』と心の中で呟くエイリア。

すると建物が少し発光して、シュッと両手の真ん中の空間へ吸い込まれた。

そして次は地面を見て頭の中でイメージし、その瞬間両手の真ん中に土が吸い込まれる。

目の前には深さが6メル、縦横30×60メル程の穴が瞬時に出来た。


「え?」

後ろで見ていた子供たちドワーフたちは目をパチパチさせて、一緒のタイミングで

「え~~~~~~~~~~!」と言う絶叫があたりに響いた。


大工たちの方に振り向くと「さて、新しい建物はこんな感じでお願いね。」

と大きめの紙を渡す。驚いてる顔のまま紙を受け取るグルド。

開くと建物の簡単な設計図が描いてあった、簡単と言っても内装以外はそのまま使える

設計だ。

エイリアの方を見ると「内装とかはあまり派手にならないように

子供たちが住むので角張ったものや床の段差はなるべく無い方向でお願い。」とエイリアが言うと

「お、おう。」とだけ言って目をパチパチさせた。

びっくりしてる子供たちの方に向き「さぁ、みんな新しい家が出来るまで宿に泊まるよ~、

ついてきてね。」と言うと軽くあくびをしながらぼさぼさの髪のまま歩き出す。


大通りを歩くレイリアと子供たち。

すれ違う街の人達は不思議そうな顔をして見返す。

先頭には美しい銀髪のエルフ、その後ろを薄汚れた服を着て痩せてる子供たちが付いて歩いてる。

この前まで泊ってた宿に着くと、扉を開けて中に入るエイリアと子供たち。

「おはよう、泊まりたいんだけど部屋ある?」

食堂の掃除をしていたセーラに話しかける。

セーラが振り向くとエイリアの他に薄汚れた子供たちが居て少し驚く。

「エイリアさん、その子供たちどうしたんですか?」と聞くと

「今度から奥の教会で一緒に住むことになったんだけど、今建て替え中なのよ。完成するまで

この宿に止めてもらえないかしら?もちろん全員分の宿代は出すわ。」

と言うと少しおろおろしてるセーラ。

すると奥からステラが出てきて

「全く、どうしたんだい?」少し呆れた顔で言う。

「今教会を建て直し中なのよ、完成するまで泊らせてくれない?」

「うちはお金さえ払ってくれるならいいわよ、その前に裏の井戸の所でこの子達を少し洗ってやんな。」

「ありがとう、私入れて8人で朝食付きで1泊全員分で銀貨6枚だから5日分金貨3枚をとりあえず渡しておくわ。早く完成したら残りはチップで貰っておいて。」

「いや、ちゃんとおつり返すから気を気を使わんでいいよ、2階の3部屋使いな。」

「ありがとう。」

2人のやり取りを呆然と聞いてた子供たち、エイリアが振り返り

「んじゃ、ちょっと体の汚れ落とそうか。」

と言い、ニカッと笑った。

しばらくして台所で夜の食堂の準備をしてるステラの耳に庭の方向から子供たちの

にぎやかな声が聞こえた。

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