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配信者の楽しい大学生活。  作者: 瑞希
学園祭
9/35

第九話

お疲れ様です。

 そして夜。

 

 ピンポーンとインターホンがなる。

 ドアのレンズから真冬を確認する。真冬は先程と変わらない服でリュックサックを背負っていた。


「おう来たな。今丁度創とゲームやるとこ。」

「うん。着替えも持ってきたよ。」と真冬はリュックサックを前に持ってくる。

「おっけ。」


 真冬を部屋に迎え入れる。


「にしてもあの子綺麗だし、真面目ですごいね。」と真冬は近くの椅子に座ると、荷物からスマホを取り出し、話しかける。

「まあな。」と俺は応える。


 返答の口調に疑問を感じたのか真冬はこちらを伺うと


「なにか気になることあるの?」と聞く。

「いや、どこかで彼女のこと見たことあるきがして。」

「そうなの?少なくとも僕はないと思うけど。」

「お前がないなら気のせいっぽいけど。」

 

 俺が通ってたのは中学高校のエスカレーター式の学校である。偏差値はそこそこの進学校で常磐学園だ。

 そこで考えを深めようとするとディスコードの着信が入る。良いところであのクズは。

 俺はイヤホンをセットして着信を受け取る。


『聞こえる?』と創。

「ゲーム廃人あるあるだよな。通話の一言目がもしもしじゃなくて聞こえる?」

『うるさいな。ったく。早くやるぞ。』と創。

「ディスコードなんだね?」と真ふ……まずい。

 俺は真冬の方を向き、口に指を添える。

『え?誰の声?』

「は?何も喋ってないけど。ほらやろうぜ。PUPG?」

『おけ。』

「了解。」

 

 真冬とやるときは基本FPSなど戦闘系のゲームは避けている。

 創の場合は大抵FPSだ。あるいはTPS。

 真冬は純粋だからな。うん。


 創のゲームのルームに入り、準備を整え、一旦マイクをオフにする。


「真冬ってこういうのやったことある?」

「僕はほとんどないかな?」

「まあ見て覚えろ。あとマイクオン中は喋らないほうがいい。」

「了解。」と真冬が静かな声で応える。

「ごめんな。あいつがクズすぎるあまり。」

「そ、そんなことはないと思うけど。」


 そこで俺はマイクをオンにする。

 俺はFPSが多少得意だ。


「よし始めろ。」

『了解。』

「最初はどこに降りる?」

『ウェストランド。』

「了解。」

『足引っ張るな。』

「こっちのセリフだわ。」


 実質創が足を引っ張っている。このゲームに関しては自信があるのだ。


「百十二方向岩裏と木の陰に三匹。」

『お前匹って……』

「うるせえ。殺せ。」

『はいはい。』と創はそちらを向くと銃を構える。

 パンパンという音が連続する。


(SouがXxregendxXを淘汰)

(SouがAlexを淘汰)


「やるやんけ。」

『まあな。練習した。』

「まあ俺ほどではないかな。」と言いつつ俺はスコープを覗く。


 あそこの六角形の建物。頭がちらちらと見える。

「俺出るわ。安置も近づいてるし。」

 

 安置というのは安全な土地。

 このゲーム上でプレイヤーは訓練生という設定なのだ。

 ゲームが始まると、プレイヤーは飛行機に乗り、一つの島にそれぞれ散る。島内で銃やバックパック、防具などを整えて、他のチームと戦闘する。

 ずっと隠れていれば勝てると思えば大間違い。そこに安置が関わってくる。

 島は少しずつ毒に侵食されていき、最終的に全体が毒に飲まれる。毒は時間が経つにつれて威力は強くなっていく。最初は安置にいなくてもなんとかなるさ!の理論でどうにかなる。

 だが最後の方で安置にいないのは致命的である。

 俺らがやっているのはスクワッドという四人チーム戦だ。と言っても自動マッチング機能は使っていないので俺らのチームは創と俺の二人。俺も創も強いし、人数に関してこのゲームではあんま関係ないし互角という感じだ。


『は?何抜け駆けしてんだよ。お前物資か?』

 正直、物資に向かっているのはある。


「俺は物資じゃねえ。」

『ったく揚げ足とるな。』


 物資というのは救援物資。たまに落ちてくる箱だ。結構レアなものが入っており有利となる。

 物資は、落ちてくるとそこには煙が立つ。

 そう。煙が立つところにはハエがたかる。

 俺らの目的は物資じゃない。物資にたかるハエだ。

 つまり創はハエたたきを独り占めするな、という話なのだ。


「行くぞ。」

 俺は周りに敵がいないことを確認すると、窓を乗り越え、家を出る。


『おっけ。』

「俺は六角行くからお前はそこで周り狙え。」

『ったく早く言えよ。』


 俺は近くの六角に向かうと、とりあえず下の部屋に入る。

 六角の説明をしよう。六角とは一階と二階のそれぞれ二つの部屋で構成されている簡単な監視塔みたいなところだ。二階へ登る階段、部屋への入り口はそれぞれ一つしかない。

 家ではない。六角と世間では言われている。

 この六角、一見場所として強いように見えるが、攻略は簡単だ。

 大抵の敵は二階にいる。そこから物資や他の敵をスナイプするのだ。

 そしてその敵は足音がすると、伏せて扉の前に待機する。

 だが俺はそんな待ち伏せされるほどバカではない。

 二階へ向かう階段まで登ると、一階と二階の境目となっている縁を壁に沿って歩く。そのときに腰を落とすのがコツだ。

そして窓の近くまで歩くと、うまくTPS視線を使って中で待ち伏せしている敵を確認する。

伏せてドアの方に銃口を向けている敵。


「バーカ。」と言うと俺は体制を戻し、敵を撃ち抜く。あっさりやられた敵はなかなかの装備を持っていた。かっこいい!と思いつつも後ろに真冬がいることを思い出し、少し恥ずかしくなる。

 だがその空間をぶち壊すかのように創の声が入る。


『誰がバカだよ!』

「お前じゃねえよ。お前は屑だよ。」

『お前のこと狙ってるスナイパー処理してやったんだぞ。』

「感謝してるから安心してくれ。」

『本当なんだろうな?』

「いや信じろよもっと。」

『まあいい。』

「そうか。残り四だから俺ら抜いて残り二かな。」

『みりゃ分かるわ。』

読んでいただきありがとうございます。

感想、指摘お待ちしております。

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