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せっかく国道に上がれたものの、この道には右側に歩道はなく、左側に移らねばならなかったのでした。
安全を確かめて、車道を小走りで横切ります。ふうと息をつく間もなく、そこで待ち構えていた相手に、いそいそと、見えない何かを差し出します。ついで、「はい」と、従順な様子で空気に背を向けるワープ君だったのでした。
その口からは、
「堪忍してください……」
やや苦笑まじりの謝りの言葉が次々とくり出されます。ですが、その見えない相手には、弁解は中々受け入れてもらえないようです。ついには――
「だって、お姉さん、とっても美人だから……」
そんな言葉まで口にして、とたん。小突きをもらったように首をすくめる男の子だったのでした。
「てへ……!」ほんわかとした笑い顔。
一瞬の間ののち。その顔につられたか、ほどけたような気配が流れて。
つまりはようやく、一段落ついたのでした。
「行こう!」
さぁ、国道を歩き始めます。
緩い坂で、先にはトンネルが目に見えます。元気いっぱいでした。トンネルの入り口手前で、歩道が入り組んでいて迷いかけましたが、コンクリの壁に手をつけて歩くというテクニックで迷路を突破。無事にトンネルに進むことが出来たのでした。ワープ君、得意満面とはこのことでしょう!