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なんとここまで歩いて来た道と、国道橋は、立体交差だったのです!
てっきり道路続きだと思い込んでいたワープ君、空を見上げて愕然です。
つまりこの国道に上がるためには、数百メートル戻って、粛々と国道を歩き直さねばならないのです。
なんてこった――!
こんなだったら、最初から川なぞ渡らずに、そのまま国道を歩いて来たらよかった。
本当に、十数分前の自分に、教えに戻りたいくらいでした。
もちろん、そんな夢みたいなまね、出来るわけないことぐらい弁えてます。
でも、だからこそ、どうしようもなく、頭を抱えるワープ君だったのです。
今一度、マップを確かめます。
次善の策としては、細道を辿って、まず国道に並列している県道473号に出る。後はその県道に乗っかって先に進む。という手が考えられます。
この県道、コースの先で、結局は利用することになる道ですので、今のうちから行けば都合がいいとも言えるでしょう。だけど――
ワープ君、ゆっくりと首を振るのでした。
「そこに出るまでに、絶対、道に迷う……」
自分で言い切るのですから大したものです。
「国道は、道路脇に、青色の、逆三角形のおにぎりのような、国道番号標識が適切に立っているから、ぼくでも迷わず行けるんだ。それがただの道路だと、めったにないだろう……?」
エア同伴者に向かって、この時期だというのに、汗を掻きつつの弁明です。
じゃあもう、しょうがないじゃないですか。
数百メートル戻って、国道を歩き直しです。しかし――
ここでワープ君。
見えない彼女に向かって、頭を下げて、とんでもないお願いをし始めたのです。