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14話 一緒のはじまり

冒険者ギルドの執務室ではランスが机で書類に目を通していた。

書類を置き椅子の背にもたれかかり、(くう)を見て呟く

「昨日、あれから屋敷に行って領主様にハイエルフが来られた事を報告したら、是非連れてきてくれ

と言われたけどどうしたらいいものか・・・。ハイエルフは基本何処の国にも所属しない、

故に例え王でもかしずく事もしない。あの領主ならそれ位の事は気にも止めぬが貴族連中が

騒ぎ立てるのは必須、そうなればエイリア様の我が国への心象が悪くなるのは明らか。」

ため息をつき考える。

「極秘の非公式で領主と私だけの謁見ならなんとかなるやもしれんな。」

ランスは机から紙を出し手紙を書くと、それをすぐに職員に渡し屋敷へ届けてくれと

頼んだ。


◇ ◇ ◇


子供達の声が響く。

エイリアはそんな子供達を気にせず、アイザに

「所で獲ってきたウサギの血抜きしないの?処理しないとまずくなるよ。」

と言うと「あ・・・そうだった。」

と走って行くアイザ。

エイリアは後ろを振り返り今のも崩れてしまいそうな廃屋と周りを見る。

「ん~、ここは大通りから離れてるけどその分土地はそこそこ広いわね、思い切って

買ってもいいかもね。」

とボソボソと独り言言っていると、ユラが心配そうにこちらを見ている。

エイリアがニヘラと笑うと

「ね~、みんなこれからは私と生きていかない?」

と言うと子供たちはみんな固まった、少し離れて血抜き作業をしているアイザとカイムも手を止め

固まっている。

ほんの少しの沈黙の後に「どういうことでしょうか?」とセレネが尋ねた。

「私もね今は一人なんだ、一人は心細いしせっかくマイアさまのお導きで出会ったのだから、

このままお別れするのも寂しいでしょ。」とレイリアが言うと

「でも私たちはあなたのお荷物にしかなりません、力も無いし字も読めません。」とセレネ。

はぁ~・・と一つ溜め息つくレイリア。

「当たり前でしょあなた達はまだ子供なんだから、でも子供でも簡単なお手伝いはできるでしょ。

あと、字は私が教えてあげる。」と笑顔で言うと周りを見渡し

「他に遠慮する理由を言う子はいるかな?」とみんなに聞くとみんな静かに首を横に振る。

男子の年長組のアイザとカシムも真剣な顔で首を横に振った。


「ありがとう!じゃぁもう一度自己紹介するね。私はエイリアよ、これからよろしくね。」

と満面の笑顔で言った。


「じゃぁ、ちょっとこの家と周辺の土地買ってくるね。」

と、まるでパンでも買ってくるかのように言うレイリア。

「ちょ、ちょっと待ってください」とセレネが歩き出すエイリアに言う。

「買うってそんな大金・・・」と言うセリアに「大丈夫大丈夫、それともどこか

別の所にしたい?」と聞くレイリア。

「い、いえ・・・ここは静かでいいんですが。」

「じゃぁ、決まり。あ・・それとご飯買ってくるから庭の雑草ある程度抜いておい

てくれるかな?」


「「「「ごはん!」」」」

と言う声がシンクロしたら子供たちが雑草を抜き始めた。

「ふふ、じゃぁちょっといってきま~す。」

と言うと大通りの方へ行くレイリア。


大通りに出ると冒険者ギルドに向かい、中に入る。

受付に行きレイラに「すいません、家と土地を買うにはどうしたらいいの?」と聞くと

いきなりな事で目をぱちくりしたがすぐに気を取り直し、

「あ、はい。家を購入されたいんですね、土地は領主様から借りるという形になりますが

よろしいですか?」

「ん~、土地は買えないんだね。うんそれでもいいよ。」

「わかりました、不動産関係は冒険者ギルドではなく商業ギルドの管轄になります。

場所はドアを出て右に行き・・・」と商業ギルドまでの道順を説明するセリア。

「ありがとう」とお礼を言いドアに向かう途中に受付の横にある階段から、野太い

男の声でエイリアを呼び止める。

「すいません、エイリア様。少しお時間よろしいでしょうか?」

と少し緊張気味に聞くギルド長のランス。

立ち止まり振り返るエイリア。

「なんでしょう?私はギルド長じきじきに話すような用事は無いはずですが。」

と少し無表情気味に答える。

怖い先生の前で緊張してる子供のようにビシッと背筋を伸ばし

「お忙しい所すみません、なにとぞ少しお時間をいただけませんでしょうか?」

とランスが話してる姿を見て、ほかの冒険者たちは何事か?と目を点にして二人を見てる。

昨日のギルド内での騒動を知らない冒険者も多いので、なぜあのギルド長が同じエルフ族の

女にへりくだってるのか不思議でならない。


「はぁ、わかりました。」

とレイリアが言うと階段の方へ歩いていく。

「ありがとう存じます、では2階の応接室へどうぞ。」


階段を上り切り奥の方へ消えていく2人。

その姿を冒険者や受付の者たちが口を開けてただ見送っていた。




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