15話 ギルド長と
過度な調度品などは無いが綺麗にに整えられた応接間のソファーに
ハイエルフの女性と筋骨隆々のエルフの男性が向き合っている。
男性エルフは額に汗をかき女性に話し始めた。
「この度はお忙しい所まことに・・「前置きは良いです、何か用があるんでしょ?」」
とエイリアは言葉をさえぎって聞き返した。
ビクッとするギルド長のランス。
その様子を見てエイリアは少し優しめに話しかける。
「ランスさん、ハイエルフについて何を聞いてきたかは知らないけどそこまで怖がらないで
欲しいな。別に暴れたりしませんから。」
「は、はい、すみません。ハイエルフの伝承は本や長老からの語り継ぎで聞いていたので
すが私にとってはおとぎ話の中の人でどう接して良いか分からないのです。」
目線を合わせられなく下を向きながら話すランス。
「で、何か私に用があるんじゃないんですか?」
「は、はい。実はこの街の領主であるクレスト辺境伯様がエイリア様にお会いしたいと言われ、
なにとぞご拝謁いただけないかと。」
「パス!」
「え?」
「別に私はわざわざ会いに行く用は無いし。」
「そこを何とか。」
「それに今はこの街の孤児たちと一緒に住む準備しないといけないし。」
「え?孤児?エイリア様なりません、あのような者たちと」とランスが言うと
エイリアはキッと睨み
「あのようなですって?」とさっきまでの穏やかな雰囲気と変わって一気に周りの空気が
重くなる。
ランスは軽く「ヒッ」と声を出すと顔を真っ青にした。
「あの子達が好きで孤児になった訳じゃないのよ。親に捨てられたり、死別したりでそれは
子供たちのせいではないわ!」とエイリアは少し言葉を荒げた。
「は、はい・・・」と力のない返事をするランス。
「聞いた話によると先代領主が孤児院を失くしたんですって?」
「はい、先代領主はある意味極端な合理主義な方でして、孤児院などあってもすぐに
子供たちは冒険者となって街を出ていく、せっかく税金を使って育てたのに意味がないと
申し孤児院を失くしたのです。」
「はぁ・・・」軽く溜め息つくエイリア。
『全員が全員街を出ていく訳じゃないでしょうに』
「エイリア様、孤児院を作るのでしたら一応領主様に承諾を得ておいた方が何かとよろしいと
思いますが・・・」
頭をひねりにひねってなんとか領主と面会させる理由を孤児院関連にして、エイリアに提案したランス。
エイリアも伝説のハイエルフと言ってもただの一個人にすぎず、この街で孤児たちを
育てる事を勝手に始める事は何かと問題があるかもしれない。
「わかったわ、領主に会いましょう。」
「ありがとうございます!」
「それでいつ会えるのかしら?」
「明日の昼前でどうでしょうか?ギルドに来ていただければ私がご案内いたします。」
「わかったわ、じゃぁ明日昼前に来ますね。」
そう言うとエイリアはソファーから立ち、早々に部屋を出ていく。
「ふぅ・・・なんとか面会の了承までこぎつけた。」背もたれにどっと寄りかかり
天井を見上げるランス。
「おい!だれか居るか?」と呼ぶとすぐにドアがノックされて一人の女性が来た。
「すぐに領主邸に行って、明日の昼に例のハイエルフの方を連れ行くと伝言を頼む。」
そう言うと
「はい」と返事してすぐに部屋を出ていく女性。
商業ギルドへ向かってるエイリア。
「あ、領主に了解取る前に物件契約はまずいかも、とりあえず子供たちの服や毛布なんかを
買っておこうかな。」
と言うと、踵を返して大通りの方へ歩いていった。