君の名字は
全国都道府県それぞれに多い名字について語る。
登場するだろうか、君の名は。
B:日本って名字の種類が多い国で、10万種類ぐらいあると言われてるんです。
A:へえー、そんなに。
B:1位はなにかわかります?
A:やっぱり山田? それか佐藤、鈴木、田中。
B:正解は佐藤。200万人近くいるそうです。
A:てことは100人集めたら1人は佐藤さんがいると。
B:2位が鈴木で同じぐらいいます。ちなみに山田は上位10位に入ってません。
A:あ、思ったより多くないんだ。
B:上位10位は、佐藤・鈴木・高橋・田中・伊藤・渡辺・山本・中村・小林・加藤。
A:あー、どこにでも必ずいそうな名前だ。
B:これで人口の1割を占めます。
A:そんなにも! 10万種類あってもたった10種類で1/10になるんですねえ。
B:今のは全国平均なんですけど、けっこう地域差があるんですよ。2位の鈴木は西日本では比較的少ない。
A:え、そうなんですか。
B:西に行くほど減っていく傾向があります。逆に田中・山本・中村・山田なんかが東北ではやや少ない。
A:山・中・田のつく名字はあんまりいないんですかね。
B:みたいです。実際、青森以外の東北各県は、その字がつく名字がベスト10にほとんどない。東北じゃ山田さんや田中さんの居場所はないわけですね。
A:いや、居場所はあるでしょっ。
B:山や中の字の代わりに、藤田さんとかの藤の字のつく率が高いです。全国平均だと10位までで佐藤・伊藤・加藤の3つ、20位まででも斎藤を加えた4つ。
A:まあまあいるんですね、藤系。
B:一方、東北6県中4県では、15位以内に5つ以上という多さ。
A:ま、多少、多いかなとは思いますけど、言うほどですかね。
B:たしかに4県のうち宮城と福島はそうでもないんですが、秋田と山形は上位10位に藤系が5つあります。
A:5つ! 半分に藤がつくんですか。
B:秋田が佐藤・伊藤・斎藤・加藤・工藤、山形が佐藤・斎藤・伊藤・後藤・加藤。
A:藤って画数が多いからなんかくどいですね。人の名前を多く書くような仕事、東北じゃやりたくないな。
B:どの県もだいたいベスト3やベスト5は同じような名字で、佐藤・鈴木・田中・山本なんですが、イレギュラーもちょいちょいありまして。
A:東京とかはあまり特徴なさそうなイメージですが。
B:そうですね、関東はわりあい平均的です。群馬が若干変則的で、新井・清水・星野なんてのが上位10位にランクインしてますね。
A:ふうん。星野って芸名やキャラ名っぽいなあ。
B:福島では星って名字がわりと上位にきます。あと、静岡・山梨では3位辺りに望月がきたりね。
A:それもあまり本名っぽくないかっこよさげな名前ですね。そんなに多いんだ。
B:よく偽名と間違えられるそうですよ。
A:そうなんだ、へえー。望月さん、たいへんだ。
B:まあ、ちょっと言ってみただけなんですけどね。
A:でまかせかよ! なんで嘘ついた。
B:長野の辺りは1位が少し変わってまして、渡辺・小林・加藤・伊藤のくる県が多いです。東日本は佐藤や鈴木がだいたい1位なんですけど。
A:あ、渡辺は山梨でしょ。僕の山梨の親戚が渡辺さんなんですよ。しかも全員。全員ですよ。
B:西のほうに行くと――
A:拾えよ!
B:西のほうに行くとイレギュラー度が上がる傾向があって、香川は1位が大西だったりします。愛媛も1位が高橋でこれもレアなほうなんですが、さらに村上・越智とベスト3ではめずらしいものが続きます。
A:四国といえば高知に転校した友達が言ってましたけど、やたら小松って名字が多いって――
B:あと変わりどころが――
A:聞けって!
B:変わりどころが多いのが九州ですね。鹿児島の1位が中村だったり、大分が西日本ではめずらしい佐藤が1位という変わり種なんですけれど、特に宮崎は変態的、もとい変則的で――
A:言い間違いひでえな! 怒られるぞ。
B:1位の黒木を筆頭に、上位10位に甲斐・河野・日高・長友・児玉がくるという例をみない変態ぶり、もとい変則ぶりで――
A:2回目はわざとだろ! 宮崎の人に恨みでもあんのかっ。
B:でもまあ、一番の大変態は沖縄ですよ。
A:もう、とりつくろおうともしねえな!
B:ベスト10が、比嘉・金城・大城・宮城・新垣・玉城・上原・島袋・平良・山城・知念。
A:みごとに沖縄カラー一色! 佐藤・鈴木のかけらもなし!
B:全国首位レベルの佐藤・鈴木・高橋・伊藤は、沖縄ランキングだとだいたい300から400位ぐらいですね。
A:低っ! どんだけ佐藤さん、沖縄にいねえんだよ。
B:田中が200位ぐらいです。
A:田中さんがんばった! でも、健闘してその低さ!
B:ちなみにですが、意外とね、北海道って名字もいるんですよ。
A:えっ、沖縄で? へえ~、おもしろい。
B:まあ嘘なんですけどね。
A:嘘かよ!




