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潮橋で洲本川を渡り、右手にその川を見ながら川上に進みます。一つ、二つと数えて、三つ目の車道橋が当面の目標の国道橋です。なんだ、楽勝ですね。
実際に橋を、一つ、二つ……と数えて、さぁ三つ目だ、という直前でした。ふいに悪寒に襲われて、足が止まってしまったのでした。
おかしい?
それはゲーマーとしての勘。ワープ君の脳内緊急アラームが、今、全力で警報を打ち鳴らしているのです。
だが、分からない! なんなんだ、この気持ち悪さは?
焦り顔のワープ君――
その顔に日の光が眩しく当たって――その瞬間だったのです!
彼としては奇跡にも等しいことでした。
“気づき”が、訪れたのでした。
「日光の向きがおかしい……?!」
そうなのです! 今の時間帯なら太陽は、おおよそ背中方向にあるはずです。それが、正面やや左寄りにあるのです。ということは――!?
ワープ君、パムホ・マップを確かめて、やがて唸ってしまったのでした。
いくら何でも、地図がまったく読めないわけではないのです。真相にたどり着いたのでした。
「この川、千草川だ……」
と空気に向かって報告します。
「渡ってから、一つ目の橋を、また渡らなきゃ、ならなかったんだ……」
「あのとき、橋を渡ったら、元の国道に戻ってしまう、と無意識に思っちゃったんですね……」
そして、身震いです。
「危なかった……」
ほんと、ギリギリだったのです。ともかく、セーフで済んだことを、旅神様に感謝するワープ君だったのでした。
黒線がワープの移動ログ。(注:ゲーム中は隠されている。以下同)
ところが。
道を引き返し、今度こそルートを正しく伝って国道橋に到着したのですが、そのときに――
またしても、事件が起こったのでした。