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まず、道路を渡って右側歩道に立ちます。
そこから歩き出して最初の、右への横道を進むのでした。進んで、行き当たる道が国道の脇道となる道路のはずで、そこを左折進行で、とりあえずは正解のはずでした。
さあ、ここもまた、ワープ君にとって迷路だったのです。
ただし、前の迷宮とは造りが違います。
今回の迷路は、なんだか、“全ての道は国道に通じる”といった感じで、どう歩いてもゾーンアウトしてしまいそうなのです。“あみだくじ作戦”も、今度はうまく行かないもようです。
最後の手段として、エア相棒をアタッカーとして道の先へ調査に出す、という手があるのですが、“ワープ”はもちろんのこと、ただの斥候もイヤとのわがままぶりです。
ワープ君、ほとほと、困り果てたのでした。ところが――
ワープ君の顔は、朗らかに笑んでいたのです。ピンチなのに、どういうことでしょう?
ワープ君、偶然、歩いて来た、真っ赤なダウンジャケットを着た、買い物帰りの小母さんに声をかけたのでした。
「すみません! 迷っちゃって困ってます。道を教えてほしいんですが!」
ペコリと頭を下げます。そう、礼儀正しく、人に聞いちゃったらいいのですね!
「あらあらまぁまぁ……」
そして、小母さん。快く応じてくださったのでした。
「国道を通らずに、まっすぐ“ぎゅうない川”に行きたいんです」
「おほほ、“牛内川”のことね」
あっ、しまったと狼狽えましたが、その素直さがよかったのでしょう、小母さん。気分を害することなく、承知してくれたのでした。
「戻り道だから一緒に付いてきなさい……」
「ありがとうございます!」
「ぼうやはどこから来たの?」
「東京です!」
「あらあらまぁまぁ……」
そうして、二人して歩き出したのでした。




