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トンネルを出て300mくらいの所で、県道473号に最接近する地点となります。そこから県道に下りられる通路があるはずなのですが――やはりというか、ワープ君には見つけられなかったのでした。
マップをにらみつけて、次善の手を考えます。
このまま国道を行き、最初の信号機を左折するのはどうでしょう。
そうすれば、次の信号機が、目指す県道473号となります。つまりそこで右折進行すれば、ルートON! 万事目出度し、ということで、そうすることにしたのでした。
実際も順調でした。時間的にも余裕があったので、県道473号の信号機手前で、そこにあったコンビニで休憩を取ることにしたのです。
果実紅茶と、ビスケットの小袋を買います。イートインの席に、左隣を開けて腰掛けます。ストローを2本、透明カップに突き刺し、お菓子の小袋を開けて、テーブル左横の上に、「どうぞ」と、うやうやしく差し出します。
すると、どうしたことでしょう。
減りはしません。当然です。なのに、なのに――?
なぜか、なにか――そう、まるで紅茶やビスケットの“精霊体”というものが、あるいは“エーテル”とでも呼ぶべき見えない媒質が、まるで食べられているかのように空気に消えていく。そんな不思議な感覚を味わわされたのです。
これは、つまり――
「よかった! 許してくれて」
つまりはそういうことだったのでした。さっきの“ワープ”の件。どうやら女の子は、お菓子でうまいこと懐柔されてくれたようなのです。
気分一新です!
喜ぶワープ君、ゴクゴクぱくぱくと平らげて、ゴミをゴミ箱へ。勇んでコンビニを出たのでした。