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女媼《じょおう》の教室

(ある意味)危険な授業に男子児童は戦々恐々とする。


勢いで書いてたら想定してたよりヤバいしろものになってしまいましたが、えいやで放り投げてみます。一部方面からめちゃめちゃなお叱りが届く未来が見える……。


ちなみに先生の名前は玉木 六三(たまき むつみ)さんです。誰だよ。わりとどうでもいい。

B:はい、今日の社会科の時間はー、少しだけ危険な授業をやりたいと思います。

A:ええー!? せ、せんせー、危険なタイプの授業はやらないほうがいいんじゃないですか?

B:はい、今ので山田さんは死にました。

A:ええぇぇーっ!? ちょっ、ちょっと僕、意味がわかりませーん!

B:世界には自由な発言が許されていない国もあります。不用意な発言ひとつで罪に問われたりします。

A:今の先生の発言もけっこう不用意だと思いますよ!?

B:はい、また死んだー!

A:えーっ!? また!?

B:上層部にたてつくと国家反逆罪と見なされ、連行・処刑されてしまう、そんな怖い国々が世界には存在します。

A:今のこの状況もじゅうぶん怖いですよ!? 言うほど逆らってもいませんよねっ?

B:はいまた死ん――

A:すみませんでしたっ、前言撤回しますっ、僕は国家に絶対の忠誠を誓います!

B:よろしい。このように、山田さんは無事、今日を生きることができました。

A:怖えーよ、なんだよこの授業。今日を、って明日の運命はわからない、毎日が死と隣あわせの生活かよぉ。

B:そのとおり。飲み込みが早いですよ。恐ろしい国々では、国家にとって善良な人民、歯車である限りにおいて、生きることが許されるのです。ああ、恐ろしい恐ろしい。

A:あんたが言うなよ……。人民とかの表現、あんま使わないほうがいいんじゃないかな……国民とか市民でよくない? これ教育委員会に連絡したら一発で――

B:はい、山田さんは死にましたー!

A:またぁー!?

B:国家に対する反乱分子は、このように24時間監視している秘密警察によって摘発され、連行・処刑されてしまいます。恐ろしいことです。

A:もう自分自身が圧政を敷いてる独裁者って認めてしまってんじゃねえかよぉ、恐ろしいのは先生のほ――な、なんでもないですっ、イエスッ、マムッ!

B:よろしい。座ってけっこう。

A:帰りたい、今すぐ帰って二度と登校したくない……。

B:さて、危険度をさらに上げていきますよー。

A:まだ上がるんだ!? てか上げるんだ!? え、これ以上、もっとヤバくなるの? もうじゅうぶんすぎるほどヤベーと思うんだけど?

B:「世界がもし200人ぐらいの村だったら」

A:あっ、そっちの方面のヤバさなんだぁー! そっち方向かー! たしかにある意味、別の危険な香りがしてきたーっ。

B:この村には、ピストルを持った5人の男たちが住んでいて、村を牛耳っています。

A:わかりやすい比喩! そしてなぜか当然のように自然に設定される性別! 危険度がぐんぐん増してきましたよ!

B:村の集会でも好き勝手を繰り返すこのならず者たちの名前を、仮にA・B・C・F・Rとしましょう。

A:Cの次ならD・Eでいいんじゃあないですかね!? なんで2つとんでFになっちゃったんですかねっ? てかRがもう弁解のしようもない! 仮名というか、名指し同然のイニシャルトーク!

B:そして新たにIとPというふたりの男がピストルを手に入れ、保有者となりました。

A:保有って、そこ所有でよくないですかね!? もう早々に村とか村人になぞらえる気、あんまなくなってますよね、先生っ?

B:あともうひとりふたりほど、ピストルの保有を宣言していたりいなかったりの男たちがおり、仮に名前をエ――

A:先生っ、その辺はリアルにアンタッチャブルな感じなので触れずに置きませんかっ。ちょっとシャレですむタイプとすまないタイプって世のなかにはあると思うんで!

B:……いいでしょう。さて、この村にはJという、Aの腰巾着、飼い犬、忠実なる下僕という、どうにもいけ好かない男が暮らしています。

A:言葉! 言葉、もーちょっと慎みませんかっ、もうちょいオブラートに包む感じでっ。

B:……いいでしょう。Jという、その昔、周囲に対してたいへん粋がっていたものの、Aにこてんぱんにのされて以来、51番目の州もとい属国としてへつらうようにな――

A:だから先生! とりあえず、擬人化というていだけは最低限、維持しましょうよっ。もう形骸化しててまるで用をなしてませんけど! 一応、とりつくろうふりだけでもっ。

B:……いいでしょう。Jという、周辺国では女性リーダーの登場や――

A:聞いてませんよね!? 僕の話、ナノレベルですら聞く耳持つ気、ゼロですよね!?

B:主要ポストへの女性の登用が進むこの時世にありながら――

A:ええ、もう無視ー!?

B:男ばかりが要職に顔を連ね、まるで女性の活躍が進まないという、国際的に見ても非常に恥ずべき――

A:あの、先生っ、さっきから性差別的な発言、ちょいちょい混ざってません!? 女の人は「女性」で、男の人は「男」って言っちゃってますよね、わりとナチュラルに!

B:まあーっ、男のくせしてこまかいことをネチネチ言う子ねえー。

A:昭和!? 昭和かなっ? 男子女子ともに「さん」づけの現代に昭――

B:女子と男子。

A:え?

B:はい、復唱。

A:えぇ?

B:女子と男子。男が先で女性があと、という順番は古い考えかたです。21世紀にふさわしい、新しい価値観を我がクラスでは養っていきます。はい全員で斉唱っ。女子と男子、はい、女子と男子。

A:えっ、なんなのこれ、なんなのいったい?

B:はい、女子と男子、はい、女子と男子、声が小さいっ、女子と男子っ、女子と男子っ、もっと大きな声で!

A:え、なにこれブラック企業の研修かなんかっ?

B:女子と男子っ、女子と男子っ、女性と男っ、女性と男っ!

A:途中で変わりだしてるし!

B:女性のかたと男っ、女性のかたと男っ、いいえ、オスよオス! 年がら年中、女性のかたの臀部を追いかけまわすことしか頭にない本能のおもむくままに生きる畜生にも劣る――

A:誰か止めてーっ、お母さーん、助けてえー!

B:男は生まれながらのマザコンっ、男は生まれながらのマザコン! あと変態! あとロリコン!

A:この場面を動画に撮ってアップしたらどんだけ炎上するんだろぉー!

B:はい、ゲシュタポぉー!

A:お母さーん!

B:はい、エディプース!

A:うわーん!

せかいがかくのほのおにつつまれるとふはいとじゆうとぼうりょくのまっただなかになるので、かくミサイルとかはとてもよくないなあとわたしはおもいました。

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